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» 2009年02月02日 18時00分 UPDATE

不況は“追い風”?――日本エイサーの野望2009

Aspire oneの成功によって日本市場での存在感を増すエイサーが2009年の事業戦略について説明した。2008年の本格参入から「5年以内に国内PC市場でトップ5へ」は実現するのか。

[ITmedia]

2009年はNetbookを1500万〜2000万台出荷する

og_acer_001.jpg 日本エイサー代表取締役社長 ボブ・セン氏

 ヒューレット・パッカードやデルと肩を並べる世界的なPCメーカーでありながら、日本市場の特殊性を「最後の牙城(がじょう)」という言葉で表現し、2008年にようやく日本市場への本格参入を始めたエイサー。「5年以内に日本市場のトップ5をめざす」(日本エイサー)という野心的な目標を達成するための足がかりとなったのは、2008年のPC業界で最も注目されたキーワードの1つ「Netbook」だった。

 日本エイサーは、当時低価格ミニPC市場で先行していたASUSTeKやMSIといった台湾勢のひとりとして「Aspire one」をいち早く投入。8月の発売から12月までというわずかな期間で、ワールドワイドの出荷台数で500万台、日本でも20万台という爆発的なヒットを記録し、日本エイサーの国内売上高は前年比で240%を超える成長を達成したという。

og_acer_001-2.jpg 日本でも人気を得たAspire one。写真は桃華絵里さんが所有するデコレーションモデル

 日本エイサー代表取締役社長のボブ・セン氏は、先日行われた事業戦略説明会において、「2008年はPCリテラシーの高い層へリーチできた。続く第2のターゲットは一般のユーザー」と語り、2009年はNetbookを中心として顧客層を一般ユーザーへ拡大し、Netbook分野での主導的立場を獲得する方針を示した。「今年はNetbookだけで1500万台から2000万台の出荷をめざす」(同氏)と自信を見せる。

 もっとも、2008年における同社の総PC出荷台数はワールドワイドで約3000万台。現在の世界的な景気後退を考えると、「Netbookだけで2000万台」という目標はかなり野心的に思える。

 ボブ・セン氏はこの世界情勢について「これからはより効率が重視される時代になる」と予想したうえで、人的リソースを製品開発に注力し、販売は各国のパートナーにまかせるチャンネルビジネスに徹底してきた同社の強みを強調する。従業員数を約5000人ほど(企業規模でみれば圧倒的に少ない)にしぼったスリムな経営や、コストパフォーマンスでスケールメリットを持つエイサーは、この不況はチャンスになる、という主張だ。確かに(日本のような)エイサーのシェアがまだ低い市場においては、不況を“追い風”ととらえる見方もできるかもしれない。このほか、さらなる成長を実現するための施策として、ターゲットごとに細分化した製品ブランドの展開や、法人向けビジネスの取り組みを強化していくと説明した。

og_acer_002.jpgog_acer_003.jpgog_acer_004.jpg 2009年はターゲットをPCエントリー層に拡大していく(写真=左)。各国パートナーと連携して販売を行うチャンネルビジネス(写真=中央)。ハイエンドからエントリーまでの各層に応じてセグメント化するマルチブランド戦略を推進(写真=右)

同社初のスマートフォンを投入、4月には「Aspire one」の“次世代モデル”も

og_acer_005.jpg 10.1型液晶を採用したAspire one

 今回実施された事業説明会では、現行の新製品が会場に展示されるとともに、近日リリース予定の参考出品も行われている。まず目を引いたのが「Aspire one」の10.1型モデルだ。詳細なスペックは明かされていないが、液晶解像度は現行機と同じ1024×600ドット表示になる見込み(同社)で、8.9型モデルと比べて大幅な仕様変更はなさそうだ。Netbookのターゲットを一般層へ拡大するという戦略にあわせて、第1世代のラインアップを拡充する位置付けになるのだろう。なお、天板カラーとしてホワイト、ブラック、ブルー、レッドを用意した4色展開になる。2月にリリースされる予定だ。

og_acer_006.jpgog_acer_007.jpgog_acer_008.jpg 液晶画面のサイズが従来に比べて一回り大きくなる(写真=左)。左側面(写真=中央)と右側面(写真=右)。液晶ヒンジ部のデザインが変わったが、NISSHAのIMD技術を採用した外装など、デザインコンセプトは従来モデルを踏襲している

 もう1つの注目製品は、Windows Home Serverを採用したアプライアンス型サーバ「Aspire easyStore Home Server」だ。モバイルPCからのリモートアクセスや、デジタルコンテンツの管理・共有、自動バックアップなどの用途を想定した特化型サーバで、入出力デバイスを省き、ネットワークに接続するだけで簡単に導入できるのが特徴。CPUにはAtomを採用し、ホットスワップに対応した4基のHDDベイを備えるほか、拡張ポートとしてeSATAと4基のUSB 2.0を搭載する。こちらも2月のリリースを予定している。

og_acer_009.jpgog_acer_010.jpgog_acer_011.jpg 「Aspire easyStore Home Server」。Atomを採用し、小型かつ静音な設計が特徴。前面のとびらを開くとHDDにアクセスでき、ホットスワップに対応する。前面のUSBに接続したデバイスのデータはボタン1つでバックアップできる(写真=左)。このほか、eMachinesやGatewayブランドの現行製品も展示されていた(画面=中央/右)

 また、ボブ・セン氏は直近のスケジュールとして、2月中旬にスペイン・バルセロナで行われるMobile World Congressにおいて、同社初のスマートフォンを発表する(関連記事:Acer、台湾のスマートフォンメーカーを買収)ほか、4月にはNetbookの次世代モデルをリリースする予定であることも明らかにした。

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