いじり放題? な入出力デバイス――「G13アドバンスゲームボード」を試すPC USER的レビュー(3/4 ページ)

» 2009年02月17日 12時53分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

はったりではないゲームパネル

 G-13ならではの特徴が筐体上部に備えられた160×43ピクセルのLCDディスプレイだ。以前紹介したキーボード「MX5500」にも「ダイナミックキーボードディスプレイ」と呼ばれるLCDが搭載されていたが、この2つはまったくの別物である。G-13の場合は先行製品であるゲーミングキーボードG15に搭載されていたものと同じく、ゲームパネルと名付けられている。

 ゲームパネルはPC側でプログラムを実行し、その結果を表示するサブディスプレイとして動作する。初期状態ではクロックやメディアプレーヤーなどが登録済みだが、ほかのアプリケーションを追加することもでき、ゲームパネル対応ゲームではゲーム中にさまざまな情報の表示が可能になる。

初期状態では、時計やCPU/メモリ使用率、ストップウォッチなどが登録されている

ゲームパネルはG15キーボード搭載のものと互換性があるため、発売間もないG-13でも利用できるアプリがすでに公開されている

 とはいえ、キーボードに目を落とすことすらまれな、タッチタイピングが基本のゲームプレイにおいて、ディスプレイから目を離してゲームパネルを見るかというとやや疑問は残る。特にディスプレイとゲームパネルの目からの距離の差が大きければ大きいほど、肉眼の焦点合わせのロスタイムも大きくなり、操作ミスの原因にもなる。

 だが、ゲームパネルにはSDK(開発キット)が公開されており、個人でも対応アプリを開発することができるという大きな強みがある。SDKは製品添付CDにも収録されており、VisualC++ 6.0用のプロジェクトファイルが同梱されている。ドキュメントは英語のみだが、ローカライズのサンプルも含まれているようだ。

LCD SDKは製品添付CDにも収録(\x86\program files\Logicool\GamePanel Software\LCD Manager\SDK)されている(画面=左)。残念ながらドキュメントはすべて英語。画面はLogitech LCD SDK for Microsoft Windows (lglcd) V1.03 Overview and Reference(lglcd.pdf)。ユーザーはlglcd.libをスタティックリンクしたアプリケーションを作成する。G-13との通信はLCDMon.exeが一元的に行う(画面=中央)。SDKにはラッパークラスも用意されている。一般的にはこちらを利用することになるだろう(画面=右)

 メディアプレーヤーやシステムの情報表示ディスプレイとして表示内容、デザインをカスタマイズしたいのであればプログラミングは必要ない。サードパーティ製だが、LCD Studioを利用すれば画面を見ながら直感的にデザインすることができる。

 また、VistaではG-13はWindows SideShowデバイスとして認識されるため、SideShowガジェットを表示することもできる。Windows SideShowはVista登場時にサイドバーガジェットと並ぶ新機能の1つとして登場した、ガジェットを表示するための小さなサブディスプレイだ。ただし、マイクロソフトの思惑をよそに普及は進んでおらず、2009年2月時点でも日本語対応SideShowガジェットはわずか15件にとどまっている。また、画像や表示情報の多いものは仕様的に厳しい表示結果となるようだ。

LCD StudioはLCDStudio.comでダウンロード可能(画面=左)。LCD Studioは電光掲示板のエディタ。VFDや有機ELパネルディスプレイもサポートデバイスとなっている。G-13の場合は互換性のある「Logitech G15 160x43 Usb Keyboard」を選択する(画面=中央)。ツールボックスからパーツを選び、キャンバス上に配置していく。部品のプロパティで表示するデータを指定すれば画面上だけでなく、G-13自身にもリアルタイムに反映される(画面=右)

右上にCPU平均負荷の履歴バーグラフ、左下に各CPUコアの負荷を3/4円のゲージと数値で表示した。右下は利用可能な物理メモリ(写真=左)。SideShowガジェットはWindows Live Galleryからダウンロードできる(写真=中央)。SideShowガジェットの1つ、AccuWeather。指定した都市の天気予報だが、気温しか表示しきれていない。SideShowデバイスとしては解像度が低いか(写真=右)

 メディアプレーヤーの情報表示やRSSリーダーといったアプリは(MX5500のときからの)解像度の向上によってかなり実用的になってきた。特にRSSリーダーは気になる記事が表示されているときに機能ボタンを押すとPC側でブラウザが起動し、本文を表示することができる。見ても見なくてもいいがだらだらと表示させておき、目に留まったときにアクションを起こす、という使い方を想定したアプリにはよいかもしれない。ちょうどディスプレイの外に情報を追いだした形だ。

 その一方でポップアップのように注意を引く必要があるアプリは見落としが発生しがちになり、あまり向いていないのではないかと思う。バックライトをフラッシュさせるなどの方法も考えられるが、バックライトの制御はスクリプトからは可能だが、LCD SDKでは不可能なようだ。

MX5500とG-13で同じ動画ファイルを再生したときの表示の違い。左がMX5500、右がG-13だ。長いタイトルは2行に別れてそれぞれスクロールするため、本来「イmode」と表示されるはずが泣き別れている

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