クック氏の説明が終わると、ジョブズ氏による「MacBook Pro」と「MacBook」の発表が行われた。こちらの詳細は直前のリポートを参照してほしい。
ちなみに今回のイベントでも恒例の「One More Thing」が披露されたが、その内容はMacBookのフォローアップだった。完全な新製品を期待していた人たちには、ちょっとがっかりな内容だったかもしれない。
MacBookの紹介が終わると、この手のイベントではめずらしく、ジョブズ氏を交えたQ&Aのコーナーになった。だが、Q&Aの開始にあたり、ジョブズ氏は次から挙げる3つの質問には答えられないので、あらかじめ了承してほしいと参加者に訴えた。その3つの禁止事項とは――。
まずは決算のお話。Appleも上場企業である以上、毎四半期ごとの決算報告は義務だ。同社会計年度で2008年第4四半期(2008年7-9月期)決算の発表が間もなく行われる。10月21日が決算発表日となるが、それに関する質問は同日のカンファレンスコールまで控えてほしいという。仰々しく説明しているが、Appleに限らず上場企業ではお約束ともいえる前置きみたいなものだ。
ジョブズ氏は何も言わず、「110/70」という数字のみをスクリーン上に表示した。会場の面々が怪訝(けげん)な表情をして首をかしげていると、突然数字の下に「Steve's blood pressure(スティーブ・ジョブズの血圧)」の文字が表示され会場中が爆笑の渦に。これは同氏の今日の最高血圧と最低血圧のことだ。つまり「頼むから私の健康問題に関する質問は止めてくれ」という同氏のジョークを交えたメッセージだったわけだ。9月のスペシャルイベントでも健康問題をネタにしたジョークを発しており、同氏の持ちネタの1つになりつつある。でも健康の話題はあまりシャレにならないので、日々健康でいてください、猊下(げいか)。
次に表示されたスライドは米ニューヨーク証券取引所(NYSE)のビルの写真だ。近年の金融市場崩壊で経済情勢や各社の業績への見通しが話題となっており、この手の企業トップを交えた会議では毎回質問の1つとして出てくる。筆者が前日にあたる13日に取材した米Sun Microsystemsの製品発表会でも、同社CEOのジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏が登場して経済見通しに関する短い公式コメントを発表している。いまではシリコンバレー企業時価総額トップ5に入るAppleがこの問題の渦中にあるのは間違いないが、「せっかくの製品発表会なので、製品に関する質問を優先してほしい」という同氏のメッセージなのだと考えられる。
以上を踏まえたうえで質問コーナーが開始された。その中で、筆者が特に気になったコメントをピックアップしておく。
まず、MacBook Proの17インチモデルは今回はアップデートされない。タイミングは未定だが、今後何らかのアナウンスを行う(ただし、17型ワイド液晶ディスプレイ搭載のMacBook Proは、ボディをそのままに1920×1200表示のLEDバックライトディスプレイと、320Gバイト(5400rpm)のHDDを標準搭載するなど、マイナーチェンジを行っている。ここでいうアップデートはユニボディを採用したメジャーアップデートのことだと思われる)。
次に、Blu-rayへの対応は現時点で未定。Blu-rayは素晴らしい技術だが、ライセンス条項が複雑で現時点での選択肢としては難しい、HDMIインタフェースの採用についても同様、という回答だ。
そして最後に、Netbook製品のリリースについて。同社によれば、Netbook市場はまだ立ち上がったばかりということもあり、“様子見”の状態だという。
すでにウワサレベルで登場しているBlu-rayやNetbookに関する話題だが、質問への回答を見る限りでは、まだ検討の前段階にとどまっているようだ。
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