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» 2008年11月28日 12時10分 UPDATE

もっと好きになるために:ポメラについて知っておくべき、いくつかのこと(後編) (1/3)

前編「いい!」、中編「悪い!」と来て、後編は「愛してる!」の巻。愛しすぎて手帳型の専用ケースを製品化してもらった。

[瓜生聖,ITmedia]

ポメラに向いている用途/向いていない用途

 前編では主にハードウェアを中心に、中編ではソフトウェアを中心にポメラの長短所を見てきた。後編ではそれらを踏まえたうえでの活用方法を考えていく。繰り返しになるが、ポメラはメモ帳のデジタル化だ。それ以外、それ以上のことを望むと失望することになる。ここでは用途別の利用方法について見ていこう。

  • 原稿執筆

 当然ながら、試用期間中に最も頻繁に利用した用途がこれだ。常に数件の原稿を抱える身としては思いついたときにすぐに原稿に反映させられる機動力の高さは魅力である。そのうえで、両手打ちできるフルキーボードは何物にも代えがたい。筆者の場合、基本的には電車の中での利用だったが、自宅やオフィスを出る前にUSBで接続したポメラに最新の原稿をコピーし、移動中に執筆、後でポメラから原稿を書き戻す、といった利用方法をとった。

 ただし、残念ながら「原稿書き」を完全にリプレースするには至っていない。これはファイル内の視認性の悪さが原因の1つだ。現在の編集位置が分からない、スクロールの速度が遅く、全体の見通しに時間がかかるなどの理由から「とりあえず思いついた文章を打ち込む」というスタイルで利用していたのだが、それは結果として「同じことを何度も書いてしまう」という弊害を生んだ。

 原稿完成までのサイクル別で見ると、1)原稿下書き前の思いつきや構成案を打ち込む、2)章立てで原稿執筆を開始。この2ステップに関しては問題はない。だが、3)全章を通して分量を調整したり、画像配置の検討を行う、といった作業は、原稿全体の分量がポメラ上では分からないため、これはまったくできなかった。また、4)下書きを完成原稿のクオリティに高める、という点でも難があった。完成原稿では当然ながら記述の重複などは避ける必要がある。ところがポメラは1画面を超えるテキストの確認が難しくなっているため、前後のつながりや章の組み立てを考えること自体が難しい。推敲も同様に画面内で完結する単位での推敲であればまったく問題ないが、それを超えるととたんに難しくなる。

 一方、完成した原稿を入稿前に再度チェックするときなど、書き込むよりもシーケンシャルに読むことが多い場合には快適に利用できる。ただし、全体の文章が全角8000文字を超えていることに気づかずにポメラにコピーしてしまうと、ファイルを開くことはできない。ちょっと長めの原稿では8000文字を超えることがあり、これは意外にきわどい制限だと感じた。

  • 議事録

 議事録として利用する場合は、議事進行にともない順次追記していくいう形を取る限り、メモ帳としての使い勝手にきちんと追従できる。ノートPCを会議に持ち込む場合はACアダプタがいるかどうか判断に迷うこともあるが、ポメラでは不要だ。ただ、最終的な議事録にするには、やはりPCでの編集が必要だった。

 また、ファイルを縦断した検索ができないため、議事録を保存・閲覧する用途には向いていない。この制約は「データストレージとしての利用」全般にかかってくるものだ。ポメラに2GバイトのmicroSDカードを装着していると、ちょっともったいない気もする。ポメラでサブフォルダが使用できない以上、作成可能なファイル数は65534以下になるが、これは1ファイル16キロバイトで換算しても1ギガバイト未満に収まる計算だ。

  • メモ帳/ネタ帳

 思いついたことをすぐに書きとめる、という使い方はまさにポメラの機動性が生かされる用途だが、立ったままの利用が難しいこと(片手打ちの習得は個人差の問題だが、そもそもフルキーボードとして使えないのはあまりメリットがない)、PCの前であればそのままテキストエディタやevernoteに入力すればよいことから、手元にPCがなく、それでいて座っているという場面自体があまりなかった。あまり簡単な内容のメモ(買い物リストなど)だと携帯電話を使ったほうが早いのも利用シーンを狭めている一因かもしれない。

 実際に便利だと感じたのは、電車で座っているとき、昼食時に注文が出てくるのを待っているあいだ、コーヒーショップでコーヒーを飲みながら、あるいはプライベートな旅行中に、何となく思考を整理したい場合だったが、基本的に原稿を執筆する用途とシチュエーションに違いはない。筆者は出張以外でノートPCを持ち出すことはほとんどないのだが、常にバッグの中にテキストをすぐに打てる環境があるのはとても心強かった。テキストエディタがあればひまがつぶせる、という人にはおすすめ。

  • ドキュメント/メールの閲覧

 ここでは、あらかじめmicroSDカードに取り込んでおいたドキュメントやメールをポメラで閲覧するシーンを想定している。閲覧そのものに関しては、ポメラの反射型モノクロ液晶は目に優しく、非常に見やすい。ただ、立ったままでの片手操作であっても閲覧だけであれば問題ないものの、キーボードを広げた状態では強度に不安がある。全角8000文字までという制限があるため、それを超えるテキストファイルはあらかじめ分割して、連番のファイルにしておくといった下準備も必要だ。

 出勤前にRSSフィードをポメラに保存しておき、読み終わったものは順次削除、詳細を読みたいものだけを残しておき、出勤後にPCでチェック、というような使い方もできるだろう。Wikipediaのテキスト版のキーワードをファイル名にして保存しておけば辞書代わりに使えるかも、とも思ったが、ポメラではサブフォルダが利用できないため、ファイル数の上限が65534になってしまうのが難点だ(実際にはそれ以前にハンドルできなくなると思われる)。

  • ブログ原稿の執筆

 筆者は実際には使用していないが、ブログを持っているユーザーであれば、ブログ用の原稿を作成するという用途もあるだろう。携帯電話からの投稿がメインの人は、ポメラでテキストを入力できる快適さは非常に魅力的だ。ただし、この用途ではネットワーク機能の非搭載が惜しまれる。ブログを更新するまでの作業全体を考えると、携帯電話に比べて投稿までのプロセスがやや面倒かもしれない。

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