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“全部入り”で“安い”日本HPの複合機「C309a」を試すADF/FAX/LAN付きで3万円(1/2 ページ)

» 2009年04月08日 16時30分 公開
[林利明(撮影:矢野渉),ITmedia]

ハイコストパフォーマンスな“全部入り”の複合機

「HP Photosmart Premium FAX All-in-One C309a」。OSはWindows XP/Vista、Mac OS X 10.4〜10.5に対応する

 家庭向けプリンタ市場の主力製品としてすっかり定着したインクジェット複合機だが、最近は低価格かつ多機能なことから、ビジネスシーンでも注目度が高まっている。

 特にSOHO環境や小規模ワークグループなどでは、FAXとADFを標準で搭載したインクジェット複合機のニーズが高く、「レーザー複合機まではいらない」という層に受け入れられているようだ。また、家庭用に複合機を探している人でも、50代から60代といった比較的年配のユーザーは、FAXやADFを求める傾向がある。しかし、こうした複合機は製品数が限られ、意外に選択肢が少ないのが現状だ。

 今回取り上げる日本ヒューレット・パッカードの「HP Photosmart Premium FAX All-in-One C309a」(以下、C309a)は、こうしたニーズに合致した貴重なA4インクジェット複合機といえるだろう。コピー/プリンタ/スキャナ/FAXの機能を搭載した4in1タイプの複合機で、両面対応ADFやネットワーク機能も完備している。

 C309aの大きな特徴は2つだ。1つは標準装備のADFが2パスでの自動両面スキャン/FAXに対応している点で、両面対応ADFを備えたインクジェット複合機は非常に少ない。これにより、両面印刷された書類を手でひっくり返すことなく、連続して両面コピー/スキャン/FAXが行える。ADFの給紙容量は最大50枚と十分な余裕があり、他社の競合モデルと比較しても大容量だ。

 もう1つは同社直販サイトのHP Directplusで2万9820円という低価格に注目したい。機能や性能は追って紹介するが、フル装備といっても過言ではない機能を標準でそろえながら価格が安く、コストパフォーマンスは申し分ない。

染料+顔料の5色印刷エンジン、4800dpiのCISスキャナを搭載

 では、主な仕様をまとめていこう。まずは基本となるプリンタ部だが、インクは全色独立カートリッジで、染料C/M/Y/Bkと顔料Bkの5色を使う。カートリッジのインク容量は、標準版と増量版の2種類が用意されている。増量版のほうがインクが長持ちし、ランニングコストも下がるため、通常は増量版がおすすめだ。

 最大印刷解像度は9600×2400dpiとなり、染料4色は各色672ノズル、顔料Bkは720ノズルを装備する。最小インクドロップは2008年10月に投入された家庭向けの新型複合機と同様、1.3ピコリットルに微細化されており、フォト用紙への写真印刷も従来までのモデルに比べて精細さが大幅に向上している。

 最速設定における印刷速度の公称値は、普通紙へのモノクロ文書印刷(JEITA J1)が約3.1秒、普通紙へのカラー文書印刷(JEITA J6)が約3.9秒、日本HP純正のアドバンスフォト用紙へのL判フチなし写真印刷が約15秒だ。独自チャートを使ったドラフト品質での印刷速度は、モノクロで最高33ppm、カラーで最高32ppmをうたう。実際の印刷速度はレビューの後編で明らかにしたい。

ADFの給紙容量は50枚と十分で、メンテナンス時は左側に開口する仕組み(写真=左)。インクカートリッジは各色独立式で、文書印刷用の顔料Bkは大きめになっている(写真=中央/右)。写真は標準インクだが、増量版のHP178XLカートリッジも用意されている

 用紙のハンドリングは、おなじみの前面給排紙機構を採用し、給紙トレイは上下の2段構造になっている。下段のメイン給紙トレイはL判〜A4サイズの用紙を最大125枚、上段のフォト給紙トレイはL判/2L判/ハガキを最大20枚までセットできる。用紙サイズと用紙種類を自動判別できるのは、日本HPの製品ならではの特徴だ。

 また、両面対応ADFを生かすために自動両面印刷ユニットも標準で搭載。各種メモリカードスロットからのダイレクト印刷、PictBridge対応USBポートとの接続によるデジタルカメラからのダイレクト印刷をサポートしている。

前面の給紙トレイは2段構造で、下段はA4までセットできるメイントレイ、上段は小型のフォトトレイだ(写真=左)。ADFの搭載に合わせて、自動両面印刷ユニットを標準搭載している(写真=中央)。前面にSDメモリーカード(SDHC対応)/xDピクチャーカード兼用スロット、メモリースティックPROスロット、CF TypeIIスロット、PictBridge対応USBポートが並ぶ(写真=右)

 CD/DVDレーベルの印刷も可能だ。前面の操作パネル下部のハンドルを下げると、CD/DVDメディアを挿入するスロットが出現する。付属のCD/DVDトレイ(メイン給紙トレイに収納)にメディアをセットし、スロットに差し込むと印刷準備は完了だ。印刷データの作成と印刷操作は、付属ソフトの「HPソリューションセンター」と「HP Photosmart Essential」で行う。

CD/DVDレーベル印刷にも対応する(写真=左)。CD/DVDレーベル印刷用のトレイは給紙トレイ内に収納可能だ(写真=右)

 スキャナ部には密着光学系のCISを採用し、光学解像度は4800dpiとなる。フィルムスキャンには対応しないので、実際のスキャン解像度は600dpi以下で使うことがほとんどだろう。原稿カバーのヒンジは固定されているので、厚手の雑誌や書籍を見開きでスキャンすると、原稿カバーの手前が少し浮く。スキャンしたデータをメモリカードやUSBメモリへ直接保存することも可能だが、この場合はADFを使った自動両面スキャンができず(片面スキャン)、保存形式はJPEG、画質は固定になる。

 スーパーG3に対応したカラーFAX機能は、短縮ダイヤルを最大90件、順次同報配信の宛先を最大20件記録でき、内蔵メモリを使ったメモリ代行受信はA4用紙で約90枚となる。PC FAXは送信のみに対応し、ADFの自動両面読み取り送信はモノクロ送信のみ可能といった注意点は覚えておきたい。

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