これは理想の低価格ミニノートPCなのか!?――「VAIO type P」徹底検証(後編)真の実力が明らかに(2/6 ページ)

» 2009年01月15日 11時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

PataMap自体は無料サイトだが、VAIO type Pのアドバンテージは?

 PataMapの電子地図/スポット情報サービスは、ほかのPCでも無料で利用できるものだが、VAIO type Pでは現在位置情報の自動検出機能によって、ブラウザの起動から1アクションで現在位置の周辺情報にアクセスできるのが強みだ。ほかのPCで周辺のスポット情報を検索する場合、最寄りの施設や大体の住所をブラウザ上で入力して、現在位置がどこかを確認するところから始めなくてはならないが、VAIO type Pであれば、自宅であろうが外出先であろうが基本的にブラウザを起動するだけで多種多様な周辺のスポット情報へダイレクトにアクセスできる準備が整う。

VAIO Location Searchの設定では、位置情報のログをCSV形式で保存可能。よく行く場所を解析することもできる

 ちなみに前述の通り、VAIO Location Searchによる現在位置の自動検出機能は無線LANとGPSを併用して行うが、無線LANによる位置の推定はKoozyt(クウジット)の「PlaceEngine」技術を採用している。PlaceEngineは周囲のWi-Fiアクセスポイントを検出して電波情報を測定し、その情報をサーバに蓄積されたデータベースと照合して現在の位置情報(緯度、経度、住所など)を推定する仕組みだ。位置情報がサーバのデータベースに存在しない場合はユーザーが新たに登録でき、登録したデータはほかのユーザーからも利用できるようになる(つまり、ユーザー数が多いほど情報量が増える仕組み)。

 PlaceEngineはGPSがつながらない屋内や地下で利用できるのはもちろん、GPS自体がなくても無線LAN機能だけで現在位置を推定できるのが利点だが、使用には周囲にWi-Fiアクセスポイントがあることが必須になる。一般的なPCで使えるPlaceEngineのクライアントソフトは2006年から公開されており、ユーザーによるアクセスポイントの登録も増えているようだが、検出精度は地域やアクセスポイントの密集度によって異なり、公称で5〜100メートル程度の範囲内での位置推定となる点は覚えておきたい。

ワイヤレスWAN非搭載のモデルでもBluetooth GPSユニット「VGP-BGU1」(直販価格1万7800円)を利用すれば、GPSによる位置検出が可能だ

 今回は手元にGPSが内蔵されるワイヤレスWAN搭載モデルがなかったため、無線LANとオプションのBluetooth GPSユニット「VGP-BGU1」を組み合わせて利用したが、東京23区内でも無線LANだけでは場所によって精度にバラツキがあり、かなり正確な場合もあれば、距離が大きく離れたり、位置情報が未登録の場所も少なくなかった。VGP-BGU1との併用で検出精度は大幅に向上したので、VAIO type Pの地図情報機能をフル活用したいならば、GPSの追加がベターだ。ワイヤレスWANモデルに搭載されるGPS機能の精度に関しては機会を改めて検証したい。

 なお、これは余談だが、Koozytは2月上旬にVAIO type Pと同様、無線LANとGPSをハイブリッドで利用できる汎用PC向けのPlaceEngine新型クライアントソフトを公開する予定だ。これを導入すれば、ほかのモバイルPCでもVAIO type Pに近い感覚での現在位置検出と周辺地図表示が可能になると思われる。

 さて、ここまで解説しておいて何だが、実際はモバイルPCを携帯していても、地図やスポット情報の検索はケータイで済ませてしまう人が多いのではないだろうか。しかし、VAIO type Pのスポット検索機能やオフラインでも参照できる高機能の電子地図ソフトは、わざわざPCをバッグから取り出して起動する手間をかけるだけの優れた検索性と情報一覧性が得られるため、これならば積極的に使ってみたくなるというものだ。

 VAIOのモバイルノートPCとしては低価格帯の製品でありながら、ハードウェア面で携帯性を追求するだけでなく、それを実際にモバイルシーンで便利に使うためのソフトウェア面まで整えてくる点には、「ほかと同じモノは作らない」というVAIO開発陣の気概が大いに感じられる。

地図以外にもモバイルに適したソフトウェア群を用意

 地図以外のソフトウェアにも簡単に触れておきたい。ワンセグチューナー搭載モデルの録画ソフトはおなじみの「VAIO モバイル TV」を採用。デスクトップの端にテレビ画面を固定する表示方法や、視聴中の番組を最大5番組までさかのぼって視聴できる機能、iEPG/ワンセグの番組情報を用いた録画予約、録画した番組のメモリースティックへの書き出しなどの機能を備えており、仕様に不満はない。PC本体のワンセグ用アンテナは内蔵型で、感度はあまり高くなかったものの、ワンセグ使用時にアンテナを引き出す必要がなくスマートな仕上がりだ。ただし、外付けアンテナ用のコネクタは装備していない。

デスクトップの端にテレビ画面を小さく表示する「固定モード」は、横長の液晶ディスプレイを採用するVAIO type Pで使いやすいが、CPUパワーが不足しがちになるので、あまりウィンドウは開きすぎないほうが無難だ(写真=左)。データ放送とともにサイズを可変できる「フロートモード」での表示も行える(写真=右)。もちろん、全画面表示も可能だ

データ同期ソフトの「ACCUSYNC for VAIO」はWindows XP/Vista搭載のPCで利用できる

 自宅や職場でメインのPCとデータを簡単にやり取りできるように、ネットワークで接続したPCとデータの同期が行えるソフト「ACCUSYNC for VAIO」も用意している。VAIO type Pと同期先のPCにこのソフトをインストールすれば、手軽にOutlookのデータ(メール、予定表、アドレス帳、仕事、メモ)、お気に入り、Cookie、マイドキュメント、任意のフォルダを同期させることが可能だ。

 そのほか、DLNA対応のホームサーバ/クライアントソフト「VAIO Media plus」、独自の12音解析技術で音楽をテイストごとに分類して再生できるソフト「VAIO MusicBox」、デジタルカメラやビデオカメラで撮影したデータを日付やフォルダごとに自動的に整理する映像管理ソフト「PMB(Picture Motion Browser)」など、VAIO type PをDLNAクライアントやジュークボックス代わりに使ったり、外出先でフォト/ビデオストレージとして使う場合に役立つソフトも備えている。

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