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» 2008年12月05日 17時15分 UPDATE

A3ノビプリンタ特集:最終回 奥深い高級紙プリントの世界へ (1/2)

5回に渡ってお届けしたA3ノビ対応インクジェットプリンタ特集もいよいよ最終回を迎える。最後はこれまでの検証結果から、写真印刷に最適なモデルを選出する。

[榊信康,ITmedia]

検証を終えて

 本特集では写真印刷が得意な5モデルのA3ノビ対応インクジェットプリンタを横並びで比較・検証している。いずれもA4複合機を超える画質と大判印刷のニーズに応える多色インク搭載のプリンタだ。これまでの記事内容と比較・検証してきた5モデルについては、以下を参照してほしい。最終回はこれまでの内容を踏まえ、5台の中からおすすめのモデルを選出する。


本特集で取り上げるA3ノビ対応インクジェットプリンタ
製品名 メーカー 実売価格 インク種別 インク数 最小インク滴 最大解像度
PX-5600 エプソン 8万8000円前後 顔料系 9個(フォトブラック/マットブラック交換式、グレー、ライトグレー、シアン、ライトシアン、ビビッドマゼンタ、ビビッドライトマゼンタ、イエロー) 3ピコリットル 5760×1440dpi
PX-G5300 エプソン 5万8000円前後 顔料系 8個(フォトブラック、マットブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、グロスオプティマイザ) 1.5ピコリットル 5760×1440dpi
PIXUS Pro9500 キヤノン 7万5000円前後 顔料系 10個(フォトブラック、マットブラック、グレー、シアン、フォトシアン、マゼンタ、フォトマゼンタ、イエロー、グリーン、レッド) 3ピコリットル 4800×2400dpi
PIXUS Pro9000 キヤノン 5万4000円前後 染料系 8個(ブラック、シアン、フォトシアン、マゼンタ、フォトマゼンタ、イエロー、グリーン、レッド) 2ピコリットル 4800×2400dpi
HP Photosmart Pro B9180 Printer 日本ヒューレット・パッカード 7万円前後 顔料系 8個(フォトブラック、マットブラック、ライトグレー、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー) 4ピコ/6ピコリットル 4800×1200dpi

印刷する紙で写真はガラリと変わる

tm_0810a5_01.jpg マット紙、アート紙、キャンバスでは、紙厚や質感、白色が大きく異なり、写真印刷の仕上がりが違ってくる

 さて、まとめの前に1つ付け加えておきたいことがある。それはプリントメディア、つまり写真印刷に使う用紙のことだ。第1回の冒頭でも記したが、対応する用紙の種類が豊富なことはA3ノビ対応インクジェットプリンタのメリットである。A4クラスの複合機/プリンタで使われる用紙は光沢紙が主流で、まれにマット紙やフィルムといったところだろう。いわば、これらはラボプリントサービスの延長だ。

 これが、本特集で紹介してきたA3クラスのプリンタになると、アート紙、テクスチャ紙など多彩な対応用紙が存在する。家庭用のラボプリントサービスやA4複合機でのプリントでは困難な表現が、A3ノビ対応プリンタならば個人で手軽に実現できるのだ。プリンタドライバの使いこなしと同様、用紙の選択によって作品の雰囲気がガラリと変わる。キャンバス地にプリントしてタペストリーなどを作ってみるのも面白いだろう。

 選択肢が豊富なのは、プリンタメーカー純正の用紙に限ったことではない。純正紙に限らず、サードパーティの用紙まで正式対応をうたい、ICCプロファイルまで用意しているケースもある。また、正式対応をうたう用紙以外についても門戸は広く開放している。ICCプロファイルの利用・管理がしやすいように設計されたアプリケーションやドライバを見ても、このことはうかがい知れる。また、エプソンは「ColorBase」、キヤノンは「Color Management Tool Pro」を提供し、ユーザーが独自にカラーマネジメントやICCプロファイルの作成を行えるようにしているのも見逃せない。

 ただし、難点もある。こうしたアート紙やテクスチャ紙は高価なので、常用するわけにはいかず、通常は試し刷りさえためらわれることだ。A4サイズくらいに裁断して出費を抑える手はあるが、ただでさえ紙粉が多いアート紙を裁断すれば、より一層の紙粉が飛び散り、プリントヘッドや搬送機構に深刻なダメージを与える恐れがある。A4サイズのアート紙があればよいのだが、現在ではキヤノンしか用意していない。サードパーティに豊富なラインアップを求めるのも酷なので、ぜひ純正紙くらいはサイズのバリエーションを増やしてほしいところだ。

 ここでは筆者が実際に使ってみて気になった各メーカー純正の写真用紙/アート紙をざっと紹介していこう。なお、これらの用紙は表面の質感や紙厚が異なり、実際に印刷してみると、その風合いは通常の光沢写真用紙とは大きく変わるのだが、印刷サンプルをスキャナで画像データ化してもその魅力が十分に伝わらないので、印刷サンプルの画像掲載は割愛した。

エプソン純正の写真/アート紙(PX-5600/PX-G5300対応)

UltraSmooth Fine Art Paper(A3ノビ25枚:1万2500円/実売1万2000円前後)

