地味ながら実力派の「マカフィーインターネットセキュリティ2009」を検証する2009年版セキュリティ特集 第3回(2/2 ページ)

» 2009年01月30日 16時54分 公開
[瓜生聖,ITmedia]
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ベンチマークテストで検証

 さて、パフォーマンスについては前回までと同様、6種類のベンチマークを行って検証した。

 テスト環境は、Phenom 9500(2.2GHz)、4Gバイトメモリ、Windows Vista Ultimate(SP1)という単体のハードウェア上で行っている。それぞれマカフィー2009インストール時と未インストール時の2パターンを比較した。テストは各5回計測し、緑色のバーが各回の結果、紫色のバーが平均を表している。なお、前回のテストとハードウェアは基本的には同じだが、HDDの交換やWindowsアップデートの適用、ドライバの最新版への入れ替えなどを行っているため、前回との比較はあくまで参考として見てもらいたい。

  • TPCSBenchmark - FileI/O
TPCSBenchmarkのFile I/O。ファイルのオープン/クローズの比率が非常に高いテストだ

 ThePCSpy.comの「What Really Slows Windows Down?」(本当にWindowsを遅くするのは何だ?)で知られる定番ベンチマークテストだ。その内容は、ファイルオープン、テキスト1行書き込み、ファイルクローズを20万回繰り返すもので、体感速度よりもオーバヘッドの割合が高く表れる傾向にある。

 結果は平均で6633%ダウンだった。前回のウイルスバスターの8250%ダウンに比べるとまだいいものの、それでも未インストール時にわずか15秒で終了するベンチマークテストが17分強もかかっている。

  • 大容量ファイルコピー
大容量ファイルを1つだけコピーした結果。パフォーマンスの低下はほぼ0と言ってもいい好成績だ

 次に4Gバイトほど(4,279,523,332バイト)の動画ファイルをHDDから別のHDDへコピーするのに要した時間を計測した。コピー元のHDDにはあらかじめ別のPCでファイルを用意し、1回目の試行ではキャッシュや事前のスキャンがない状態、2回目以降はそれらが有効に働く状態になることを期待してテストを行った。

 結果は5回の試行で大きな違いはなく、平均で3%ほどの速度低下が見られた。ただし、個々の結果ではマカフィー2009インストール時の方が未インストール時よりも速い場合もあるため、速度低下はほぼ誤差の範囲に収まるといっていいだろう。シーケンシャルリード/ライトが大半を占める大容量ファイルコピーでは体感できる速度低下はほぼない。

  • 大量zipファイルコピー
大量ファイルコピーの結果。初回とそれ以降ではっきりとした違いが見られる

 大容量ファイルコピーテストと同様の環境でトータル約1Gバイトのzipファイル、5096ファイルのコピーを行った。

 結果は初回コピー時に248%、それ以外では66%の速度低下が見られた。平均では103%だが、これはファイルのスキャンを初めて行う回とそれ以降の回で大きな違いがあるためで、平均値自体にはあまり意味がない(10回のテストを行うと平均値はさらに改善すると思われる)。未スキャンファイルのコピーとスキャン済みファイルのコピー、どちらがよく利用されるかはユーザーによって異なるため、どちらの数値が体感速度に近いかは一概には言えない。

  • 素数計算

 TPCSBenchmarkのもう1つのテストが10万以上20万未満の素数を求める素数計算だ。こちらはファイルアクセスがないため、純粋に演算処理、メモリアクセスの低下率を見ることができる。

 わずかながら未インストール時よりもマカフィー2009のほうが速いという結果となった。これはTPCSBenchmarkの精度が1秒単位と荒いために生じた、ほかの影響による誤差の範囲と考えてよいだろう。

  • 午後のこ〜だインストール

 午後のこ〜だはインストール時にコンパイルを行う、Windowsアプリではめずらしいインストーラを持つ。コンパイルはファイルアクセスと演算の両方を行うため、より通常の操作感に近い、複合的な処理に対する傾向が見えるはずだ。実際の計測はコンパイルを開始するボタンをクリックしてからコンパイル、リンクが完了して次のウィザードダイアログが表示されるまでの時間を計っている。

 結果は未インストール時がコンスタントに21秒強であるのに対し、マカフィー2009では同様に28秒前後、約29%の速度低下だった。

  • 起動時間

 PassMark Softwareの「Rebooter」を使って再起動時間を計測した。RebooterがWindowsを終了させてからPCが再起動し、再びスタートアップに登録されたRebooterが起動するまでの時間を計測するため、終了にかかる時間+起動にかかる時間を調べることができる。

 結果は未インストール時の平均が84秒であるのに対し、マカフィー2009は109.6秒と、約30%の速度低下となった。

素数計算。オンメモリの計算主体のプログラムではパフォーマンス低下はほぼ見られない(画面=左)。午後のこ〜だのインストール(コンパイル)時間を計測。VisualStudioのコンパイルでも同様の傾向になると思われるが、実際のビルドでは複合的な要因に左右されるだろう(画面=中央)。再起動時間の結果。未インストール時の5回目のテストが例外的に時間がかかっているため、全体の結果としては約30%の速度低下だが、それを除くと37%となる(画面=右)

細かい配慮が行き届いた“いぶし銀”のセキュリティソフト

複数PCにインストールしたマカフィー2009はネットワークを介して管理・確認できる

 マカフィー2009には「目立つわけではないが、ほかの製品と比べてちょっとずつ優れている特徴」が多く見られる。無料のユーザーサポートは365日朝9時から夜9時まで受け付けている。帰宅後に自宅PCの前に向かう一般の学生、社会人にとってはうれしい時間帯だ。また、一般的な電話やメールのほか、チャットによるサポートも利用できる。チャットは電話のリアルタイム性とメールの情報の正確性を兼ね備えた方法であり、ソフトウェアのサポートには効果的な方法だ。

 光学ドライブを持たないNetbook向けにmicroSDカード(SDカードアダプタ付属)でパッケージ販売されているのも特徴だ。ドライブ容量の小さなNetbookではインストールパッケージを内蔵ストレージに置いた状態でのインストールができない可能性もあるし、例えできても容量確保のためにインストールパッケージを削除しなくてはならないかもしれない。Netbook単体で読み込みができるメディアでインストールパッケージを所有しておくことは意味のあることだ。

 そのほか、全画面アプリケーションでの不要なポップアップを抑制するエンターテイメントモードや、1ライセンスで3台までインストール可能など、ほかのセキュリティソフトが押さえているところはきっちりと押さえている。マカフィーのWebサイトでは30日間の無料試用版も提供されているので、“いぶし銀”のセキュリティソフトが気になった人はまずは試してみるといいだろう。

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