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最終回 2008年末のプリンタはどれを選ぶべきか?複合機08-09年モデル徹底検証(2/3 ページ)

» 2008年12月18日 16時20分 公開
[榊信康,ITmedia]

総括

 さて、一通りの検証が終わったところで、いよいよ特集の総括に入りたい。まずは雑感を交えつつ各機のおさらいしていくこととしよう。

・エプソン「EP-901F」「EP-801A」「PM-A840S」

EP-901F

 エプソンのEP-901FとEP-801Aが持つ魅力はいうまでもなく、リビングに置くことを考慮したデザインにある。ボディサイズの小型化や前面2段カセットによるペーパーハンドリングの向上など、これまでのカラリオ複合機に欠けていた部分を補うことで、完成度の高い製品に仕上げている。さらにEP-901Fは、7.8型と大きなタッチパネルを操作パネルに取り入れることにより、従来以上の操作性も手にした。EP-901FにはADFとFAXという付加価値もある。

 プリントエンジンの性能では、圧力振動による微小気泡の消滅と、減圧室と気体透過膜による気液分離という二段構えの気泡除去を取り入れたことが注目に値する。マイクロピエゾ方式プリンタの課題として何度となくいわれてきたプリントヘッドの目詰まりを低減しようという試みは大いに歓迎したい。

 昨年の売れ筋モデルをマイナーアップしたPM-A840Sは、EP型番の上位機に比べると物足りなさを感じるものの、そのぶんだけ価格を抑えている。給紙やCD/DVDレーベル印刷などの機構が旧式になったとはいえ、それはあくまでもエプソンの新ラインアップの中だけであって、他社製品より性能面で明らかに見劣りするようなことはない。価格重視で製品を選ぶなら、チェックしておきたい製品ではある。

左がEP-801A、右がPM-A840S

・キヤノン「PIXUS MP980」「PIXUS MP630」「PIXUS MP620」

PIXUS MP980

 PIXUS MP980はキヤノン複合機のフラッグシップらしく、機能、操作性のいずれにおいても妥協がない。大抵のニーズに応えてくれるだろう。フォトインクの不在によりカラー印刷時の画質への懸念を持ったものの、第4回の結果で払拭できた。ややインパクトは弱いが、フィルムスキャンが可能な唯一の機体ということも特徴だ。

 PIXUS MP630は昨年の人気機種だったPIXUS MP610のマイナーアップモデルということもあり、改めて語るべき新機能はないが、全体のバランスのよさに磨きがかかった。機能と性能の見切りがよく、ニーズの高い機能をコンパクトボディに集約している。全製品を通してスタンダードというべき製品だ。

 一方、PIXUS MP620はいまひとつ立ち位置が分からない。印刷速度はMP630よりも遅く、機能面でも自動両面印刷機構やCD/DVDレーベルプリントを割愛しているのだが、価格はMP630よりも高い。差額分としてMP630にはないネットワーク機能を持ってはいるが、さらに価格が上がってもMP630にネットワーク機能を搭載したほうがスマートな製品展開になったのではないだろうか。

左がPIXUS MP630、右がPIXUS MP620

・日本HP「HP Photosmart C6380 All-in-One」

HP Photosmart C6380 All-in-One

 HP Photosmart C6380 All-in-Oneはプリントエンジンの変更があったものの、ボディのデザインを引き継いでいるせいか、この中では目立つモデルではない。かつては前面給排紙機構による設置性とペーパーハンドリングが売りだったのだが、それも今や他社に追いつかれてしまった。エプソンとキヤノンのように、日本の家庭向けにアミューズメント機能をそろえていないことも華やかさに欠ける一因だろう。

 ただし、元来日本HPの魅力は、質実剛健な製品を比較的低価格で購入できることにある。無線LANと有線LANの機能を標準搭載した複合機としては安価なので、“細々とした機能は無用”という人にとっては非常にお買い得だ。

 インク構成が6色から4色に減ったとはいえ、インク滴を小さくした新型プリントエンジンによって写真印刷の画質はむしろ向上した印象があり、購入をためらう要因にはならない。加えて、普通紙への文書印刷が高品位なことは高く評価できる。購入時には、CD/DVDレーベル印刷機能が必要ならば、「HP Photosmart C5380 All-in-One」という選択肢が存在することも覚えておきたい。

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