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» 2009年02月10日 16時10分 UPDATE

実売5万円以下:格安A3対応インクジェット複合機の衝撃――JUSTIO「MFC-6490CN」(後編) (1/2)

筆者が選んだ2008年のベストインパクト複合機「MFC-6490CN」。レビューの後編では印字速度のベンチマークテストや印刷サンプルの評価を行う。

[小川夏樹,ITmedia]

気になるA3用紙の印字速度などをベンチマークで検証する

og_mfc_01.jpg MFC-6490CN

 前編では使い勝手を中心に「MFC-6490CN」を紹介してきたが、続く後編ではA3サイズを含めた印刷速度やコピー速度などをチェックするために、ベンチマークテストを実施する。ブラザー工業が公称している印刷速度は、モノクロ35ppm/カラー28ppmで、コピー速度はモノクロ23cpm/カラー20cpmだ。この値が実際どうなのかを検証した。なお、テスト時のドライバ設定は「標準」(「普通」という表示)の状態であり、インクを減らして高速に印刷するような設定には変更していない。

 当初のテスト内容は、「A4モノクロのFPO(ファーストプリントアウト)」「A4モノクロのFCO(ファーストコピーアウト)」「A4モノクロのFCO(ADF)」「JEITA J1(A4モノクロ35部)」「JEITA J1(A4モノクロ35部FPO含めず)」「JEITA J1(A4モノクロ23部コピー、原稿台)」「JEITA J1(A4モノクロ23部コピーFCO含めず、ADF)」に「A4カラーのFPO」「A4カラーのFCO」「A4カラーのFCO(ADF)」「JEITA J9(A4カラー28部)」「JEITA J9(A4カラー28部FPO含めず)」「JEITA J9(A4カラー20部コピー、原稿台)」「JEITA J9(A4カラー20部コピーFCO含めず、ADF)」であった。しかし、実際に計測を開始してみると、A4モノクロを35部印刷するのに7分39秒もかかってしまい、公称値には遠く及ばなかった。このため出力する枚数を減らして再計測している。

 変更したテスト項目は「JEITA J1(A4モノクロ5部)」「JEITA J1(A4モノクロ5部FPO含めず)」「JEITA J1(A4モノクロ6部コピー、原稿台)」「JEITA J1(A4モノクロ6部コピーFCO含めず、ADF)」に「JEITA J9(A4カラー4部)」「JEITA J9(A4カラー4部FPO含めず)」「JEITA J9(A4カラー3部コピー、原稿台)」「JEITA J9(A4カラー3部コピーFCO含めず、ADF)」である。また、ADFを利用した場合はADF側に複数枚の原稿をセットして計測した。なお、コピーの枚数がプリントの枚数よりも少ないのは、印字速度とコピー速度の公称値の違いを反映させたためだ。

ベンチマークテストの結果(すべてA4用紙)
「モノクロのFPO」 23.5秒
「モノクロのFCO」 27.7秒
「モノクロのFCO(ADF)」 20.4秒
「JEITA J1(モノクロ5部印刷)」 74.33秒
「JEITA J1(モノクロ5部印刷FPO含めず)」 63.8秒
「JEITA J1(モノクロ3部コピー、原稿台)」 58.7秒
「JEITA J1(モノクロ3部コピーFCO含めず、ADF)」 51.1秒
「カラーのFPO」 35.5秒
「カラーのFCO」 48.2秒
「カラーのFCO(ADF)」 40.7秒
「JEITA J9(カラー4部印刷)」 116.4秒
「JEITA J9(カラー4部印刷FPO含めず)」 103.7秒
「JEITA J9(カラー3部コピー、原稿台)」 108.5秒
「JEITA J9(カラー3部コピーFCO含めず、ADF)」 102.9秒
テストに使用したPCのスペック CPU:Athlon 64 3200+(2.0GHz)、メインメモリ:2Gバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A/160Gバイト)、OS:Windows Vista Ultimate(SP1)

