実際に、IONを採用したAspireRevoと、Atom 230とIntel 945GSE Expressで構成される典型的なNettopシステムで測定したPCMark05や3DMark06、FinalFantasy XI Official Benchmark 3の結果を比べてみると、AspireRevoの測定結果はAtom 230とIntel 945GSE Expressで構成されるシステムの測定結果をグラフィックス関連の項目で大きく上回っている。
AspireRevo | Atom 230+Intel 945GSE | |
---|---|---|
PCMark05:PCMark | 1852 | 1660 |
PCMark05:CPU | 1407.0 | 1485.0 |
PCMark05:Memory | 2331.0 | 2391.0 |
PCMark05:Graphics | 1916.0 | 728.0 |
PCMark05:HDD | 4338.0 | 4764.0 |
PCMark05:Physics and 3D | 46.0 | 30.1 |
PCMark05:Video Encoding | 114.4 | 112.9 |
PCMark05:File Compression | 2.0 | 1.6 |
3DMark06:3DMark Score | 1391 | 81 |
3DMark06:SM2.0 Score | 576 | 37 |
3DMark06:HDR/SM3.0 Score | 570 | N/A |
3DMark06:CPU Score | 479 | 485 |
GT1 - Return To Proxycon | 4.117 | 0.288 |
GT2 - Firefly Forest | 5.481 | 0.333 |
FinalFantasy XI Official Benchmark 3:Low | 2504 | 1440 |
FinalFantasy XI Official Benchmark 3:High | 1818 | 1045 |
このように、グラフィクスコアの実力は、実売価格1万円未満のバリュークラスGPUに相当するので、最新のFPSといったベビー級3Dゲームなどは難しいものの、多くのPC向けゲームタイトルがプレイできるだけの性能は持っていると考えていい。
ただ、AspireRevoのような“低価格超小型”PCにとって、3D性能以上に重要なのが「PureVideo HD」への対応だ。H.264やVC-1、MPEG-2のHD画像の再生でハードウェアアクセラレーション機能を利用できたり、画像出力のインタフェースにHDCP対応のHDMIをサポートしたりと、PureVideo HDに対応するIONプラットフォームを採用することで、AtomマシンでもBlu-ray Disc収録のHDコンテンツ再生が可能になる。Intel 945GSE Expressに統合されたグラフィクスコアのIntel GMA 950がBlu-ray Disc収録のHDコンテンツ再生に対応していないため、Atom搭載の低価格PCというカテゴリーにおいて、このことはIONの大きなアドバンテージになるはずだ(なお、US15Wに統合されているIntel GMA 500や、“GN40”に統合されるIntel GMA 4500MではBlu-ray Disc収録のHDコンテンツも再生可能だ)。
実際に、AspireRevoでBlu-ray Discに収録された映画(PIRATES of the CARIBBEAN at World End:MPEG-4 AVCでビットレートは18Mbpsから35Mbps前後で推移)を再生したときのCPU負荷率は、おおむね50%±10%程度に収まっている。Atom 230マシンでもBlu-ray DiscのHDコンテンツが問題なく再生できると考えていい。
さらに、CUDA対応アプリケーションによってGPGPUを利用した高速画像処理ができるようになったことも、IONプラットフォームの特徴としてNVIDIAはアピールしている。その実力を画像編集アプリケーションの「MotionDSP vReveal」で確認してみた。MotionDSP vRevealはCUDA環境で開発されたアプリケーションで、ユーザーが撮影した動画の光量不足や手ブレ、ノイズなどをフィルターで除去し、補正された動画をリアルタイムで確認できるが、この画像処理でCUDAによるGPGPUが利用できる。
画像処理をCPUで行うかGPGPUで行うかをユーザーが切り替えられるので、それぞれの処理で表示される「加工後動画」のフレームレートを比較すれば、GPGPUの効果を把握することが可能だ。ここでは、学芸会動画でCPU処理とGPGPU処理でリアルタイムで表示される処理後動画のフレームレートの変化を確認してみた。
まず、何もフィルターをかけていない設定では、GPGPUを無効にしていても30fpsが出ているが、手ブレを修正する「Stabilize」をかけたところ、一気に7〜8fpsまで下がってしまったが、この状態でGPGPUを有効にすると25〜26fpsまで回復している。このように、かなり複雑な動画編集をAtom 230という非力なCPUを搭載したマシンでも可能にしてしまうところが、CUDAを利用したGPGPUに対応するIONとAspireRevoの強みといえる。
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