「描いた瞬間、“違うな”って思った」――漫画家の卵がワコム「Intuos4」を試す(2/3 ページ)

» 2009年03月26日 10時00分 公開
[山田祐介,ITmedia]

“筆圧レベル2048”は何をもたらす?

 新型のチップセンサーをペンに搭載し、筆圧レベル2048を実現したIntuos4。筆圧を感知し始める「ON荷重」も、Intuos3が最小で10グラムだったのに対し、わずか1グラムから感知が可能になった(初期設定では3グラム)。漫画の世界では、線の始め(イリ)と終わり(ヌキ)の美しさが大切と聞くが、Intuos4にバージョンアップすることで、そうした“線の表現力”は向上するのだろうか?

 「Intuos3と何度も比べましたが、パッと差を感じ取れるものではないので評価が難しいです。線画に関して言えば、線が滑らかになって安定した印象も受けましたが、一方で書道のように太い線から細い線までを勢いよく使い切ろうとすると、うまくヌキができないケースもありました」(きゅうり氏)

photo きゅうり氏がIntuos4とIntuos3を使い比べてみた結果。使用ソフトはPainter Essentials 4で、ブラシは“スクラッチボード”

 もちろん、そうした線の効果は使用するソフトやブラシの種類にも依存する。きゅうり氏にはPhotoshop Elements 7とPainter Essentials 4を使用してもらい、デッサンにおける感想を聞いた。登場から4年以上たってソフトとの連携も成熟したIntuos3に対し、登場したばかりのIntuos4のポテンシャルは、まだ発揮しきれていないのかもしれない。

 ちなみに色塗りなどの作業については「ON荷重が軽くなったこともあってか、薄く塗る時は使いやすかった気がします」という返事だった。Intuos3からの乗り換えを考えている読者は、自分の使用シーンを想定しながら、家電量販店などのタッチアンドトライコーナーでじっくり比較してみてほしい。


「ふふ……こりゃあ、いいっすよ」――生産性を高める新インタフェース

 「筆圧も大事だけど、絵を描く上ではトラックパッドやファンクションキーの使いやすさも重要なポイント」と語るきゅうり氏だが、デザインを大きく変更したIntuos4の使い心地を聞くと「ふふ……こりゃあ、いいっすよ」と感激の様子だ。

photophoto トラックパッドはバータイプからホイールタイプに変わり、その上下にファンクションキーが配されている。そのおかげで、右側/左側の両方の配置に対応した。初期設定時に、ファンクションキーをどちら側に置くか指定する

 Intuos3ではボディの左右両側にボタン類が配置されていたが、今回は片側に集約された。ポイントは上下シンメトリーなデザインを採用していることで、ボディを180度回転させれば、右利き左利きを問わず“利き手と反対側の手”でファンクションキーやトラックパッドの操作がすべて行える。これが、ユニバーサルデザインを導入した設計の結果である。

 「Intuos3ではペンを持つ右手側のトラックパッドに手が触れてしまい、しかたなく右側の機能を無効にしていました。Intuos4は片側だけに操作スイッチがあるので、そうした問題はありません。キーがこぢんまりと配置されていたIntuos3に慣れていたので、最初は『手を動かす範囲が広くて、ブラインドタッチがしにくい、使いにくい』と思ったんですが、慣れれば自然と手の置き方が決まってきて、そうなるとすごい楽ですね。それに、ファンクションキーの表面にはそれぞれに異なる傾斜があって、手触りでどの位置のキーか判別できます」(きゅうり氏)

 さらに各ファンクションキーの横には豪華にも有機ELディスプレイが設けられ、キーに登録した機能を表示してくれる(Sサイズモデル「PTK-440/KO」は非搭載)。ソフトごとに違う機能を割り振っている場合にも、ディスプレイを見れば一発で設定が分かるというわけだ。

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