これは理想の低価格ミニノートPCなのか!?――「VAIO type P」徹底検証(後編)真の実力が明らかに(1/6 ページ)

» 2009年01月15日 11時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

後編は「気になるトコロ」をじっくり検証する

4色展開のVAIO type P(オニキスブラックは直販限定)。仕様をカスタマイズできる直販モデルの最小構成価格は7万9800円。ワイヤレスWANもしくはワンセグ機能を搭載した店頭販売モデルの実売価格は10万円前後だ

 1月8日に発表されるやいなや、話題騒然となっているソニー初のAtom搭載ミニノートPC「VAIO type P」。AtomといってもNetbook用のAtom N270(1.6GHz)ではなく、Atom Z500番台のCPUとIntel System Controller Hub(SCH) US15Wチップセットで構成される省電力なMID(Mobile Internet Device)/UMPC向けプラットフォーム(開発コード名:Menlow)を採用することで、非常に薄型軽量のボディと多機能を両立させているのが特徴だ。

 発表日にお届けしたレビューの前編では、ソニーが“ポケットスタイルPC”と語るVAIO type Pの製品コンセプトをはじめ、ボディデザイン、ハードウェアの特徴、キーボードやワイド液晶ディスプレイの使いやすさ、Windowsを起動せずに利用できるインスタントモードについて取り上げた。

 今回のレビュー後編では、VAIO type Pを活用するために整えられたソフトウェア環境、Atom Z500番台やSSDの採用で気になる実際の処理性能、ハイビジョン映像や動画共有サイトの再生能力、バッテリー駆動時間、ボディの発熱などを多角的に検証していく。

 なお、PC USERではレビュー以外にも、分解リポートや開発者インタビュー、海外モデルの現地取材など、VAIO type Pに関するさまざまな情報を公開している。VAIO type Pをもっと深く知りたい方は、以下の囲みにある記事も併せてチェックしてほしい。

現在位置検出&地図サービスでモバイルを促進

 ケータイとともに常に持ち歩くことを想定したVAIO type Pでは、ソフトウェア面にも外出先で積極的に使ってもらうための工夫が数多く見られる。その1つとしては、前編で紹介したWindowsを起動せずに利用可能なインスタントモードが挙げられるが、Windows上で動作するソフトにも注目したい。

 特に携帯利用時に威力を発揮してくれそうなのが、現在位置情報の検出機能と地図ソフト/サービスとの連携だ。標準装備の無線LAN機能とワイヤレスWANモデルに内蔵されるGPS機能(オプションのGPSユニット「VGP-BGU1」も対応)を併用した「VAIO Location Search」ユーティリティにより、リアルタイムに現在の位置情報を取得することができ、この情報をインターネットの地図/情報サービスやローカルの電子地図ソフトに受け渡すことで、ナビゲーションや周辺スポットの検索をスムーズに行うことができる。

現在位置情報の検出機能と地図ソフト/サービスとの連携がモバイルシーンで威力を発揮する

 取得した位置情報を活用するための地図情報サイトが、ソニースタイル・ジャパン運営の「PetaMap」(ペタマップ)だ。VAIO type PにプリインストールされるInternet Explorer 7には「VAIO Location Search」ツールバーが初期状態で搭載され、IE7を起動すると自動的に現在位置情報を取得してツールバー上に表示する。ここでツールバー上の「ペタマップ」ボタンをクリックすれば、PetaMapのサイトへアクセスして現在位置と周辺スポットを地図(Googleマップを利用)で示してくれる仕組みだ。

 また、VAIO Location Searchツールバーには、位置情報の検出機能をより生かせるように、PetaMapと提携するさまざまなオンライン情報サービスの検索機能が用意されている。具体的には、ツールバーのプルダウンメニューから、現在位置の近くにあるグルメやショッピング、旅行、観光、公衆無線LAN、ガソリンスタンド、ゴルフ場などのスポット情報をダイレクトに検索し、PetaMapの地図上に表示することが可能だ。これにより、出張や旅行などで不慣れな土地に行った場合でも、現在位置の近くにある飲食店を検索して比較するといったことが容易に行える(口コミ情報に頼るサービスが多いこともあり、情報量は地域によって異なるが)。

IE7には「VAIO」のロゴが付いた「VAIO Location Search」ツールバーが搭載され、取得した現在位置を自動で表示。「ペタマップ」ボタンをクリックすると、PataMapのサイトへアクセスし、現在位置と周辺スポットを表示する仕組みだ(写真=左)。「ペタマップ」ボタンのプルダウンメニューから、さまざまな情報サービスの登録情報を検索できる(写真=右)

1600×768ドットの高解像度と複数ウィンドウを1ボタンで整列できるボタンを利用し、現在位置周辺のスポット情報を2つのブラウザ画面で表示した例。プルダウンメニューから「グルメぴあ」を選択すると、グルメぴあに登録された周辺の飲食店情報が地図上に表示され、そこから各店舗の詳細情報へアクセスできる(写真=左)。「Hotpepper」を選べば、周辺にあるホットペッパーのクーポンが使える店舗を簡単に探し出せる(写真=右)

全国4万件以上のガソリンスタンドの場所とガソリンの価格を調べられる「gogo.gs」と、全国約4万件の公衆無線LANスポットを検索できる「無線LANマップ」の情報を表示した例(写真=左)。女性をターゲットにしたショッピング&グルメ情報を提供する「cafeglobe.com」と、鉄道の撮影ポイントや車両基地、駅弁などの情報を集めた「鉄道コム」を選択した場合の表示例(写真=右)

 PataMapのスポット情報をオフラインで閲覧できるソフトウェア「x-Radar」がプリインストールされているのもポイントだ。x-Radarは現在位置から半径3キロ以内にある各種スポットを円形のレーダー状インタフェースに表示するもので、無線LANスポット、カフェ、ラーメン、酒場といったジャンル別の表示や、キーワードによる検索機能を備えている。あらかじめ気に入ったスポット情報を集めたリストデータ(ガイドブック)をダウンロードしておけば、検出したスポットの詳細情報を見ることもできる。

 ちなみにPetaMapのスポット情報は無料のユーザー登録さえ行えば、自由に追加や編集が可能だ。作成したスポット情報のリストはVAIO type Pのほか、PSP用ソフトの「みんなの地図3」「ニッポンのあそこで」やカーナビ「nav-u」で持ち出せる。

現在位置の周辺スポットをレーダー状に表示する「x-Radar」では、徒歩(300メートル以内)、自転車(1キロ以内)、自動車(3キロ以内)の移動手段ごとに表示範囲を切り替えられる(写真=左)。インタフェースが生ビールを注いだジョッキ型になる「酒場」用のレーダー(写真=中央)と、ラーメンのどんぶりを模した「らーめん」用のレーダー(写真=右)

「プロアトラスSV4 for VAIO」では現在位置情報をもとにオフラインでナビゲーションが行える

 さらに、プリインストールされる電子地図ソフトの「プロアトラスSV4 for VAIO」を使えば、現在位置情報をローカルの地図上に表示したうえで、最寄り駅や周辺施設を検索したり、徒歩、自動車、自転車、電車など移動手段に応じた目的地までのルート検索が可能だ。

 デジタルカメラで撮影した写真データを取り込む場合、GPSの位置情報ログと撮影時刻の照合から緯度と経度を自動的に割り出し、地図上の撮影場所に写真を登録できるフォトロケーター機能も用意している。

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