デルのPCは、店頭モデルや直販の一部モデルを除いて豊富なBTOメニューから予算や用途に応じた構成を選べるのが特徴だ。本機もその例に漏れず、多彩な選択肢が用意されている。
液晶ディスプレイは、WXGA+(1440×900ドット)の非光沢とWUXGA(1920×1200ドット)のTrueLife(光沢)の2種類が選択できる。評価機は前者を搭載していたが、最大輝度設定時でもやや暗めに感じる控えめな明るさと、彩度が低めのやわらかな発色により、長時間のドキュメント作成やブラウジングでも目が疲れにくい。動画や静止画を表示させた時により見栄えがよい、鮮やかな発色を求める場合は光沢パネルを採用したTrueLife液晶を選択するといいだろう。欲をいえば、どちらの解像度も光沢/非光沢が選べるとベターだ。ちなみに、UXGAにすると差額は1万7850円となる。
そのほかのBTOオプションについては、CPUがCeleron 550(2.0GHz)、Core 2 Duo T8100(2.1GHz)/T8300(2.4GHz)/T9300(2.5GHz)/T9500(2.6GHz)の5種類、メモリはPC2-5300対応のDDR2 SDRAMを1Gバイト(512Mバイト×2)/2Gバイト(1Gバイト×2)/4Gバイト(2Gバイト×2)から、グラフィックス機能がIntel GM965 Expressチップセット内蔵のIntel GMA X3100、またはNVIDIA GeForce 8600M GS(グラフィックスメモリは256Mバイト)からそれぞれ指定できるようになっている。用途に応じてコストパフォーマンス重視の構成から、デスクトップPC代替としても扱えるだけの性能を備えたハイエンドな構成も可能だ。
HDDは、容量80/160/250/320Gバイト(いずれも5400rpm)のSerial ATA HDDを1基か、大容量ファイルを扱う用途向けに320GバイトHDDを2基搭載して合計640Gバイトという構成も選べる(ただしRAIDは用意されていない)。スロットイン式の光学ドライブは、DVD/CD-RWのコンボドライブ、またはDVD+R DL対応のDVD±RWドライブからの選択となる。
オプションでは、大容量の8セルバッテリー(14.8ボルト 74ワットアワー、標準は14.8ボルト 56ワットアワーの6セルバッテリー)、セキュリティ機能を強化するための指紋センサー(6300円)、130万画素Webカメラ(3150円)のほか、無線LANはIEEE802.11b/g(Dell Wireless 1395)、IEEE802.11a/b/g(Intel PRO/Wireless 3945ABG)、IEEE802.11a/b/g/n(Intel Wireless WiFi Link 4965AGN、Dell Wireless 1505)からの選択となるが、Bluetoothはメニューにない。
バッテリーの駆動時間については、標準の6セルで最長4.6時間、8セルで最長6時間(Core 2 Duo T5670、Intel GMC X3100、Windows Vista Vusinessという構成の場合)となっている。
OSは、Windows Vista Home Basic(SP1)/Home Premium(SP1)/Business(SP1)/Ultimate(SP1)に加え、Windows XP Professional日本語版へのダウングレード権が付属するVista Business(SP1)とVista Ultimate(SP1)が用意されており、いずれも32ビット版のみとなる。
最後に本機のパフォーマンスについて見てみよう。評価機の構成は、Core 2 Duo T9300(2.5GHz)、4Gバイトのメモリ(2Gバイト×2)、容量640GバイトのHDD(320Gバイト×2)、グラフィックス機能はNVIDIA GeForce 8600M GSというBTOの上位パーツを盛り込んだものとなっている。
Windowsエクスペリエンスインデックスの基本スコアは、ノートPCとしてはかなり良好な5.1というスコアをたたき出している。最も低いサブスコアはメモリで、そのほかのコンポーネントではおおむね5.5前後、中でもWindows Aeroのデスクトップパフォーマンスを示すグラフィックスでは最高値となる5.9となっている。PCMark05や3DMark06、Final Fantasy XI Official Benchmark 3の結果を見ても、デスクトップPCに匹敵する高いスコアが記録されていて、オフィス用途だけでなくゲームなどのエンターテイメント用途にも十分耐えられるだけの性能を備えていることが分かるだろう。
PCMark05の総合スコアも5886と高く、どのテストでもまんべんなく高スコアを記録しており、穴がないのが分かる。外付けGPUを搭載しているだけに、グラフィックス関連のテストも良好だが、BTOでチップセット内蔵のIntel GMA X3100を選んだ場合は、この限りでない点に注意したい。
なお、システムに高い負荷をかけると、左側面にある排気口付近はそれなりの熱を持つほか、タッチパッド左上を中心にキーボード左側もやや熱を帯びるが、手の触れる部分で40度を超える部分はなかった。また、高負荷時でも冷却ファンの耳障りなノイズは発生せず、快適に使えた。ただ、本機は底面左側で吸気するタイプなので、設置場所には気をつけたい。
最近では、新世代のCentrino 2(開発コード名Montevina)搭載ノートPCが増えつつあるが、本機ではIntel GM965/PM965 Expressと1世代前のチップセットを備えている。それだけに、17型ワイド液晶ディスプレイ搭載の最小構成価格は7万8330円と非常に安価だ。評価機の構成でも17万8830円(12月8日現在)で、このサイズのデスクトップPC代替のノートPCと比較して大幅に価格が抑えられている点は見逃せない。
Vostro 1710は、ターゲットをSOHOなどの小企業向けビジネスユーザーに明確に絞り込んでいるだけあって、ホームユーザー向けノートPCに必ず盛り込まれている最新のマルチメディア機能やバンドルアプリケーションをばっさりと削っているのが潔い。IT管理者がいないSOHOや個人事業主向けのサポート&サービスメニューが充実しているのも心強い。もちろん、仕事用途だけでなく、地上デジタルテレビチューナーやBlu-ray Discドライブといったマルチメディア機能は不要なので、とにかく基本性能が優れたノートPCを安価に手に入れたい、自分なりのPCの使い方や用途がすでに定まっている中上級レベルのユーザーにも積極的におすすめしたい製品だ。
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