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「Z」の名を冠する“究極のWS”──日本HP、デスクトップWS新シリーズ「Z Workstation」を投入(2/2 ページ)

» 2009年04月06日 20時10分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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 2008年秋ごろから「100年に1度」と言われるほど世界中の経済状況が悪化し、JEITAのPC出荷実績によると2009年1月がマイナス18%、2月はマイナス20%と急激に需要が減った。多くの企業、特にIT関連企業は3月期の決算を乗り切る目的でできるだけキャッシュを内部に留保し、決算の健全性を保つ動きが顕著だったと思われる。

 HPは、コアビジネスのWS分野以外にコンシューマー向けの「Pavilion」シリーズ、ブレードPCやシンクライアントといった仮想化ソリューションを含む法人向け製品など、事業分野を拡張している。市場が大きく冷え込む中で、2008年度4Qの出荷総数ベースで15〜16%の成長率を実現できたのは、これら拡大した事業分野の「大きな芽が出てきた」(日本HPの岡副社長)ことが大きいという。

photophoto 「新しい“Z”シリーズでWS市場のシェアをさらに獲得する」(日本HPの岡隆史副社長)

 この状況下で、コアビジネスに据えるWS分野で新シリーズの「Z Workstation」で攻める理由は何か。

 「そもそもの市場規模は本来、景気の大きな変動がなければ一定のはず」(岡副社長)。PC/IT分野の就業人口はそれほど大きく変動しておらず、市場ニーズも本来はフラットと考えられる。2009年4Qは不況の影響で大きく落ち込んだが、「これは一過性」のもの。この落ち込み率が大きいほど、(市場ニーズが元に戻る)リバウンドの波が帰ってくる──。「この状況だからこそ、製品群と販売体制をより強化し、来たるニーズの復活にきちんと対応する」ことが重要だというポジティブな攻めの考えを示す。

 また、WSが担うすそ野が広がってきている状況も理由の1つに挙げる。HPが得意とするWS分野は、今まで専門分野──CAD/CAEやファクトリー用途など“やや特殊な製品”という位置付けとしていた経緯があった。ただ、近年はインテルプラットフォーム型WSの性能が進歩したことと同調し、Webや動画・映像コンテンツといったハイエンドなグラフィックスニーズを中心に、コンシューマー向けPCより性能の高いWSを望む層が大きく広がり、さらにハイエンドゲーマーなど、WSを個人で使用したいと思うパワーユーザーも増えているという。ここにはコンシューマーPCの市場が、Netbookや液晶一体型デスクトップといった“安価なベーシックモデル”か、高機能な“ハイエンドモデル”(自作PCを含む)に2極化しつつある傾向も、やや影響しているようである。

photophoto 拡張性やエアフロー効率を追求した新設計「Z」シリーズの優位性を説明する日本HP ワークステーションビジネス本部の小島順本部長

 「こういった意味で、WS市場は今後さらに適用分野が広がると思う。2009年度も景気そのものは厳しい状況が続くと見るが、HPとしてコンタクトするユーザーの業種や業務の裾野を広げていく中で、WS市場はもっと大きくなる。HPの2008年度4Q WSシェアは32.6%で、順調にシェアトップを維持したが、もっと上──社内ではすでに“50%まで獲得する”という声も高まっている。今回の“Z Workstation”シリーズはこれだけ力が入っている」(岡副社長)

photophoto Nehalem世代のXeon 5500シリーズのメリットを説明するインテル 技術本部の及川茂雄本部長
photophoto (買い換え需要を想定し、)2世代前のxw4000シリーズとローエンドの「Z400」で技術者の時間あたりのコストを比較。Z400へのリプレースで生産性の大幅な向上や時間あたりのコスト低減により、30日程度で損益分岐が来るという(左)。Intel Turbo Boost TechnologyはCADなど、シングルスレッドのアプリケーションに特に効果がある(右)
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