次元を超えた画像解析技術――「Deep Zoom」と「Photosynth」を体験するLookup! せんせーしょん(3/4 ページ)

» 2008年10月17日 18時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

実際にPhotosynthを作ってみる――写真を突っ込むだけで自動で合成

 このすばらしいPhotosynthだが、Windows Live IDとカメラがあれば誰でもこのSynthを作成することができる。ただし、英語のインタフェースしかないので、ここで詳しく説明しておこう。

 Synthの作成は素材(写真)の準備が全体の手間の95%を占める。仕上がりはいかにPhotosynthに適応した写真を用意するか、その1点にかかっているといってもいい。実際、画像を用意した後はツールまかせであり、人の手が介在するところはない。Photosynthのガイドビデオもあるが(マイクロソフトのFun Computingには、日本語の説明や字幕付きビデオも用意されている)、重要な点をいくつかピックアップしておこう。

  • 同じものを最低3方向から撮影する
  • 部屋の中を撮るときは中央に立って、少しずつ回転しながら全周を撮影、次にコーナー側から中央を撮影する
  • 各写真が50%以上重なり合うように撮影する
  • 写真のトリミングはしない
  • 鏡のように反射するものは避ける
Photosynthの制作ガイド(英文)はこちらからダウンロードできる(画面=左)。部屋の中を撮影する場合はまず中央に立って周囲を撮影する(画面=中央)。次にコーナーから撮影。最後に部屋を歩き回りながら詳細撮影を行う(画面=右)

 写真の枚数が多いほど情報量(と計算量)は増えるが、それだけの枚数を互いの重なり合いを意識しながら撮影するのは大変な手間がかかる。今回はこの手間を省力化するため動画撮影を利用することにした。動画で被写体をなめるように撮影していき、その後1秒間隔で静止画に切り出していく、というアイディアだ。重なり具合を考慮すると1フレーム分を2秒程度で移動するくらいの速度で撮ればいいはずだ。

 制作ガイドに従えば、ある地点から左右にパンしながら撮影、被写体を固定して多少移動して再び左右にパン、を繰り返すことになる。しかし、このような撮影をしているとものすごく怪しい人に見えるので、ある程度妥協し、じっくりと観察しながら歩き回るような視点、つまり左右をながめながら移動し、気になるものがあったらそこに近づいていってじっくり観察(撮影)するという行動をとることにした。一応、スナップ程度には静止画も撮影してある。

 撮影した素材は2816×2112の静止画が132枚、640×480のムービーが16分30秒。GOM Playerを使ってムービーから984枚の静止画を切り出し、合計で1116枚の写真を用意した。この枚数はほかのSynthに比べるとかなり多いが、それほど手間はかかっていない(ソフトウェア側の計算時間はかかっているが)。

GOM Playerはこちらからダウンロードできる(画面=左)。今回はビデオキャプチャー設定で連続キャプチャーフレーム数を最大値の999、連続キャプチャー間隔(秒)を1にした(画面=中央)。キャプチャの結果。大量の静止画が出力された(画面=右)

 素材ができあがったらPhotosynthサイトでアカウントを作成し、Synthを作成する。

Photosynthのホーム。「Create your Synth」を選択してアカウントを作成する(画面=左)。いくつかの注意点が示される。すべてのデータが転送されるためブロードバンド環境が必要であること、作成したSynthはすべてのユーザーに対して公開されることなどが説明されている。「Create a synth」をクリックして先に進む(画面=中央)。PhotosynthではWindows Live IDを使用する。ID取得済みの場合はサインインする(画面=右)

Photosynth内で使用するアカウント名を決め、「Create Account」で作成する(画面=左)。自分のページが作成される。「Create a synth」をクリックするとPhotosynthアプリケーションが立ち上がる(画面=中央)。Photosynthアプリケーションでもサインインが必要。サインイン後、「Start a new Synth」をクリックしてSynthの作成を開始する(画面=右)

Photosynthですることは写真の追加、名前、タグ、サムネイルとして使用する画像の選択、コピーライト表記のみ。下に「300以上の写真では失敗するか非常に長い時間がかかる」と警告が出ているが、この枚数でも半日以内では完了する。ただし、解像度やPCスペックによっても異なると思われる(画面=左)。Photosynth処理中。ひたすら待つのみ。完了したときにはすでにPhotosynthサイト上にアップロードされた状態になっている(画面=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  4. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  5. わずか237gとスマホ並みに軽いモバイルディスプレイ! ユニークの10.5型「UQ-PM10FHDNT-GL」を試す (2024年04月25日)
  6. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  7. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  8. 「Surface Go」が“タフブック”みたいになる耐衝撃ケース サンワサプライから登場 (2024年04月24日)
  9. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  10. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー