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» 2008年12月24日 17時00分 UPDATE

イマドキのイタモノ:「落っ!」な時代だから、Radeon HD 4550が気になってしょうがない

個人的には「変」より「落」と感じる2008年の年末。「金がないー」という自作PCユーザーとしては、1万円を切るグラフィックスカードにも希望を見出してみたい。

[寺崎基生,ITmedia]

こんな年末だから「Radeon HD 4550」に注目してみる

 2008年のGPU市場で勢いを盛り返したRadeon陣営のバリュークラスといえば「Radeon HD 4550」「Radeon HD 4350」だ。Radeon HD 4000シリーズの中で最も低価格のラインアップで、すでにレビューを掲載したRadeon HD 4600シリーズの下位クラスになる。

 プロセスルールは、Radeon HD 4600シリーズと同じ55ナノメートルで、構成トランジスタ数は2億4200万個と、Radeon HD 4650の約半分だ。ダイサイズも約半分の73平方ミリと、コンパクトになっている。

kn_r4550_01.jpg Radeon HD 4550を搭載したリファレンスデザインのグラフィックスカード。ロープロファイルというコンパクトなバリュークラスGPUには珍しく、ファンを組み込んだクーラーユニットが搭載されている。アナログRGBとDVI-I、ビデオ出力をインタフェースとして用意している

 これまでのRadeon HDシリーズと同様、DirectX 10.1とShader Model 4.1をサポートする。コアクロックは600MHzで、Radeon HD 4600シリーズの750MHzより低い。実装する統合型シェーダユニットの数も80基と、Radeon HD 4650の4分の1に過ぎない。サポートするグラフィックスメモリはDDR3で、メモリクロックは800MHz、DDRデータ転送レートで1.6GHz相当になる。メモリバス幅が64ビットとなっているあたり、従来のバリュークラスGPUと共通している。

 Radeon HD 4550の仕様で最も注目したいのが、消費電力が非常に低いことだ。従来のバリュークラスGPUシリーズとなるRadeon HD 3650の67ワットや、現役ミドルレンジGPUであるRadeon HD 4650の48ワットと比べると半分以下の20ワットを実現している。GeForceのバリュークラスでも、最も省電力とされているGeForce 8400GSの消費電力が38.7ワットであるため、Radeon HD 4550は半分強の電力しか消費しないことになる。当然、Radeon HD 4550を搭載したグラフィクスカードは外部電源のコネクタを必要としない。

 これだけ省電力であるなら発熱も少ないはずで、ファンレスが当たり前かと思いきや、AMDのリファレンスカードには小型のファンが搭載されていた。販売されている製品でもファンを載せているモデルが少なくない。

同価格帯のライバルに圧勝、価格落ちの旧上位モデルには……

 Radeon HD 4550の実売価格はおおよそ7000円から8000円のあたりに多く分布している。この価格帯には、NVIDIAの現役世代ではGeForce 8500 GTが、AMDではRADEON HD 3650あたりが重なってくる。また、価格帯は少し下がるが、同じ64ビットのメモリバスを採用しているGeForce 8400 GSを加えた、3種類のバリュークラスGPUとパフォーマンスを比較してみた。

 Radeon HD 4550のスペックは、Radeon HD 3000シリーズのミドルクラスであるRadeon HD 3650と近い。コアクロックはRadeon HD 3650が速いが、メモリクロックはRadeon HD 4550が上回っている。ただし、メモリバスはRadeon HD 3650が128ビットと広く、このあたりはさすがにミドルクラスのGPUである。

 GeForce 8500 GTとGeForce 8400 GSとの比較では、コアクロックもメモリクロックもRadeon HD 4550が速いが、メモリバス幅はGeForce 8500 GTが上回る。

主要なスペック Radeon HD 4550 Radeon HD 3650 GeForce 8500 GT GeForce 8400 GS
コアクロック 600MHz 725MHz 450MHz 450MHz
メモリクロック 800MHz 500MHz 400MHz 400MHz
DirectX 10.1 10.1 10 10
対応メモリ DDR3 GDDR3/DDR2 GDDR2 GDDR2
プロセスルール 55ナノメートル 55ナノメートル 80ナノメートル 80ナノメートル
シェーダユニット 80 120 16 16
メモリインタフェース 64ビット 128ビット 128ビット 64ビット
再生支援機能 Avivo HD Avivo HD PureVideo HD PureVideo HD
消費電力 20ワット 67ワット 41ワット 38.7ワット
テスト機材メモリ容量 512MB 256MB 256MB 512MB

