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ワイド液晶を搭載して生まれ変わった「ThinkPad X200」の実力を探る元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)

» 2009年02月18日 16時30分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

ThinkPad X200シリーズの立ち位置とは

「ThinkPad X200」

 改めていうまでもなく、ThinkPadは旧IBMのノートPCブランドであり、15年を越える歴史を持つ。その技術開発やシステム設計に、日本IBMの大和研究所が深く関わっていたということで、特にわが国には熱心なファンが少なくない。2005年にIBMがPC事業をレノボに売却し、ブランドが継承された後も、この開発体制に変わりはないとされる。

 携帯用からワークステーションまで、フルラインアップをそろえるThinkPadで、最も携帯性を重視しているのがXシリーズだ。現在Xシリーズは、13.3型ワイド液晶ディスプレイを採用するX300/301シリーズと、12.1型ワイド液晶ディスプレイを採用するX200シリーズの2モデルで構成されている。2スピンドルでありながら、最薄部18.6ミリという薄さと約1.42キロという軽量を実現したX300/301シリーズが、機能と携帯性の両立を追求したプレミアム・ノートPCであるとしたら、1スピンドルのX200シリーズは、より実用本位のモバイルノートPCとして、性能と携帯性のバランスを図ったモデルとなっている。

 それが端的に表れているのが、X200シリーズで採用するCPUだ。1キロ級のモバイルノートPCで一般的な超低電圧版ではなく、通常電圧版(X200)および低電圧版(X200s、X200 Tablet)を搭載する。標準で2.5インチフォームファクタのストレージと合わせ、これは前モデルのX60/61シリーズから継承した構成である。超低電圧版に比べ、ヒートシンクのサイズや重量で不利になる通常電圧版/低電圧版のCPU、同じ理由で不利になる2.5インチサイズのストレージをあえて採用している点が、X200シリーズの特徴といえるだろう。

 逆にX60/61シリーズから最も大きく変わったのが液晶ディスプレイだ。同じ12型クラスのノングレアディスプレイでありながら、X60/61シリーズが、伝統的な4:3比率のXGA(1024×768ドット)パネルを採用していたのに対し、X200シリーズでは「基本」が16:9のWXGA(1280×800ドット)パネルに改められた。ワイド型ディスプレイの採用については、おそらく賛否両論あるのだろうが、パネルの供給という点からも、今後ワイド化が進むであろうことは想像に難くない。720pのドットバイドット表示もできないディスプレイって今どきどうよ、と思っていた筆者には、むしろ好ましい変化である。

12.1型ワイドの非光沢液晶ディスプレイを採用する
X60/61シリーズに比べて横幅が27ミリ増えて295ミリとなった
ThinkPadシリーズのポジショニングマップ

見過ごせないキーボードの改善

 このディスプレイのワイド化によって、4:3ディスプレイ支持派のユーザーでさえ認めざるを得ないであろう効果がX200シリーズにもたらされた。それはキーボードの改善だ。X60/61シリーズの日本語キーボードは、「け」や「む」の幅が狭く、右Altキーが省略された変則的なレイアウトだった。しかし、液晶ディスプレイのワイド化により横幅が増したことで、X200シリーズではキーボードの主要なキーの大半が均等ピッチに戻っている。右Altキーも、ピッチこそ狭いものの復活した。英語キーボードでも、X60/61シリーズではキーボード右下に配置される特殊キー(Alt、コンテキストメニュー、Ctrl)のピッチが狭かったが、X200シリーズでは均等ピッチとなっている。これに不服を唱える人はまずいないはずだ。液晶ディスプレイの画素数が増加したにもかかわらず、ワイド化によりほぼ同じ奥行き(X61の211ミリに対しX200は210ミリ)が維持されたため、飛行機のエコノミークラスなどの狭いテーブルで利用した場合の使い勝手もこれまでと変わらない。

ThinkPad X200の日本語キーボード
こちらはThinkPad X60の日本語キーボード
ThinkPad X200のキーボードユニット。BTOでは英字キーボードも選べる

パフォーマンスに優れる通常電圧版のCore 2 Duoを採用

 こういった特徴を持つX200シリーズの中核となるのが、通常電圧版のCPUを採用するThinkPad X200だ。従来モデル(X61)に比べ、ワイドディスプレイ化により横幅は増えた(268ミリから295ミリ)ものの、最厚部の厚みは35ミリから32.6ミリに減っており、それほど大きくなったという印象はない。上述したように、フルサイズの均等ピッチを実現する日本語キーボードを搭載するためには、この横幅が必要なのだと思えば、ボディの横幅が増加したことにも納得がいく。

 X200の最大の特徴は、冒頭でも述べたように通常電圧版のCPUを採用することだ。本稿執筆時点でX200に用意されているCPUは、インテルのCore 2 Duo P8400(2.26GHz)と同P8600(2.4GHz)の2種類だ。後者は7085円(キャンペーン適用時)高いオプション扱いとなり、FSBはいずれも1066MHzとなる。45ナノメートルプロセスルールで製造されるPenryn世代のCPUで、TDPが25ワット、2次キャッシュ容量が3Mバイト(2コアで共有)というスペックを備える。

 組み合わせるチップセットは、Intel GM45 Expressチップセットで、インテル純正の無線LANモジュールと合わせ、Centrino 2プラットフォームということになる。ただし、レノボ・ジャパンはX200でvProテクノロジー(AMT)をサポートしておらず、サウスブリッジにはIntel 82801IBM(ICH9M)を採用しているものと思われる。

 採用するメモリはDDR3メモリー(PC3-8500/1066MHz)で、最大搭載メモリ量は2Gバイトのモジュールを2枚装着した場合の4Gバイトだ。チップセットのスペックとしては8Gバイトが上限とされるが、まだ4Gバイトモジュールのバリデーションが行われていない、ということなのだろう。メインメモリはチップセット内蔵グラフィックス(Intel GMA 4500MHD)と共有される。なお、本体底面からアクセス可能なのはメモリスロットだけで、内部のミニカードスロットなどへはキーボードやパームレストを取り外す必要がある。

キーボードユニットを取り外したところ
HDDベイは右側面から簡単にアクセスできる
底面に2基のメモリスロットを備える。ACアダプタは65ワットタイプで、4セルバッテリー装着時はバッテリーが出っ張らない

 次のページではインタフェースやパフォーマンスについて見ていこう。

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