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より速く、より強くなった「VAIO type G」を検証するVAIO堅牢モバイルの進化型(3/3 ページ)

» 2009年01月28日 11時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
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ベンチマークテストでパワーアップを実証

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 ここからは定番のベンチマークテストプログラムで新生VAIO type Gの性能を確認してみよう。評価機のスペックをおさらいすると、Core 2 Duo U9300(1.2GHz)、PC3-6400メモリ2Gバイト(2Gバイト×1枚)、120GB HDD(1.8インチ/5400rpm)、OSはWindows Vista Business(SP1)である。先代機のスコアについてはこちらの記事を参考にしてほしい。

 まず、Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアだが、動作クロックが同じだけにプロセッサのスコアは同じだが、それ以外はすべてパワーアップしている。特にグラフィックスやプライマリハードディスクのスコアで上昇が目立つ。それでもまだグラフィックス/ゲーム用グラフィックスは少し低いが、ともに2点台だった従来機よりはだいぶバランスのとれたシステム構成となっている。

左から、PCMark05、3DMark06、FF XIベンチ3のスコア

 PCMark05 1.2.0でもCPU以外の項目が軒並みスコアを伸ばしている。Graphicsのスコアは低いながらも従来の約2倍になっており、5400rpmのSerial ATAドライブとなったHDDも1500近いスコアアップを記録した。実際に使っていても、全体としてかなり快適性がアップした印象がある。

 その一方で3DMark06 1.1.0、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアは従来よりは向上したとはいえ低調だ。メインメモリがシングルチャネルであることが多少は影響していると思われる。全体的に、似たような構成のMontevina-SFF搭載機とほぼ同等のスコアとなっている。

騒音、発熱の処理は優秀

 一連のベンチマークテスト終了直後の温度を放射温度計で計測してみたところ、室温25度の環境で最も発熱があったのは、底面左側のシール付近で39度前後、底面右側は31度以下だった。ボディ表面の手が触れる部分では、キーボードのF3〜F4キー辺りが最も熱く31〜34度、キーボード右半分は最大で30度。パームレストはさらに低く、左側が最大28度、右側は27度だった。常に指や手を置くキーボードのホームポジションやパームレストはクールなため、不快な感じはいっさいなかった。

 動作時の騒音レベルは、暗騒音32dBの環境で、排気口から10センチと近い距離に騒音計を置いて測定した。アイドル時で35〜36dB程度、通常負荷時で38〜39dB前後だが、PCMark05 1.2.0に含まれる2タスク/4タスクを同時実行させる処理などの場面では1段階騒音が上昇し、42dB前後になる。3DMark06 1.1.0実行中はさらに1ランク大きくなる時があり、ピーク時で最大45dBまで上昇した。

放熱制御の設定は3種類から選択できる

 感覚的には、通常のビジネス利用の範囲ではまったく騒音は気にならない。はっきり騒音として認識できるようになるのは、明らかにCPU負荷がかかりそうな処理の場合のみという印象だ。なお、本機は「VAIOの設定」にある放熱制御の設定で「バランス」「静音優先」「静かさ優先」といった設定を選べるが、今回は発熱測定時、騒音測定時ともに「バランス」でテストした。

 バッテリー駆動時間の測定も行った。テストした試作機は、どの電源設定を選んでもバッテリー駆動時の液晶の輝度調整が作動しない状態だったが、参考までに海人氏作の「Bbench 1.01」を利用し、10秒おきにキーボード押下、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11nドラフト)によるインターネット巡回(10サイト)を行う設定で計測してみたところ、「VAIO標準設定」で5時間28分だった。上記のような状態での計測値のため、実際はもう少し長い駆動時間を期待していいと思われる。

地味ながらビジネスモデルへの本気度を感じる意欲作

 フルモデルチェンジの割には見た目も含めて大きな変化がないように感じられる新しいVAIO type Gだが、これは初代機からもともと完成度が高かったことに加え、ビジネス向けということで、VAIO type Gを継続的に導入している企業内などで外観やユーザビリティが大きく変化しないよう配慮したものだろう。

 VAIOのラインアップは液晶ディスプレイにしても端子類にしても、コンシューマー向け製品での華やかなイメージがあるだけに、ビジネス向けだからといってここまで地味にとどめる必要があるのかとも思うが、あえて流行の最先端を行くコンシューマー機とははっきりと一線を画した仕様とすることで、ビジネス向けにターゲットを絞り込んでいることや、ビジネス向けモデルに本気で取り組んでいることをアピールする意味合いもあるように感じられる。

 もちろん、基本スペックや細部の仕様では随所に改良が行われて、製品としての魅力は確実に増している。特にパフォーマンス面での進化は大きい。従来機が搭載していたチップセットは945GMSだが、その一世代後の965世代ではSFFパッケージのCPUとチップセットが一部のメーカーに限定的に供給されるにとどまり、type Gで採用されることはなかった。Montevina-SFFはその965系からさらに一世代進化したプラットフォームであり、それを搭載した最新のモバイルノートPCと比べると、従来のtype Gは2世代前の設計であったわけで、いかにも見劣りしていた。

 今回VAIO type GもMontevina-SFFを採用したことでようやく性能面で見劣りしなくなり、小型軽量で堅牢なボディやビジネス向けの機能のアドバンテージがより生きることになった。従来機から乗り換えれば確実な進化を実感できるはずだ。新たにビジネス向けに小型軽量モバイルノートPCの購入を考えている人にとっても、有力な選択肢となるだろう。

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