 性能評価では、いくつかの市販ゲームタイトルを用いたベンチマークテストと3DMark Vantage、3DMark06を試用した。今回取り上げた市販ゲームタイトルは、「Enemy Territory Quake Wars」と「Unreal Tournament3」の2種類だ。バリュークラスということもあって、軽負荷の条件でのみ測定を行っている。

 また、RADEON HD 3650は、ASUSの「EAH3650 TOP」を利用したが、この製品はオーバークロック仕様となっており、コアクロックがGPUのデフォルトである725MHzから800MHzに変更されていたため、PowerStrip 3.83を使ってクロックを725MHzに落としている。

 ベンチマークテストで使用したシステムは、レビューにおける通常の構成で、CPUは、Core 2 Extreme Q6700、マザーボードはIntel G45チップセット搭載のP5Q-EMを使用、メモリ容量は2Gバイト用意した。グラフィックスドライバは、RADEON HD 4550はCatalyst 8.9ベースの評価用を、RADEON HD 3650はCatalist 8.10を、GeForce 8500 GTとGeForce 8400 GSはForceWare 178.24を、それぞれ適用している。

 Unreal Tournament3では、FlyThroughのスコアでは、1024×768ドットの解像度で60FPSオーバーをたたき出しているだけなく、1600×1200ドットに上げても30FPSをキープできている。これはGeForce 8500 GTとGeForce 8400 GSを大きく超える。Shanglilaになると少しスコアが落ちて、30FPSを維持できるのは1280×1024ドットまでとなる。GeForce 8500 GTには1024×768ドットの条件で測定結果が下回っているものの、高解像度ではRadeon HD 4550が勝り、GeForce 8400には大きく差を付けている。ただし、Radeon HD 3650に対しては、まったく及ばないという結果になった。

kn_r4550_02.jpg Unreal Tornament 3 (vCTF-Suspense FlyThrough-PC)

kn_r4550_03.jpg Unreal Tornament 3 (DM-ShangriLa-FPS-PC)

 Enemy Territory Quake Warsのスコアでは、1024×768ドットでやっと30FPSをキープしているレベルだが、Radeon HD 3650とほぼ同スコアであり、GeForce 8500 GTとGeForce 8400 GSには大きく差を付けることができた。

kn_r4550_04.jpg Enemy Territory-QUAKE Wars Demo

 3DMark06および3DMark Vantageでは、すべてのテストにおいて、RADEON HD 3650>RADEON HD 4550>GeForce 8500 GT>GeForce 8400 GSという順位となっている。負荷の重さや解像度などは関係なく、Radeon HD 4550はGeForce 8500GTよりワンランク上のパフォーマンスを実現すると考えていいだろう。

kn_r4550_05.jpg 3DMark Vantage:3DMark Score

kn_r4550_06.jpg 3DMark06 3DMark Score

予算7000円のユーザーには「4550」?「3650」?

 今回の測定結果から分かるように、Radeon HD 4550は、旧式ミドルレンジのRadeon HD 3650のパフォーマンスには及ばない。Radeon HD 3650は、ひと世代前のミドルレンジGPUであることから、かなり価格がこなれてきており、256Mバイトメモリモデルなら6000円台で販売しているケースも少なくない。6000〜7000円という予算で3Dパフォーマンスを重視するのなら、Radeon HD 3650を選ぶのが妥当だろう。GeForce 8500GTは流通量が多く、その実売価格も幅が広いが、ほぼRadeon HD 4550と同じレベルにある。5000円台の製品を選ぶのでないなら、GeForce 8500 GTではなくRadeon HD 4550を選ぶことになる。

 また、パフォーマンスよりも省電力を重視するユーザーにはRadeon HD 4550は非常に適した選択になるだろう。消費電力に関しては、RADEON HD 3650の3分の1、GeForce 8500GTの半分であるから、その差はかなり大きい。省電力によって小さいPCケースへ組み込むことも可能になる。発熱にたいする余ったマージンを別なパーツに振り分けてもいい。自作PCの構成を柔軟に考えたいユーザーにもRadeon HD 4550は便利なグラフィックスカードになるだろう。

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