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続・“全部入り”で“安い”日本HPの複合機「C309a」を試す速度と画質を徹底検証(3/3 ページ)

» 2009年04月09日 11時00分 公開
[林利明(撮影:矢野渉),ITmedia]
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新プリントエンジンがもたらす印刷品質は?

 最後に印刷品質を見ていこう。普通紙へのコピーは「標準」品質、PCからの印刷は「自動」品質で必要十分な画質が得られた。普通紙への文書印刷は、顔料Bkインクの効果により黒い文字やけい線のにじみが少ないのがポイントだ。感覚的になってしまうが、他社製品の顔料Bkインクと比べても、にじみが少ないような気がする。インクジェット機ながら、黒い文字のシャープな表現はありがたい。

 また、染料インクのカラー部分についても意外とにじみにくく、カラー部分が多いデータや両面印刷でも、インクが乾いた後は用紙の波打ちがそれほど残らない。ただ、用紙の波打ちや両面印刷時の裏写りは、用紙の品質に大きく影響される。より高品質な出力結果を得たい場合は、インクジェットプリンタ用の厚手普通紙などを使うとよいだろう。

 写真用紙への写真印刷も上々の画質だ。嫌みのない高彩度と色乗りで、コントラストと明るさのバランスが安定している。C309aが備える新型プリントエンジンは、2008年の年末商戦で登場した単機能プリンタおよび複合機の新モデルで導入されたものだが、最小インクドロップの微細化と染料4色インクの採用が高い効果をもたらしている。

 プリンタドライバ設定の「自動」(標準)と「高画質」の違いだが、一見しただけではまず見分けが付かない。通常は「自動」か「標準」で十分だ。よく見ると、染料Bkインクを打つ部分のドット密度で違いが分かりやすく、「高画質」設定のほうが精細な出力になっている。人物メインの写真や、明るいグラデーションが多い写真の印刷には「高画質」設定を使ってみるとよいだろう。

PCから普通紙に「自動」品質で出力した文字のサンプル(写真=左)。6ポイントや8ポイントの小さなフォントもしっかり再現されており、よく使う10ポイント程度のフォントではシャープさがはっきりと分かる。純正のL判アドバンスフォト用紙にPCからカラー画像を出力したサンプル(写真=右)。コントラストがやや控え目だが、明度や彩度はバランスが取れており、階調性も優秀だ。最小インクドロップを1.3ピコリットルに微細化したことで、従来モデルよりインクの粒状感が大幅に低減されている。写真を印刷するプリンタとしても十分に満足できる品質だ。以上のサンプルはいずれも600dpiでスキャンしたファイルの縮小画像だ。各画像をクリックすると、実寸のスキャンサンプルを1280×1024ドットで切り出した画像を表示する。画像の色域はsRGBなので、実際はもっと色鮮やかな印象だ

ビジネス用途にも家庭にも対応でき、価格も納得の1台

 レビュー前編の冒頭でも述べたが、C309aの大きな特徴は、自動両面対応/大容量のADFとFAX機能を標準で搭載した4in1のインクジェット複合機である点と、コストパフォーマンスが高い点だ。

 ADFとFAXの仕様は、SOHO環境や小規模オフィスでは十分なものといえる。特にADFは給紙容量が最大50枚と大きいので、大量のFAXを送信したり、紙の文書をスキャンして手軽にデータ化したりすることが可能だ。個人的にはPCからのスキャン操作で検索可能なPDFファイルを作成できないのは残念だが、別途OCRソフトと併用すればよい。

 文書の印刷品質は優秀で、普通紙へきれいに出力できるのはビジネスで利用する場合に有利に働く。少し厚手の用紙に高画質寄りの設定で印刷すれば、社外に配布するプレゼンテーション資料の印刷にも十分通用するはずだ。

 その一方で、CD/DVDレーベル印刷やメモリカードからのダイレクト印刷、数独や迷路のダイレクト印刷が行えるなど、家庭向けにも訴求できる機能と性能を兼ね備えている。そして何より、かつて日本HPのインクジェット機が不利とされてきた写真用紙への写真印刷が、新型プリントエンジンでぐっと改善されたのは大きい。

 ここまで多機能な複合機が3万円を切る価格で入手できるのは、この不況下では特にありがたいだろう。ビジネス用途でもホーム用途でも、ADFとFAXを標準搭載したA4インクジェット複合機を探しているなら、必ず検討したい1台だ。

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