第4回 “画質ナンバー1”のプリンタはどれだ!?A3ノビプリンタ特集(4/4 ページ)

» 2008年12月02日 11時15分 公開
[榊信康,ITmedia]
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グレーインクが出力結果の明暗を分ける

 以上、ざっとプリントサンプルを眺めてきたが、やはりグレーインクがあるとないではカラーバランスに大きな違いが出てくることが再認識できた。事実、PX-5600、Pro9500、B9180は大抵の印刷サンプルで安定した出力結果を残している。

グレーインクを搭載するモデル。左からPX-5600、PIXUS Pro9500、HP Photosmart Pro B9180 Printer

 そのうえで各機のカラー印刷の印象を述べれば、PX-5600は色を素直に出しており、ディスプレイとのカラーマッチングが取りやすいと感じた。派手な色味にしないのは、カラリオではなくMAXARTブランドであることが大きいと思われる。

 Pro9500はこれより多少の着色をして、より写真を際立たせる方向に持って行っている。この味付けは意図通りに仕上がるとよいのだが、元画像が渋めのデータだと持ち味が損なわれるため、その場合はフォトレタッチなどの工夫が必要になるだろう。

 B9180は上記2モデルに比べて傾向がいまひとつ安定しないが、強めの色使いは共通化している。ただし、仕上がりが立体的ではなく平たんになるケースが多かった。

 PX-G5300やPro9000は、いずれも特色インクの色だけが飛び抜けている印象が否めない。例えば、風景写真をプリントすると、葉の緑色が深くなりすぎて、季節感が損なわれてしまうことがあるといった具合だ。さまざまなサンプルで正確な色再現性を求めるには部が悪いが、特色を強調して色鮮やかな写真にしたい場合では大きな威力を発揮することは覚えておきたい。

グレーインクを搭載しないモデル。左からPX-G5300、PIXUS Pro9000

 グレーインクの有無によるカラーバランスの差は、モノクロプリントではより顕著になる。各機を比べると、頭1つ出ているのはPX-5600だ。シャドーとハイライトに強さがあるのに、階調もしっかりと描写できており、いうことがない。評判が高かった「PX-5500」からさらに洗練された印象だ。

 Pro9500もPX-5600と同様に優秀だが、写真によっては、やや煙ったようになるクセがある。これは好みの問題なので、実際に見て判断するしかない。ただ、Pro9500の真骨頂はアート紙とのマッチングにあると思う。今回は横並びの比較ということで割愛したが、ミュージアムエッチングやフォトラグといったアート紙への出力結果はいずれもすばらしい(特にフォトラグ)。

 B9180はハイライトの描写力に比べて、シャドーがつぶれやすいのが難点だ。調子もかなり硬いため、乗りこなすには熟練を要すだろう。こうした傾向が好みだったり、乗りこなすのを楽しめるのであれば、なかなかの選択肢だ。

 Pro9000はドライバ自動補正での出力品質はクセが強いが、モノクロ印刷モードにより、それなりの品位が保てる。たまにモノクロでプリントする人にはよいかもしれない。PX-G5300についてもモノクロ出力を期待して選ぶプリンタではないだろう。


 次回はいよいよ最終回。これまでの検証結果を踏まえ、特集を総括する。

 最終回はこちら

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