1000HEは1000H-Xのボディデザインを継承しているが、CPUやバッテリー、キーボードの変更によって、ボディ表面の発熱の傾向に違いはあるのだろうか。ここでは、ユーザーが利用時に触れるボディ各部の表面温度を放射温度計で計測してみた。
計測したのは、Windows XPの起動から30分間アイドル状態で放置した場合と、そこからシステムに高い負荷がかかる3DMark05のデモを30分間実行し続けた場合の2パターンだ。スクリーンセーバーはオフに設定し、アイドル状態から一定時間経過してもディスプレイの表示やストレージの電源がオフにならないようにした。
ボディの温度は、キーボードの左半分/右半分、パームレストの左半分/右半分、タッチパッド、ボディ底面の左半分/右半分を計測した。各部で最も高温になる部分を探して、温度を計測している。テスト時の室温は約25〜26度だ。
テスト結果は上のグラフに示した通りだ。1000H-Xと内部の設計がほとんど同じため、発熱の傾向は変わらないが、高負荷時では1000HEのほうがわずかに高温になった。ボディの表面は直下にCPUとチップセットを内蔵したキーボードの中央付近、底面はHDDを内蔵した部分が発熱しやすい。左側面には通風口があり、その奥に冷却ファンが内蔵されているが、この辺りはさほど熱くならなかった。
実際の使用感だが、アイドル時やWebブラウズ程度の負荷が低い作業では、キーボードとパームレスト、底面の中央部が少し温かくなるものの、不快なほどではなかった。ただし、システムに高い負荷をかけ続けた場合は、底面が高温になり、キーボードとパームレストの発熱が手に伝わってくる。
同じHDD搭載のEee PCでも「Eee PC S101H」や「Eee PC 1002HA」は、ボディの発熱が抑えられ、特にボディの表面がクールに保たれているが、1000HEはこれらと比べるとキーボードやパームレストが温まりやすい点は覚えておきたい。
ボディの放熱と密接な関わりがある動作時の騒音も調べてみよう。ここでは、本体を樹脂製のデスクに置き、一定の距離から動作中の騒音レベルを計測した。騒音計のマイクは、ユーザーの耳の位置を想定し、ノートPCのボディ中央から約30センチ離し、設置面から約50センチの高さに固定している。室温は約25〜26度、環境騒音は約28dB(A)となっており、耳をすますと窓外の雑音がかすかに聞こえる程度の静かな部屋でテストした。
騒音レベルの計測条件は発熱のテスト時と同じだ。Windows XPの起動から30分間アイドル状態で放置した場合と、システムに高い負荷がかかる3DMark05のデモを30分間実施続けた状態の2パターンで計測した。
計測結果は右のグラフに示した。HDDの動作音はときどき鳴るが、主な騒音源となるのは左側面の冷却ファンだ。アイドル時の動作音は1000H-Xとほとんど変わらないが、高負荷時では1000HEのほうが少しファンノイズが大きかった。高負荷時では1000HEのほうがボディに熱がこもるので、ファンがより酷使されるということだろう。
使用時の印象は、アイドル時でもファンが低速に回転し続けており、気になるほどではないものの、静かな環境ではファンの回転音が確かに感じられる。システムに非常に高い負荷をかけ続けると、ファンは高速に回転し、1000HEでは40dB(A)程度まで騒音が大きくなった。この状態ではさすがに耳障りだが、負荷を少しでも下げると、騒音は35dB(A)程度まで落ち着く。通常の利用において、ファンが最速で回り続けることはあまりないはずだ。
なお、過去に掲載した「Eee PC S101」のレビュー記事では、1000H-Xの騒音レベルが今回よりかなり低い数値となっているが、これは室温が約23度と少し低めの環境で、ボディが発熱しにくく、高い負荷をかけ続けてもファンが最速で回転しなかったためだ。室温が2〜3度高く、ボディがより発熱した今回のテストでは、騒音レベルが高くなった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.