爆速H.264変換×超解像カード「FIRECODER Blu」を駆るSpursEngineでかっ飛べ!(3/3 ページ)

» 2008年12月24日 11時30分 公開
[都築航一,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

トムソン・カノープスらしい連携機能に期待

 以上の検証で明らかなように、FIRECODER Bluは圧倒的なMPEG/H.264変換の速さとアップコンバートの美しさが強烈な魅力を放っており、SpursEngineの威力を簡単かつ十分に体感できる。

 ただし、完成度に不満を覚える部分もある。例えば、読み込んだ素材のプレビュー再生ができないのは惜しい。SpursEngineは1ストリームしか受け取れない仕様のため、EDIUSシリーズでのリアルタイムプレビューに利用できないのは納得できるとしても、専用変換ソフトでならプレビュー再生に利用できたのではないかと期待してしまう。

 付属ソフトがシンプルなFIRECODER WRITERだけに限られる点も評価が分かれるに違いない。今回試したFIRECODER WRITERのVer.1.01では、アスペクト比16:9のHD素材をDVD-Videoでディスク保存すると、アスペクト比4:3にスクイーズされてしまう現象が発生した。これだけでも早期のアップデートで解消してもらいたいところだ。

 FIRECODER Bluの利点はSpursEngineに依存しているので、少なくとも現時点では独自の特徴を見出しにくいのも事実。特に「AVCHDビデオカメラの素材をいくらかでも編集しやすいMPEG-2に変換しておくために使う製品」ととらえると、ライバル製品との機能面での差がなくなってしまうので、2万円ほども高価な本製品はがぜん分が悪くなる。

Canopus AVCHD converterはノンサポートの無償ソフト。Ver.3.00の設定画面には「FIRECODER Bluを使用する」のチェックボックスが追加された。

 こうして考えると、FIRECODER Bluがライバル製品に差を付けるには、トムソン・カノープス製品ならではの機能を追加することが必須といえるが、この点に関しては同社も把握しているようで、早々に手を打ってきた。発売当初の不満はSpursEngine対応のアプリケーションがFIRECODER WRITERだけに限られていたことだったが、12月12日にEDIUSシリーズ用動画変換ソフトの最新版「Canopus AVCHD converter Ver.3.00」が公開され、SpursEngineがサポートされたのだ。

 これにより、AVCHDからCanopus HQへの変換にSpursEngineが利用可能となったのは大きな意味を持つ。トムソン・カノープスから発売されるカードと聞けば、EDIUSシリーズとの連携を真っ先に想像するだけに、HD映像を高画質かつ低負荷で編集できるCanopus HQへの高速変換を実現したのは、ライバル機に対するアドバンテージになるはずだ(ちなみに、WinFast PxVC1100はCanopus AVCHD converter Ver.3.00で認識されなかった)。幸い、Canopus AVCHD converter Ver.3.00はプロ向けのEDIUS Pro 5だけでなく、個人向けの「EDIUS Neo」や「エディウスJ」にも対応している。

 現状ではEDIUSのタイムラインを直接出力するのにSpursEngineは使えないが、春ごろを目安にEDIUS Pro 5本体のSpursEngine対応も予定しているそうなので、今後もトムソン・カノープス製品ならではの連携機能の強化に期待したい。それによって、FIRECODER Bluに対する最終的な評価はより高まっていく可能性があるだろう。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  4. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  5. わずか237gとスマホ並みに軽いモバイルディスプレイ! ユニークの10.5型「UQ-PM10FHDNT-GL」を試す (2024年04月25日)
  6. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  7. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  8. 「Surface Go」が“タフブック”みたいになる耐衝撃ケース サンワサプライから登場 (2024年04月24日)
  9. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  10. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー