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» 2009年01月08日 12時01分 UPDATE

完全分解×開発秘話:やはり中身もNetbookとは大違い――「VAIO type P」を丸裸にする (2/2)

[前橋豪,ITmedia]
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基板の工夫で小型化と軽量化を実現

 VAIO type Pのマザーボードは主に、CPUとチップセット、メインメモリが実装されたメインボードと、Mini PCI Expressスロットおよびデータストレージ接続用のコネクタが設けられたサブボードの2枚に分かれている。

 CPUはAtom Z520(1.33GHz)/Z530(1.6GHz)/Z540(1.86GHz)から選択でき、いずれの場合も冷却用のファンは搭載されない。CPUとIntel System Controller Hub(SCH) US15Wチップセットの発熱はマグネシウム合金製フレームを伝って拡散され、左側面にある通風口が放熱を助ける仕組みだ。Netbook用のAtom N270(1.6GHz)や超低電圧版Core 2 Duoなどを採用していれば、ここまで放熱機構を簡素化できなかったに違いない。

 メインメモリはオンボードで2GバイトのDDR2-533 SDRAMが実装され、拡張用のメモリスロットはない。もっとも、チップセットのIntel SCH US15Wは最大メモリ搭載量が2Gバイトなので、最初から上限まで搭載していることになる。

tm_0901pmb_14.jpgtm_0901pmb_15.jpg 10層基板を採用したメインボードのサイズは約75×65ミリと非常に小さい。CPUとチップセット、メインメモリはすべてメインボードの表面に並ぶ(写真=左)。メインボードの裏面に主要なチップはない(写真=右)

tm_0901pmb_16.jpgtm_0901pmb_17.jpg メインボードの裏面に主要なチップが実装されていないのは、SDHC対応SDメモリーカード/MMCスロットとメモリースティックPROスロットを提供する拡張ボードが装着されていたためだ(写真=左)。取り外したカードスロット用の拡張ボード(写真=右)

 サブボード上のMini PCI Expressスロットは2基あり、その1基にハーフサイズのIEEE802.11b/g/n(11nはドラフト準拠)の無線LANモジュールが標準搭載されている。もう1基はワイヤレスWANやワンセグチューナーを装着するためのスロットだ。つまり、ワイヤレスWANとワンセグを同時に使う構成は選択できない。

tm_0901pmb_18.jpgtm_0901pmb_19.jpgtm_0901pmb_20.jpg サブボードには、ハーフサイズのIEEE802.11b/g/n(11nはドラフト準拠)無線LANモジュールを搭載し、その隣りにBluetooth 2.1+EDRのモジュールを配置している(写真=左)。今回分解したモデルでは省かれていたが、ワイヤレスWANやワンセグチューナー搭載時はもう1基Mini PCI Expressスロットが設けられる。サブボードの裏面にはデータストレージ接続用のコネクタや、コントローラチップが並ぶ(写真=中央)。左がMini PCI Express型のワンセグチューナーモジュール、右がワイヤレスWANモジュール(写真=右)

 HDDの接続インタフェースはUltra ATA/100のParallel ATAだ。データストレージは、Parallel ATAインタフェースで1.8インチ/5ミリ厚の60GバイトHDD(ZIFコネクタ仕様)か、Serial ATAインタフェースの64バイトもしくは128GバイトのSSDが選択できる。SSDのインタフェースはSerial ATAだが、マザーボード側のインタフェースはParallel ATAの独自端子なので、変換アダプタ経由で接続される仕組みだ。パフォーマンスを優先してSSDはSerial ATAタイプを選択したわけだが、変換アダプタ経由でのParallel ATA接続が多少はボトルネックになっていると予想される(それでもHDDよりは高速だが)。

 これは余談だが、ユーザーがHDD搭載の店頭モデルを購入し、将来的に自己責任でHDDを交換しようと考えた場合、筐体に収まるサイズのSerial ATA SSDもしくはHDDを入手してもマザーボードに接続するための変換アダプタがないため、換装は困難だろう。

※記事初出時、ソニーへの取材で得た情報として、マザーボード側のデータストレージ接続用インタフェースをUltra ATA/66と記載していましたが、検証結果をもとに同社に再確認したところ、正しくはUltra ATA/100であると判明しました。おわびして訂正いたします(2009年1月21日)。

tm_0901pmb_21.jpgtm_0901pmb_22.jpgtm_0901pmb_23.jpg HDDはZIFコネクタを備えた1.8インチ/5ミリ厚の60Gバイトドライブを採用(写真=左)。分解したモデルのHDDは東芝のMK6028GALだった。SSDは64Gバイトもしくは128Gバイトから選択でき、Serial ATAからParallel ATAへ変換するアダプタを経由して接続される(写真=中央)。SSDからアダプタを取り外したところ(写真=右)。写真のSSDは64Gバイトで、メモリチップは片面実装だ。型番はSamusungのMMCRE64GFMPPで、MLCタイプのSSDだ。128Gバイトではメモリチップが両面実装になる

 拡張ボードや本体両側面に振り分けたコネクタ類のボードで特徴的なのは、通常のリジット基板とフレキシブルケーブルを一体化したプリント基板の採用が目立つ点だ。このようなリジットフレキシブル基板はデジタルカメラや携帯電話によく見られるが、構造が複雑になり通常のリジット基板よりコストがかかるため、ノートPCで積極的に使うことは珍しい。わざわざこの一体化基板を採用したことで、基板上のコネクタを減らすことができ、本体の小型化や軽量化が図れたというわけだ。

tm_0901pmb_24.jpgtm_0901pmb_25.jpgtm_0901pmb_26.jpg ボディの左側面にあるDC入力、USB、ヘッドフォンを提供する基板もフレキシブルケーブルで重ねるようにリジット基板を配置し、実装面積が広がらないように工夫している(写真=左)。左の写真ではヘッドフォン出力の端子があさっての方向を向いているが、ボディ内部ではこのようにフレキシブルケーブルが折り返された状態で実装される(写真=中央)。プログラマブルボタン2つを提供する小型の基板(写真=右)

ソニーならではの凝った設計は低価格ミニノートPCでも健在

 こうして分解されたVAIO type Pをじっくり見てみると、内部の作り込みは価格が2倍以上する同社のモバイルノートPCにも引けを取らず、細部まで考え抜かれていることが分かる。Atom N270(1.6GHz)搭載のNetbookはコストを重視するため、比較的シンプルな設計のマザーボードを採用していることが多いが、それとは対照的だ。正直なところ、低価格帯のミニノートPCでこれほど内部を作り込んでいるとは予想外だった。

 ソニーはVAIO type Pを「あくまでNetbookとは別のコンセプトを持った“ポケットスタイルPC”」と語るが、実際はその見た目と価格帯からNetbookと同一視されることも多いだろう。しかし、内部構造だけを見ても、Netbookとは明らかに違うことが確認できた。

tm_0901pmb_27.jpg VAIO type Pを構成するパーツ群。低価格帯のミニノートPCとは思えない手の込んだ作りだ

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