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» 2009年02月12日 18時00分 UPDATE

SSDかHDDか、それが問題だ:今度のEee PCはHDD搭載でも美しい――「S101H」と「1002HA」を使い比べる(前編) (1/4)

かつてASUSの「Eee PC」はSSDの優位性を盛んに強調していたが、昨今は容量で有利なHDD搭載機が増えつつある。HDD搭載の最新モデル2台とSSDモデルを比較した。

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]

HDD搭載Eee PCに本腰を入れ始めたASUS

Eee PCシリーズはHDD搭載モデルが拡充されつつある

 ASUSTeK Computer(ASUS)の「Eee PC」シリーズは、Aserの「Aspire one」シリーズとともに低価格ミニノートPC市場をリードするNetbookブランドとして、日本でもすっかり定着した感がある。

 Eee PCは初代モデルの「Eee PC 4G-X」から振動や衝撃に強いSSDの採用を特徴としており、2008年11月に発売された薄型軽量モデル「Eee PC S101」では、SSDの高速化による性能面でのアドバンテージもアピールするようになった。

 その半面、Eee PCを含むNetbookに搭載されるSSDは記録容量が小さく、S101では16Gバイトまで増量されたものの、データストレージの空き容量が不足しがちになる弱点も抱えている(無償のオンラインストレージ使用権を添付することで、フォローはされていたが)。実際、筆者の周囲でも小容量のSSDは避けて、大容量のHDD搭載Netbookを選択したという人が少なからずいた。

 こうした市場ニーズの多様性に対応するため、ASUSは2008年10月に発売した「Eee PC 1000H-X」以降、HDD搭載Eee PCのラインアップを少しずつ拡充している。中でも今回取り上げる「Eee PC S101H」と「Eee PC 1002HA」は、2月7日に発売されたばかりの最新HDD搭載モデルとして注目だ。

 これまでのHDD搭載Eee PCは、Atom採用の第1弾モデル「Eee PC 901-X」(Eee PCとしては第2世代)をベースとしたものだったが、S101Hと1002HAは薄型軽量ボディに加えて細部まで凝った外装に定評があるS101(第3世代Eee PC)が基になっており、持ち運びやすさやデザインのよさでNetbookを選びたいと考えているユーザーにとって、魅力的な選択肢が増えたといえる。

左が「Eee PC S101H」(ブラウン)、中央が「Eee PC 1002HA」(メタルグレー)、右が「Eee PC S101」(シャンパン)。S101Hと1002HAは160GバイトのHDD、S101は16GバイトのSSDを搭載する

 製品ラインアップの位置付けとしては、S101HがS101と同じデザインを採用したプレミアムモデル、1002HAが第3世代のS101Hと第2世代の1000H-Xとの間を埋めるミドルハイモデルとなる。ここではよく似たS101Hと1002HA、そしてSSD搭載モデルのS101では何が違うのかを多角的に比較・検証していきたい。

基本スペックは同等に見えるが……

 まずは基本スペックの違いから見ていこう。下表は、SSD搭載のS101とHDD搭載のS101Hおよび1002HAの主な仕様と価格をまとめたものだ。

Eee PC S101、S101H、1002HAのスペック
製品名 Eee PC S101 Eee PC S101H Eee PC 1002HA
発売時期 2008年11月22日 2009年2月7日 2009年2月7日
実売価格 6万4800円前後 6万4800円前後 5万2800円前後
カラー ブラウン、シャンパン、グラファイト メタルグレー、ダークブルー
OS Windows XP Home Edition(SP3)
CPU Atom N270(1.6GHz)
チップセット Intel 945GSE Express
メインメモリ 標準1Gバイト
メモリスロット(空き) SO-DIMM×1(0)
液晶ディスプレイ 10.2型ワイド(1024×600ドット) 10型ワイド(1024×600ドット)
グラフィックス機能 チップセット内蔵
データストレージ SSD 16Gバイト HDD 160Gバイト
無料Webストレージ 60Gバイト 10Gバイト
内蔵スピーカー ステレオスピーカー
LAN機能 100BASE-TX/10BASE-T
無線LAN機能 IEEE802.11b/g、IEEE802.11n(ドラフト2.0)
Bluetooth機能 Bluetooth 2.0+EDR
キーボード 86キー日本語キーボード
ポインティングデバイス タッチパッド(4方向スクロール機能付き)
マウス USBマウス
外部ディスプレイ出力 D-Sub 15ピン×1
USBポート USB 2.0×3
カードリーダー SDHC/SD/MMC
オーディオ ヘッドフォン×1、マイク×1
Webカメラ 30万画素 130万画素
バッテリー駆動時間 約6時間 約4時間 約4.1時間
バッテリー充電時間 約2時間 約1.83時間 約1.83時間
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 264×180.5×18〜25ミリ 264×181×25〜27.5ミリ 264×181×27.6〜27.8ミリ
重量 約1.06キロ 約1.1キロ 約1.25キロ
保証 本体:購入日より1年間、バッテリー:購入日より6カ月間、液晶ディスプレイ:購入日より30日間のZBDサービス

