このReadyNAS NV+を実際に使ってみたところ、最初は起動時の冷却ファンの音の大きさに驚いたが、システムのブートアップが完了しOSが稼働すると、回転が落ち着き、ファンの音も低くなった。それでも、コンシューマー向けのNASよりは大きめで、夜はやや気になるかもしれない。もっとも、事務所などで使う分には問題のないレベルだろう(本機はビジネス向けの製品である)。ReadyNAS NV+では、電源がファンレスになり、少しだがノイズレベルが減ったという。
上述したように、工場出荷時はRAID 5で構成されていたので、この状態でドライブの抜き差しと簡単なベンチマークを行ってみた。HDDを抜くと、ただちにアラートが表示され、再びHDDをセットするとRAIDアレイの同期(再構築)が始まった。もちろん、この過程はログに記録される。設定していれば、管理者へメールも届く。
表1:テストに用いたシステムの構成 | |
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CPU | Core 2 Extreme QX9650 (3.0GHz/FSB 1333MHz/12MB L2) |
マザーボード | GIGABYTE GA-EP35-DS3R |
メモリ | 2GB DDR2-800×2 |
グラフィックス | RADEON HD 4850 |
ブートHDD | 日立GST HDS722580VLSA80 (SATA) |
サウンド | REALTEK ALC889A |
LAN | REALTEK 8111B |
OS | Windows XP SP3 Professional |
一方のベンチマークによる性能評価だが、表1のようなシステムをクライアントを用いてファイルコピー(831MバイトのMPEG2ファイルのコピー)と、CrystalDiskMark 2.2を実行した。比較には、ローカルのSerial ATA HDDとしてシーゲートのBarracuda 7200.11の1Tバイトモデル、シングルドライブのNASとしてアップルのTimeCapsule(500Gバイトモデル)、RAID 5をサポートしたNASとしてコンシューマー向けの製品であるアイ・オー・データ機器のHDL4-G1.0(1Tバイト)を用意した。
大きなサイズ(831Mバイト)のファイルコピーでも、本機の読み出し性能のよさの片鱗くらいは見えるような気がするが、大きな差ではない。もちろんここではローカルのHDDが圧倒的な速さを見せるが、これは予想されたことである(表2)。
表2:831MバイトのMPEG-2ファイルのコピー | 書き込み(PC->Target) | 読み出し(Target->PC) |
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RND4450-100AJS | 1分49秒 | 1分1秒 |
TimeCapsule 500GB | 1分55秒 | 1分47秒 |
HDL4-G1.0 | 1分26秒 | 1分3秒 |
ローカルHDD(ST31000333AS) | 16.2秒 | 17.8秒 |
それに対して、CrystalDiskMakr 2.2の結果はちょっと興味深い。ReadyNAS NV+の性能のよさがかなり目立っている。特に4Kバイトのランダムアクセスでは、読み出しでハッキリと差をつけた。4Kバイトのリードは一般的なWindowsのアクセスで最も頻繁に利用されるものであり、これを重視したチューニングが行われているのだろう。
実際、ビジネスユースでは数100Mバイトもあるような単一ファイルをコピーするといった使い方はあまり多くないので、実用に即したチューニングと言える。また、このテストはFlex RAIDモードのRAID 5で行っているが、X-RAIDの方がシーケンシャルリード/ライトの性能が若干よくなるということであり、ファイルコピーなどの性能が向上すると考えられる。いずれのしても、このクラスのNASとしては、十分な性能だろう。
本機を導入するに際して最も気になるのは、やはりその価格だ。本稿執筆時点において、容量が半分の2Tバイトモデル(RND4450-100AJS)でも18万円前後といったところ。コンシューマー/パーソナル向けのNASであれば、同容量の製品が6万円前後で購入できる。だが本機には、ベンチマークテストのスコアだけでなく、金属製ボディによる堅牢性やX-RAID技術に代表されるRAID構成の自由度、ホットスワップへの対応など、多くの付加価値がある。このあたりをどう評価するかで、結論が出るのではないだろうか。
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