極上AVノート「VAIO type A ビデオエディション」を味わう大画面の広色域フルHD液晶を装備(1/4 ページ)

» 2008年12月26日 17時00分 公開
[都築航一,ITmedia]

用途別に2つのモデルを擁する最上級VAIOノート

VAIO type A ビデオエディションの店頭販売向けモデル「VGN-AW50DB/H」

 VAIOブランドで最もハイスペックなノートPCが「VAIO type A」だ。2008年秋冬モデルではフルモデルチェンジに合わせて、基本仕様の違いではなくユーザーの利用シーンで切り分けた2モデルを展開する、というユニークな試みがなされた。

 その1つは、同社のデジタル一眼レフカメラ「α」シリーズとの親和性を高めるなど、デジタル写真家向けPCという新たなジャンルを切り開くべく投入された「フォトエディション」、そしてもう1つがここで取り上げるデジタルビデオ編集向けPC「ビデオエディション」だ。

 VAIO type AのビデオエディションはVAIOノートのハイエンド機がこれまで担ってきた基本的性格を踏襲しており、デジタル放送の視聴・録画をはじめとする充実したAV機能と、大画面のワイド液晶ディスプレイを組み合わせることで、映像の視聴や編集を存分に味わえる環境を提供する。

 今回入手したビデオエディションの店頭モデル「VGN-AW50DB/H」は、フォトエディションの店頭モデル「VGN-AW70B/Q」より2万円ほど安いが、それでも量販店での実売価格は30万円前後となり、気軽に手を出せる製品ではない。そこで、ここではVAIOならでは、またtype Aならではの価値がどこにあるのかに注目しながら、製品のポイントをチェックしていく。

チタングレーの新ボディに10キー付きキーボードを装備

 まずは2年3カ月ぶりにフルモデルチェンジを果たした本体のデザインから見ていこう。一定の隙間を空けてキーを並べた「アイソレーションキーボード」や、ヒンジ部に円筒を配した「シリンダーフォルム」など、デザイン上のポイントとなる部分は他機種と共通化されている。

 ただし、キーボードの右に新設された10キーや、キーボードの奥に据えられた、AV関連の操作を行なうタッチセンサーなどは、いかにも大型のAVノートらしい。キーボードはもちろんフルサイズ(ピッチ約19ミリ/ストローク約2ミリ)で、タイプ時のたわみもなく入力しやすいが、10キーの搭載とデザイン優先のあおりを受けてか、カーソルキー周辺の配置がかなり窮屈なのは惜しい。

 一方のタッチセンサーは、ビデオ編集時などボタンを利用しないときには、ユーザーのじゃまをしないデザインであると同時に、ボタン利用時はタッチすると緑色のLEDがゆっくり光ることで操作感を演出するという仕掛けも施されている。2つのプログラマブルキーのほか、テレビ視聴やBD/DVD視聴といったプレーヤーソフトのランチャーを起動する「AV MODE」ボタンなどが並び、使い勝手も良好だ。

10キー付きのキーボードは全体的に余裕のある作りだが、カーソルキー周辺はキーピッチが狭くなっている(写真=左)。タッチパッドはVAIOおなじみの2ボタン式のインテリジェントタッチパッドだ。AV MODEボタンを押すと、VAIOランチャーと呼ばれるAV関連ソフトのランチャーが画面上部に立ち上がる(写真=右)。ランチャーに登録するソフトはカスタマイズ可能だ

ボディのカラーは落ち着いたチタングレーを採用する。本体サイズは437.2(幅)×288.9(奥行き)×36.9〜39.7(高さ)ミリ、重量は約3.9キロだ

 今回のtype Aは18.4型ワイドときわめて幅広の液晶ディスプレイを採用したことから、本体サイズは横幅437.2ミリと従来機に増して大きくなった。もっとも、奥行きは288.9ミリと前モデルより1センチほど小さく抑えられ、実際に目のあたりにすると、意外にも威圧感はそれほど感じない。

 これは前モデルよりもぐっと狭くなったディスプレイの額縁部や、ツヤを抑えたチタングレーの配色も奏功しているのだろう。特に配色は、利用時に存在感を主張しすぎないという点でも好ましく、同一色のBluetoothマウス(VGP-BMS33/H、実売価格7000円前後)をオプションとして用意するというこだわりも光る。

 ただし、黒を基調としてボディ全体にシボ加工を施し、さらにパームレスト部には滑り止めのエラストマーを溶着させるという凝りようのフォトエディションに比べると高級感はいまひとつで、2台を横に並べると、エディションの違いというよりグレードに差がつけられているようにも見える。

基本性能はCentrino 2世代に進化

底面のネジを外してカバーを開くことで、メモリスロットやHDDにアクセスできる

 だが、PCとしての核にあたる部分は両エディションともほぼ共通で、基本的な性能に大きな違いはない。どちらもCPUにはFSB 1066MHzのCore 2 Duo T9400(2.53GHz)をチョイス。これにIntel PM45 Expressチップセットと2Gバイトのメインメモリ(PC2-6400)、NVIDIA GeForce 9600M GTのGPU(グラフィックスメモリ512Mバイト)が組み合わされ、Centrino 2世代に強化された。

 また、Blu-ray Discドライブも1層BD-Rへの4倍速記録に対応するなど、ハードウェア全体を通じて従来モデルからの底上げが図られており、現行のハイエンドノートPCとして順当な構成といえる。なお、HDDは容量250Gバイトの5400rpmドライブを2台搭載する仕様だ(フォトエディションのみRAID 0構成で出荷される)。なお、HDDとメモリモジュールは本体底面から簡単に着脱できる。

 ここで本体の左右両側面に配置された各端子類についても簡単に見ておくと、左右に振り分けられたUSB 2.0端子や、左側面のHDMI出力端子など、構成や配置に大きな不満はない。

 このほか、右側面にはBlu-ray Discドライブや、有線LAN、FAXモデム、テレビアンテナ入力の各端子がカバー内に収められている。左側面には、4ピンのIEEE1394、アナログRGB端子に加え、ExpressCard/34スロットと、PCI Expressで接続されたCFカードスロットが並ぶ。メモリースティックPROとSDHC対応SDメモリーカードの各スロットは本体前面にある。そのほか、IEEE802.11a/b/g/n(11nはドラフト準拠)の無線LANにBluetooth 2.1+EDRといったワイヤレス通信機能も持つ。

前面にメモリカードスロットを配置(写真=左)。背面はバッテリーパックで占有される(写真=右)

主要なインタフェースは左右に振り分けられている

 ちなみに、前モデルで液晶パネルの下部に陣取っていたスピーカーは、本体のキーボード奥に移された。これがスマートなデザインに一役買っていることは間違いないが、デザインだけでなく、サブウーファーを搭載するなど、機能や性能の面でも意欲的な取り組みがなされている。これに「Dolby Home Theater」を組み合わせることで、バーチャル5.1チャンネルの音声出力が楽しめるわけだ。

 実際に音を鳴らしてみると、それほど音量を上げなくてもパームレストやキーボードを通じて振動がビリビリと伝わるほどの迫力を実感できた。この振動が悪影響をおよぼさないよう、HDDや光学ドライブの取り付け部には防振ダンパーが組み込まれているほどで、最上位機らしく、見えない部分にもしっかり手間とコストをかけて作られている。

右側面にテレビアンテナ入力とBlu-ray Discドライブを装備(写真=左)。テレビ番組の視聴や録画に便利な赤外線リモコンも付属する。公称のバッテリー駆動時間は約2時間で、ACアダプタは大きめだ(写真=右)

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