ポメラには専用ケースが用意されている。筆者も即購入したのだが、この専用ケースの出来は正直なところ微妙だ。その形状から容易に想像できるとおり、専用ケースに収めたままポメラを使用することはできない。
例えば、電車内でポメラを使おうと思ったら、ポメラ本体をそのままバッグに入れているときに比べ、専用ケースから取り出す/専用ケースをしまう、という手間が必要になる。バッグから取り出した2つの“もの”を扱うのは結構面倒な作業だ。
また、天板を除いてラバー塗装が施されている本体に比べ、専用ケースのフェイクレザーは傷がつきやすいように思えた。もちろん、この専用ケースによってポメラをキズから守るという目的は果たしているのだが、その代償にケースがキズだらけになるのはちょっと悲しい。
専用ケースには「イラストなどを書き込むため」にポストイットとその収納部がついているが、これは単純な手帳の折り返し部にあるようなポケットになっている。ケースからポメラを急いで取り出す、あるいは目的の駅に着いたのでポメラを急いで収納する、といった場合にはちょっとじゃまに感じる。また、USBケーブルの収納スペースも確保されていない。専用ケースは「運搬時のキズからポメラを守るもの」と割り切り、普段のちょっとした空き時間を有効活用する目的でポメラを使う場合は、専用ケースは利用しないほうがいいのかもしれない。
ところで、オーダーメイドでありながらモバイルガジェットのケースを安価に作ってくれる会社があるのをご存じだろうか。ランドアートは、工業用緩衝材を素材としたPCインナーケースを1つ1つハンドメイドで制作してくれる知る人ぞ知る会社だ。価格も2000円から3000円くらいと、非常にリーズナブルで、筆者はLet'snote LIGHT Rシリーズ用のケースを愛用している。
本来ランドアートでは「ケースに収納したままでのPC使用、BOOKカバーを取り付けた状態でのPC使用についてはノートPCの放熱による過熱の問題が解決できませんので承りかねます」ということだったのだが、ポメラには発熱がほとんどない。これならば、装着したままの利用を前提としたポメラ専用ケースができるのではないか――そう考えてダメもとでオーダーしてみたところ、数日後には試作品が届いた。
この試作品から、本体サイズや部品位置とのバランスを調整し、完成したのが以下の写真だ。手帳カバーのような形状で、底面1カ所を両面テープで固定する仕様になっている。左側に張り付けられている部材はゴム足の高さに合わせられており、ポメラ本体を支持する。また、microSDアダプタの収納も兼ねる。
持ち運ぶ際には上下を面ファスナーで留めるようになっているが、開いて使用する際にはキーボードを打つときのじゃまにならないよう、留め具の部分を小さく折りたたんで固定することができる。このあたりの細かい配慮はさすがオーダーメイドだ。
ランドアートのケースは工業用緩衝材を素材としており、はっきりいって高級感があるとはいえない。また、1つ1つ手作りであるがゆえに加工の粗いところも見受けられる。しかし、2000円程度からオーダーメイドに対応してくれるメーカーはちょっと見あたらない。
ランドアートの久我代表によると、「現在の3カ月ごとに新製品がリリースされるPC市場では、専用ケースを中国で低コストで生産するには半分以上の在庫を捨てるつもりでなければできない。そのためメーカー製のオプションケースは割高になる。ランドアートでもプレスの抜き型を作ればよりきれいな仕上がりになるが、その際には何万個と生産しないとペイしない」ということだった。
実際のところ、筆者はランドアート製のケースを常用している。利用シーンにもよるが、すばやく取り出し、すばやくしまう、という点に重点を置くユーザーや、100円ショップなどで売っているインナーケースよりも丈夫で、純正ケースよりも安価なものを求めるユーザーには有力な選択肢の1つとなるはずだ。また、純正ケース同様に「装着したままでは利用できないが、全体を覆う」ようなケースも制作は可能だろう。
オーダーメイドで作成してもらったポメラのシステム手帳型ケースは実際にランドアートから販売されている。先日製品ページが開設されたので、興味のある方はアクセスしてみてほしい。
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