2008年に大ブレイクした低価格ミニノートPCだが、2009年に入っても引き続き人気を集めている。インテルが使う「Netbook」(ネットブック)という呼称もこの分野の製品の総称としてすっかり定着した感がある。マウスコンピューターから登場した「LB-F1500W」は、Netbookとしては非常に珍しい光学ドライブ内蔵の製品として注目の存在だ。さっそくレビューしよう。
手にした第一印象は、「カッチリしていて重い」というもの。ボディのサイズは266(幅)×203(奥行き)×35(高さ)ミリで、Netbookの平均的なサイズと比べて少し奥行きが長い程度で、それほど大柄な印象はない。しかし、重量は約1.6キロと、一般的なNetbookと比べると500グラムほども重く、ずっしりとした重みを感じる。
そのぶん、バッテリーは約54ワットアワーと大容量で、公称の駆動時間も約5.2時間と、Netbookとしては長時間駆動が可能となっている。なお、ACアダプタのサイズは実測で46(幅)×107(奥行き)×30(高さ)ミリ、電源ケーブルを含めた重量は303グラムだった。特別に小型軽量というわけではないが、Netbookとしてはコンパクトなほうではある。
外装はNetbookらしい無難なデザインで、液晶ディスプレイのヒンジ部に内蔵されたステレオスピーカーがアクセントになっている。ボディカラーはパールホワイトで、天板の光沢仕上げ、そのほかの部分のマットな表面処理ともになかなか上品な質感にまとめられている。また、全体に剛性感が高く、ヒンジなどの可動部もカッチリとしているのは好印象だ。
LB-F1500WはインテルのAtomを中心としたシステムを採用し、OSとしてマイクロソフトが「ULCPC」(Ultra Low Cost PC)向けに限定供給しているWindows XP Home Edition(SP3)をプリインストールしている。これらは供給条件が限定されており、それが各社Netbookのスペックがほぼ横並びである原因となっているわけだが、LB-F1500Wも基本システムの部分では例外ではない。
CPUにはAtom N270(1.6GHz)、チップセットにグラフィックス機能内蔵のIntel 945GSE Expressを採用し、メモリ容量は1GバイトというNetbookの典型的なスペックとなっている。データストレージは、160Gバイトの2.5インチHDD(Serial ATA/5400rpm)だ。本体の底面にはメモリスロットやHDDベイにアクセスするためのカバーなどは用意されておらず、交換をするためには本格的な分解が必要となる。
大きな特徴である内蔵の光学ドライブは、2層DVD±Rの4倍速書き込みなどに対応したDVDスーパーマルチドライブを採用。左側面の手前側に着脱不可の固定式ドライブとして内蔵されている。
そのほか、左側面の奥には有線LAN(100BASE-TX)をカバー内に、盗難防止用ロック取り付け穴(通称:ケンジントンロック)を配置し、右側面にはSDメモリーカード/メモリースティックPRO対応スロット、ヘッドフォン、マイク、USB 2.0×2、アナログRGB出力を装備する。バッテリーパックを装着している背面の端子はDC入力のみだ。通信機能としては、IEEE802.11b/g準拠の無線LAN機能も備えており、前面にそのオン/オフを切り替えるボタンを備えている。
光学ドライブ以外はほぼNetbookの標準といえる内容だが、USB 2.0ポートは3基ある製品が多いだけに、2基という点でやや不便に感じる人がいるかもしれない。光学ドライブを内蔵するために広いスペースが必要なので、この仕様は仕方ないところではある。
液晶ディスプレイのサイズは10.2型ワイド、画面解像度は1024×600ドットだ。表面は非光沢のノングレア仕上げとなっているため、液晶の輝度を落としても映り込みは気にならない。視野角は広くないが、輝度はそこそこあり、落ち着いた表示で視認性は悪くない。液晶ディスプレイの角度は約140度まで開く。液晶ディスプレイのフレーム上部には130万画素と比較的高画質なWebカメラを装備している。
Netbookとしては大柄な部類に入るため、キーボードは比較的ゆとりがある。最上段のキーサイズは実測で14×12ミリと小さくなっているが、主要キーのピッチは実測で約17ミリ(実測キーサイズ16.5×16ミリ)確保されている。半角/全角キー(実測サイズ12.5×16ミリ)など左右の一部で詰め込みは見られるが、配列も比較的素直で大きな問題は見られない。
キーボードユニットは本体にしっかり取り付けられているため、タッチ感には安定感があり、強くタイプしてもたわみなどは感じなかった。ボディの奥行きが長いため、パームレストが実測で77ミリと余裕がある点もキーの打ちやすさに貢献している。
ポインティングデバイスは2ボタン式のタッチパッドを装備している。シナプティックスのドライバ(V6.3)を導入しており、パッドにプリントされているように右辺/下辺を利用しての上下/左右のスクロール機能が標準で有効となっている。そのほか、パッドのコーナーをタップする動作にアプリケーションの起動などを割り当てることなどができる。V7以降のドライバで可能となっている「ピンチ」や「モーメンタム」などのマルチタップによるジェスチャー機能には対応しない。
Netbookは液晶ディスプレイの画面解像度やキーボードにクセのある製品もあるが、10.2型ワイドと比較的大型で、そこそこよい視認性の液晶ディスプレイを備え、配置にクセがなく、なじみやすいキーボードと広いパームレストを備えるLB-F1500Wの入力環境は大きなマイナスポイントがなく、高く評価していいだろう。
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