 見ての通り、いずれも仕様はかなり似通っている。Netbookということもあり、CPUのAtom N270(1.6GHz)、チップセットのIntel 945GSE Express、メインメモリの標準1Gバイト(SO-DIMMスロット×1)といったスペックは共通だ。3基のUSB 2.0をはじめとするインタフェースやネットワーク機能も変わらない。

 スペックの違いが最も大きいデータストレージは、S101Hと1002HAが160GバイトHDD、S101が16GバイトSSDを搭載しており、容量は約10倍も違う。その代わり、無料のWebストレージ(Eee Storageサービス)使用権は、S101Hと1002HAが10Gバイト、S101が60GバイトとHDD搭載モデルでは容量が削減されている。もっとも、ローカルに大容量のファイルをためておけるという点ではHDDのほうが使い勝手がいい。HDDとSSDでパフォーマンスなどがどう変わるのかが気になるところだが、性能の検証は次回行う。

 S101Hと1002HAが搭載する160GバイトHDDは2.5インチ/9.5ミリ厚のSerial ATAタイプで、約81.65GバイトのCドライブと約62.47GバイトのDドライブにパーティションが分かれている。リカバリイメージと起動の高速化機能「Boot Booster」の有効時に利用されるシステム領域が別に確保されているが、それでもユーザーが使える残量は十分だ。今回入手した機材はいずれもシーゲイトのST9160310AS(回転数5400rpm)を用いていた。

セットアップ直後のデータストレージの状況を「ディスクの管理」で比較した。左がS101H、中央が1002HA、右がS101だ。S101に比べて、記録容量には余裕がある

 HDDは、底面にある2本のネジで固定されたカバーを開けるだけで簡単にアクセスできる。当然、ユーザーによるHDDの交換はメーカー保証対象外の行為だが、S101は本体をかなり分解しなければSSDにアクセスできず、汎用性の低いMini PCI Express型のSSDモジュールを採用していたことと比較すると、大きな違いだ。より大容量のHDDや高速なSSDが市場に出回っている標準的な2.5インチ/9.5ミリ厚のSerial ATAタイプのデータストレージを使用し、それを容易に交換できる仕様に魅力を感じるユーザーは少なくないだろう。

S101H(写真=左)と1002HA(写真=中央)の底面にあるHDD用カバーを外したところ。いずれも2.5インチ/9.5ミリ厚のHDDは衝撃吸収用のラバーで覆われている。メモリモジュールが装着されたSO-DIMMスロットと、無線LANモジュールが搭載されたMini PCI Expressスロットも2本のネジで固定されたカバーを開くだけでアクセス可能だ。S101Hと1002HAに内蔵されていたHDDのST9160310AS(写真=右)。本体とはフレキシブルケーブルで接続されている

 データストレージ以外の主な違いは、本体の厚さ、重量、バッテリー駆動時間、ボディカラー、Webカメラの画素数、画面サイズ(わずかに違う)、そして価格といったところだ。S101Hと1002HAはほとんど同じスペックだが、価格差が1万2000円前後もある点に注目したい。

S101Hのデバイスマネージャ画面

1002HAのデバイスマネージャ画面。中身はS101Hと同等だ

S101のデバイスマネージャ画面。データストレージ以外の装備はS101H、1002HAと変わらない

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