本機の最大の特徴であるタッチセンサー付き液晶ディスプレイは、光学式のタッチセンサーと同社オリジナルの「HP TouchSmartソフトウェア」を組み合わせることで提供される。画面に直接指を触れることで大半の操作を行うという独自の使い勝手を提案しており、指が直接触れる部分には強化ガラスが張られているので、安心してタッチできる。
TouchSmartソフトウェアは、コンテンツプレーヤーとアプリケーションランチャ、それにいくつかのツールを組み合わせたユーティリティだ。全画面をいっぱいに使って大きなアイコンを配置したユーザーインタフェースはマウスでも操作できるが、パネルの絶対的なサイズが大きいこととあいまって、細かい操作には不向きな指でも扱いやすく、リラックスした状態でタッチ操作が可能だ。実際の動作はこちらの動画記事を参照してほしい。
具体的には、音楽や動画、静止画の各コンテンツの再生をはじめ、液晶ディスプレイ上部に据えられたWebカメラの操作、静止画/動画/音声によるメモ、タッチ操作に最適化したWebブラウザ、RSSリーダー、カレンダーといった機能が利用可能なほか、任意のアプリケーションを登録しておけば、大きなアイコンから簡単に呼び出せるランチャとしても機能する。TouchSmartソフトウェア自体は、本体前面右下に用意された専用ボタン(TouchSmartボタン)を押せば、電源オフの状態からでも起動するので、単なるコンテンツプレーヤーを超えて、このPC全体のポータル(入り口)的存在と位置付けることができる。
今回のモデルチェンジでは、Webカメラで撮影した静止画や動画をメモとして残せるようになったほか、静止画については共有サイトである「Snapfish」へのアップロード機能が新たに組み込まれた。YouTubeへのアップロードが手軽に行える動画再生機能とあわせ、視聴だけでなくインターネットを介した共有機能が面白い。
最後に、ベンチマークテストの結果をまとめた。アーキテクチャ的には一昔前のノートPCを採用している本機だが、外付けGPUを内蔵していることもあってスコアは手堅くまとまっている。デジタルコンテンツの視聴や簡単な編集、共有といった製品コンセプトどおりの用途では問題のない性能を備えているといえるだろう。
HP TouchSmart PC IQ811jpは、もともとTouchSmart PCシリーズがもっていた「すべての操作を指一本で行う」という製品コンセプトに、フルHD対応の大型ワイド液晶ディスプレイで地上デジタル放送を見るという新たな楽しみを加えてくれた。タッチセンサーとTouchSmartソフトウェアの組み合わせが、くつろいだ環境でコンテンツ視聴を楽しむのに適した操作感を実現していることから、リビングにおける最強のコンテンツプレーヤーになりうる可能性を感じた。
液晶パネルの周囲に、四隅でもタッチしやすいよう左右各2センチ(上下は各5ミリ)の余裕をもって額縁がつけられているため、ボディの横幅は662ミリとかなりの覚悟が必要になるが、奥行きは比較的コンパクトなのはありがたい。ピアノブラックの外装はもう少し高級感があってもよいと思うが、そのぶんHP Directplusの直販価格は19万9500円と、20万円に収まる価格を実現したと思えば納得できる。リビングPCの有力な候補として検討に加えてほしい1台だ。
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