これぞ「VAIO type P」の真骨頂!?――ワイヤレスWAN+GPSモデルを攻略する“P”旋風は止まらない(3/3 ページ)

» 2009年02月09日 11時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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ワイヤレスWANでも2時間以上のバッテリー駆動が可能

 ワイヤレスWANモデルの魅力はほとんど場所を問わずにインターネット接続を利用できることだが、同時にバッテリー動作時間も気になるところだ。ここでは内蔵ワイヤレスWANとそのほかの通信機能でインターネット接続を行った場合のバッテリー駆動時間を比較してみた。

 NTTドコモ以外のキャリアを選択したいなど、ワイヤレスWAN機能を内蔵せずに使いたい場合、Bluetooth接続でモデムの利用が可能、かつ定額制でインターネット接続が可能な端末も現在は入手可能で、外付けにはなってしまうが、ワイヤレスでスマートなインターネット接続を実現する選択肢はほかにも存在する。

 バッテリー駆動時間のテストは、内蔵ワイヤレスWAN、内蔵無線LANに加えて、USB通信モジュールであるイーモバイルの「D02HW」、Bluetoothモデムとしても使えるイーモバイルの音声端末「H11T」を使い、「BBench 1.01」(海人氏作)を利用して10秒おきにキーボード押下、60秒ごとに10サイトのインターネット巡回を行う設定で実施した。

 電源設定は「VAIO標準設定」にセットし、バッテリー満充電の状態から残量5%に達するまでの駆動時間を計測している。テスト時はインターネット接続に必要な通信機能のみをオンにした。通信速度は内蔵ワイヤレスWANとイーモバイルで受信1〜2Mbps(H11Tは最大600kbps程度)、内蔵無線LAN(IEEE802.11gを使用)で受信20Mbps程度の環境だ。

バッテリー駆動時間のテスト結果

 結果は右のグラフの通りで、内蔵ワイヤレスWAN利用時でも2時間をクリアした。オプションの「バッテリーパックL」を組み合わせれば、インターネットに接続しっぱなしの状態でも4時間以上のバッテリー駆動が可能ということになる。内蔵無線LANでのバッテリー駆動時間とは差が付いたが、無線LANは通信速度が速いので、実通信時間が短くて済むことや、省電力化が進んでいることを考慮すれば、おかしな結果ではない。

 USB通信モジュールより内蔵ワイヤレスWANのほうが長時間駆動が可能なのは予想の範囲内だったが、Bluetooth接続よりも長時間駆動が行えたのはちょっと意外だった。Bluetoothモデムとして用いたH11TはBlueooth 1.2仕様(非対称通信時の通信速度が最大約720kbps)で、通信速度が下り最大600kbps程度に制限されたことから、実通信時間が長くなった関係もあると思うが、内蔵ワイヤレスWANの省電力はなかなか優秀といえる。

GPS機能の内蔵もお得

 ワイヤレスWANと同時搭載となるGPS機能はワイヤレスWANモジュールに統合されたものだが、ソフトウェアから一般的なGPSモジュール同様にシリアルポート接続として扱えるようになっている。今回使用したのはプリインストールされた地図ソフトの「プロアトラスSV4」のみにとどまったが、屋外であれば誤差は数メートル程度、徒歩ナビ利用でも十分実用レベルの精度だった。

 このほか、「VAIO Location Search」ユーティリティにより、リアルタイムに現在の位置情報を取得可能で、この情報をインターネットの地図/情報サービスに受け渡し、ナビゲーションや周辺スポットの検索をスムーズに行うことができる。こうした活用については、レビュー記事の後編を参照してほしい。

「プロアトラスSV4」からGPSを使って現在地を表示した様子(写真=左)。中心位置にあるT字路で計測したので誤差は数メートル程度。外付けのGPSモジュールは安くても1万円程度はするので、コストパフォーマンスという点でも内蔵ワイヤレスWANとセットになったGPS機能は魅力だ。プロアトラスSV4でのGPS関連の設定画面では、GPSユニットがシリアルポート接続になっている(写真=右)。プロアトラスSV4以外でも、GPS対応の多くのアプリケーションで利用できるだろう

ワイヤレスWANモデルの店頭販売に“ソニーの本気”を感じる

 HSDPAに対応したワイヤレスWAN内蔵のノートPCは、2007年後半から販売が開始されているが、ほとんどの製品が直販専用であったり、販売数が限定されるなど試験販売的な側面も感じられたのは事実だ。これに対し、VAIO type Pは店頭販売モデルも用意されており、ソニーのワイヤレスWANへの取り組みに“本気”を感じる。

 また、VAIO type Pという超コンパクトで高い実用性も兼ね備えたノートPCであるからこそ、内蔵ワイヤレスWANの意味は大きい。実際、筆者の行動範囲内でワイヤレスWANを使ってインターネットに接続できない場所はほとんどなかった。バスでの移動中や駅での待ち時間など腰掛ける場所さえあれば、ニュースサイトをチェックしたり、メールを送受信したりと、インターネットをちょくちょく利用する気になったのは、「VAIO type P+内蔵ワイヤレスWAN」という組み合わせだったからで、もっと大きいワイヤレスWAN内蔵ノートPCではこうはいかないと思う。

 一方、定額制の利用では専用の接続ユーティリティがあるため、せっかくの定額制でありながら、基本的にはWebブラウザなどの利用に連動してオンデマンドでインターネット接続が行えない点は少々もったいない。この点はNTTドコモから接続ユーティリティの提供を受けている都合もあるだろうが、今後はぜひVAIO Smart Networkに完全統合するといった改良を望みたいところだ。現状でもワイヤレスWANモデルは利便性が高いが、この点がクリアされるだけでも魅力は大幅に増すのではないだろうか。

<以下、筆者追記(2009年2月9日15時)>

 なお、実機使用中には確認できなかったが、NTTドコモは1月23日付けで契約約款を改定しており、専用の接続ユーティリティなしでも、PCからのインターネット接続定額の利用を可能とした。接続方法もホームページで1月30日に公開している。

 VAIO type PであればWindowsのダイヤルアップ接続機能を利用する「N2502」での手順が参考になり、この方法によってオンデマンドでのインターネット接続も可能になる。Windowsのダイヤルアップ接続機能を用いた場合でも確認した範囲(ほかのPCと「A2502」の組み合わせ)では、メッセンジャーソフトなどが使えないといった制限は変わっていないが、オンデマンドでの利用が可能となることで利便性は大きく増す。

 ただし、接続先を間違えると従量課金となる危険性は接続ユーティリティを使う場合よりも増すことになるので、十分に注意を払う必要があるとともに、まさしくこの部分をVAIO Smart Networkにうまく統合してほしいと思う。ちなみにNTTドコモとしては「通信の最適化(TCP/IPの最適化)やデータ圧縮の機能が使えないため、基本は専用の接続ユーティリティを使用してほしい」としている。

 後付けになってしまい申し訳ないが、今回のNTTドコモ側の仕様変更でワイヤレスWAN内蔵のVAIO type Pにさらなる魅力を感じる人も少なくないはずだ。

※記事初出時、「定額制でのワイヤレスWAN機能によるインターネット接続は専用の接続ユーティリティが必須」との記述がありましたが、NTTドコモの契約約款改正により、既に手動での接続にも対応していました。おわびして訂正させていただきます(2009年2月9日15時)

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