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国産モバイルノートは低価格ノートに対抗できるか?──NEC「UltraLite タイプVC」「UltraLite タイプVM」(2/2 ページ)

» 2008年12月10日 16時00分 公開
[芝田隆広,ITmedia]
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余裕があって使いやすいキーボードとポインティングデバイス

 搭載する液晶ディスプレイがワイドタイプで、本体の横幅がVC-6で283ミリ、VM-6で292ミリということもあって、キーボードも十分なサイズを確保している。ゆったりした配置で、幅が狭くなっているキーもない。右側のShiftキーがカーソルキーの「↑」の外側にあるのが気になるぐらいで、あとはタイプしやすいキーボードといえるだろう。また、キーボードの刻印は、従来機種よりも大きく、見やすくなった。

 ポインティングデバイスも普通の大きさだ。低価格なNetbookの場合、パッド部分が狭かったり、左右ボタンが一体になっているなど、使いづらい製品もあるが、UltraLiteは十分のサイズが確保されているので使いやすい。なお、VM-6ではポインティングデバイス部分の周囲にゆるやかなくぼみが設けられている。評価機では、パームレスト部にFelicaポートが搭載されていたが(VC-6は右側、VM-6は左側)、この部分は、何もなしにするか、指紋認証センサーを搭載するか(VC-6のみ搭載可能)を選べる。Felicaポート搭載時にBluetoothもオプションで追加できる。

VC-6(写真=左)もVM-6(写真=右)もボディの幅がわずかに異なるだけで同じサイズの12.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載する。解像度は1280×800ドットと共通。従来のUltraLiteと同じく、バックライトには白色LEDを採用する

VC-6(写真=左)、VM-6(写真=右)ともにボディの幅に余裕があるため、キーボードのピッチはほぼ均等となっている。パームレストにはFeliCaポートを内蔵可能。また、VM-6のポインティングデバイスの周囲はパームレストを一段下げている

ベンチマークで正統派軽量ノートPCのパフォーマンスを見る

 では、実際のパフォーマンスはどうだろうか。今回は総合性能を見るためのベンチマークとしてPCMark05、グラフィックス性能を見るため3DMark06とFINAL FANTASY XI Official Benchmark3、そしてバッテリー性能を見るためBBenchを実行してみた。

 まずPCMarkの結果だが、CPU ScoreはVC-6で3002、VM-6で3172という値になっている。評価機のCPUはすでに述べているようにどちらもCore 2 Duo SU9300を搭載しており、低価格ミニノートPCで採用例の多いAtom N270が1500前後の値となっているのと比べると2倍程度のパフォーマンスとみることができる。また、HDD Scoreも6000台と7200rpmのSerial ATA 300のHDDが使われているだけあって高い値を出している。このサイズのモバイルノートPCとして基本性能は優秀な部類といえるだろう。グラフィックスは高い値ではないが、3DMark06、FFXI Bench3ともに内蔵グラフィックスを利用するシステムとしてはごく普通といったレベルだ。

 バッテリーの駆動時間は、VC-6のメーカー公称値が最大で約8.3時間(標準バッテリー使用時)。また6セルの大容量バッテリー使用時は、最大約12.5時間とされている。VM-6はそれぞれ0.5時間短くなる。実際の駆動時間はどうなるか、海人氏作のBBench 1.01を利用して測定してみた。なお、環境設定はWindows Vistaのバッテリー設定を「バランス」にし、BBenchはWeb巡回(60秒間隔)とキーストローク出力(10秒間隔)をオンにした。なお、液晶ディスプレイの輝度は手動で最大レベルにしている。

 結果は、VC-6は1万1668秒(3時間14分28秒)、VM-6は1万1574秒(3時間12分54秒)動作させたところでバッテリー残量がゼロとなった。カタログ値より短いが、液晶ディスプレイの輝度を最大にしたことが影響していると思われる。なお、公称値の約8.3時間は、Windows XP Professional導入でのデータで、ストレージデバイスの種類については不明だ。公称値がSSDを搭載した状態で測定したとなると、バッテリー駆動時間はHDDの場合より長くなると考えられる。今回試用した評価機が、OSにWindows Vista Businessを導入して160GバイトのHDD搭載している点はバッテリー駆動時間に不利に働く。Windows XP ProfessionalとSSD搭載構成を選択し、液晶の輝度を低く抑えるなどすれば、カタログ値に近い駆動時間が得られるだろう。

ベンチマークテスト VC-6 VM-6
Bbench(4セルバッテリー) 194分28秒 192分54秒
3DMark06:3DMarks 622 625
3DMark06:SM2.0 189 184
3DMark06:HDR/SM3.0 250 256
3DMark06:CPU 1040 1045
PCMark05:PCMark 3139 3172
PCMark05:CPU 3002 3152
PCMark05:Memory 3252 3282
PCMark05:Graphics 1417 1418
PCMark05:HDD 6407 6094
FINAL FANTASY XI Official Benchmark3:Low 1903 1890
FINAL FANTASY XI Official Benchmark3:High 1315 1330


 ここまで見てきたように、VC-6、VM-6は1キロ前後の薄型軽量マシンでありながら、CPUやHDDは十分な性能を有している。構成を選べばバッテリー駆動時間も長くなる可能性もある。液晶ディスプレイの解像度は1280×800ドットとNetbookではほとんどない広さを確保し、キーボードやポインティングデバイスも使いやすい。

 価格的には最近の低価格機と比べて高めではあるが、CPUのパワーはAtom N270よりもかなり高いうえ、バッテリー駆動時間は(一部の製品を除く)低価格機を上回る。小型化のために、キーボードやポインティングデバイスなどの使い勝手を損なうことなく、細部まで作り込まれている点は高く評価できる。外見の印象は、やや地味に思えるノートPCだが、購入してすぐ、ビジネスでバリバリ使いたいユーザーにはぜひ検討してもらいたい1台といえそうだ。

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