 その名の通り、表面が平滑なアート紙。紙厚、重量ともそれなりで、持ったときに存在感がある。シャドー、ハイライトをしっかりと描写できるので、データ次第でいかようにも変化する。無難というと聞こえは悪いかもしれないが、大抵の用途に耐えうるメディアなので、エプソン機でどのアート紙を買えばよいか迷った場合には、これを押さえておくとよい。坪量は325グラム/平方メートル、厚さは0.46ミリ、ベース材質はコットン100%だ。

Velvet Fine Art Paper(A3ノビ20枚:1万円/実売9000円前後)

 表面にわずかなテクスチャ加工を施したアート紙。紙厚はUltraSmooth Fine Art Paperよりもあるが、腰はこちらの方が弱い(しなやかというべきか)。UltraSmooth Fine Art Paperと比べてコントラストが強くなるため、重厚な描写をしたい場合に用いるとよい。坪量は260グラム/平方メートル、厚さは0.48ミリ、ベース材質はコットン100%だ。

フォトマット紙/顔料専用(A3ノビ20枚:2100円/実売2000円前後)

 いわゆる作品作りのためではなく、写真を大きく出力したい場合に有用なマット紙。コストもアート紙の5分の1程度で済むので、常用するにもよい。画像データを作る場合には、表面に光沢がないぶん、シャドーのごまかしが効かないことを忘れないようにしたい。こうした配慮が面倒だという人は、予算を少し上乗せして「写真用紙<絹目調>」が妥当だろうか(マットとはいいがたく、光沢感が多少あるが)。

tm_0810a5_02.jpgtm_0810a5_03.jpgtm_0810a5_04.jpg 左から、UltraSmooth Fine Art Paper、Velvet Fine Art Paper、フォトマット紙/顔料専用

キヤノン純正の写真/アート紙(PIXUS Pro9500/9000対応)

ファインアートペーパー・フォトラグ(A3ノビ10枚:オープン/実売6500円前後)

 キヤノンが様子見の第1弾として発売しただけあって、実にバランスの取れたメディアだ。階調表現、発色とも素直に表現されるので、使いやすい。ミュージアムエッチングに比べると、柔らかな仕上がりになる。唯一の不満は紙自身の質感で、アート紙としては重量や紙厚が物足りない。飾ってしまえば、どうでもよいことではあるが。坪量は188グラム/平方メートル、厚さは0.31ミリ。

ファインアートペーパー・ミュージアムエッチング(A3ノビ10枚:オープン/実売9000円前後)

 白紙の状態でも迫力がある、というのはいい過ぎだが、その重量と厚みはここで紹介する中で随一だ。白色度も高いので、ズラッとほかのメディアと並べても存在感がある。触感だけでも楽しめるが、出力品位も非常に高い。階調性能は非常に高く、しかも黒がギュッと締まるので、重厚かつ緻密(ちみつ)な描写が行える。なお、表面は軽めのテクスチャを持たせている。坪量は350グラム/平方メートル、厚さは0.57ミリだ。

ファインアートペーパー・プレミアムマット(A3ノビ20枚:オープン/実売2500円前後)

 上記2つのファインアートペーパーに比べてかなり低価格で、階調や発色にクセがないことから試しやすいアート紙。上記2つはドイツの高級画材紙メーカーとして知られるハーネミューレ製の紙を使っているが、こちらはそうではない。紙の表面は平滑で、紙厚はフォトラグと同じ程度となっている。坪量は210グラム/平方メートル、厚さは0.295ミリだ。

tm_0810a5_05.jpgtm_0810a5_06.jpgtm_0810a5_07.jpg ファインアートペーパーのラインアップ。左からフォトラグ、ミュージアムエッチング、プレミアムマット

日本HP純正の写真/アート紙(HP Photosmart Pro B9180 Printer対応)

HP Hahnemuhle スムースファインアート紙(A3ノビ25枚:オープン/実売1万2000円前後)

 表面は平滑に加工してあり、階調、発色ともクセがなく使いやすい。紙厚や重さについても、特に際立ったところはなく、スタンダードなアート紙だ。名前の通り、下の水彩画用紙も含め、ハーネミューレ製の紙を使っている。坪量は265グラム/平方メートル、厚さは0.38ミリだ。

HP Hahnemuhle 水彩画用紙(A3ノビ25枚:オープン/実売1万1000円前後)

 ざっくりとしたテクスチャと柔らかな紙質が特徴のメディア。階調は柔らかく、色はややあっさりとした感じで出力される。独特の風合いを楽しめるが、「水彩画用紙」というだけあって、印刷するデータを選ぶメディアではある。坪量は210グラム/平方メートルだ。

HPアーティストマットキャンバス(A3ノビ25枚:オープン/実売1万2000円前後)

 コットンとポリエチレンによるキャンバスメディア。表面は細かな格子が彫られている。白色のコートが施されており、イラストなどの原色系はなかなかに映えるが、写真の階調を再現するには不向き。キャンバスの風合いを押し出した変化球的な楽しみ方もあるが、やはり価格が高いので手軽に試すわけにはいかないだろう。坪量は360グラム/平方メートル、厚さは0.457ミリとなっている。

tm_0810a5_08.jpgtm_0810a5_09.jpgtm_0810a5_10.jpg 左からHP Hahnemuhle スムースファインアート紙、HP Hahnemuhle水彩画用紙、HPアーティストマットキャンバス

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