 テストはWord 2007からJEITA JI(A4モノクロ)およびJ9(A4カラー)の電子協標準パターンを印刷する方法である。計測はストップウォッチによる手動計測で、Word 2007(JEITA J1/J9印刷)の印刷画面で「OK」をクリックした時点から最後の用紙が排出されるまでを複数回計測し、その中央値を採用した。もちろん、Word 2007の印刷処理にかかる時間を含めた出力となっている点を考慮してほしい。コピーはコピーボタン(モノクロ/カラー)を押した時点で計測を開始し、最後の用紙が排出されるまでとなっている。

 また、A3の速度は公称値が存在しないため、サイズ(A4用紙2枚)を考慮して印刷枚数をA4速度の半分程度にしている。テストした項目は「A3モノクロのFPO」「A3モノクロのFCO」「JEITA J10(A3モノクロ5部印刷)」「JEITA J10(A3モノクロの5部コピー)」「A3カラーのFPO」「A3カラーのFCO」「A3カラー5部印刷」「A3カラー5部コピー」で、A3用紙の印刷速度を算出した。

 テストに使用したデータは、電子協標準パターン「JEITA J10」のExcelデータに含まれるA3チャート部分だ。この表をモノクロとカラーで利用している。また、モノクロ印刷時にはプリンタドライバで「モノクロ」を指定し、コピー時はADFを利用してモノクロ/カラーのコピーボタンを押している。そしてA4のテストと同様に、ストップウォッチによる手動計測を行っている。

 結果は表の通りだ。A4用紙ではモノクロの印刷が約5ppm、モノクロのコピーが約3cpm、カラー印刷が約2ppm、カラーコピーが約1.7cpmという結果となった。やはりプリンタドライバの標準設定では、当初に予想した通りの速度である。正直、レーザープリンタと比べると遅いと言わざるを得ない。また、公称値にもはるかに及ばない。ただし、コピーでADFを利用した場合は、モノクロ/カラーともに原稿台を使ったコピーよりも速い。コピーをする場合はADFメインでの利用を考えたほうがよいだろう。

ベンチマークテストの結果(すべてA3用紙)
「モノクロのFPO」 33秒
「モノクロのFCO」 29.2秒
「JEITA J10(モノクロ2部印刷)」 60.2秒
「JEITA J10(モノクロ2部コピー、ADF)」 58.7秒
「カラーのFPO」 51.8秒
「カラーのFCO」 52.9秒
「JEITA J10(カラー2部印刷)」 124.8秒
「JEITA J10(カラー2部コピー、ADF)」 110.8秒
テストに使用したPCのスペック CPU:Athlon 64 3200+(2.0GHz)、メインメモリ:2Gバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A/160Gバイト)、OS:Windows Vista Ultimate(SP1)

 筆者はこうしたインクジェット機でうたわれる公称値に対して、以前から疑問を感じている。こうした“見かけの公称値”はインクジェットプリンタに限った話だ。同社製品に限らず他社製品でも公称値は、インクをところどころ省いて印刷する「最速モード」にした数値が用いられている。確かにその設定にすれば公称値に近い速度が出るので頭から間違っているとは指摘できないが、インクを間引く特殊な環境下で通常利用するとは考えにくい。こうした公称値を使うのはやめてもらいたい。

 一方A3サイズの出力では、モノクロ印刷とコピーが約2ppm、カラー印刷とコピーは約1ppmという結果になった。データ処理の方法によるためか64Mバイトの内蔵メモリが不足したのか理由は不明だが、カラー印刷時(JEITA J10のカラー2部印刷)の1枚目の出力がカラーのFPOを単体で計測した時に比べて時間がかかってしまった。そのため、カラー印刷よりもカラーコピー(JEITA J10のカラー2部コピー、ADF)のほうが速い結果になっている。そしてA4出力と同様に、コピー利用時はADF経由のほうが高速だ。

 やはりA3のレーザープリンタには遠く及ばないが、今回出力に利用したデータはExcelで作成された表である。インクジェットはその構造上、罫線の印刷に弱い点を考慮すれば、十分に及第点をつけてもよいだろう。

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