40ナノ世代に突入した「Radeon HD 4770」の“正体”を知るイマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2009年04月28日 14時30分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

「4830」の後継は40ナノの「4770」へ

 4月28日に、AMDからRadeon HD 4770が発表された。すでにRadeon HD 4770を搭載したグラフィックスカードがPCパーツベンダー各社から発表されており(詳細は、こちらの「メインストリーム向けGPU「Radeon HD 4770」搭載グラフィックスカードが各社より発表」を参照のこと)、その実売価格は1万円台の前半となっている。

 ハイエンドからメインストリームの間を担うモデルであるため、型番で見れば4800シリーズのひとつ下であるが、実質的には、これまで100ドル前後のセグメントをカバーしてきたRadeon HD 4830を置き換えることになる。それ以上に、TSMCの40ナノメートルプロセスルールをいち早く導入した第2世代のRadeon HD 4000シリーズとしても注目される。

 以下に、現行のRadeon HD 4000シリーズとRadeon HD 4770の仕様を比べてみる。

Radeon HD 4000シリーズの主な仕様
GPU Radeon HD 4770 Radeon HD 4850 Radeon HD 4830 Radeon HD 4670
製造プロセス 40ナノメートル 55ナノメートル 55ナノメートル 55ナノメートル
トランジスタ数 8億2600万個 9億5600万個 9億5600万個 5億1400万個
Stream Processors 640 800 640 320
コアクロック 750MHz 625MHz 575MHz 625MHz
メモリ GDDR5:512MB GDDR3:1GB/512MB GDDR3:512MB GDDR3:1GB/512MB
メモリバス幅 128ビット 256ビット 256ビット 128ビット
メモリクロック 800MHz 1000MHz 900MHz 1000MHz
メモリ帯域幅 51.2GB/sec 64GB/sec 57.6GB/sec 32GB/sec
ROPs 16 16 16 8
テクスチャユニット 32 40 32 32
最大消費電力 80ワット 110ワット 110ワット 59ワット

 現行のRadeon HD 4000シリーズでは、4800シリーズのコアと4600シリーズのコアでラインアップが分かれている。この区別を分かりやすく示しているのがメモリバス幅だ。4800シリーズは256ビット、4600シリーズは128ビットとなっており、128ビットのメモリハズ幅を持つRadeon HD 4770は4600シリーズの発展型と捉えることができる。ただし、そのほかのスペックは4600シリーズから大幅に引き上げられている。まず、ストリームプロセッサ数が640基という点に注目したい。これは、Radeon HD 4670の2倍で、Radeon HD 4830と同数というところがRadeon HD 4770の位置付けを考えるうえで重要だ。

 スペック面でもう1つ注目したいのが、搭載するグラフィックスメモリだ。Radeon HD 4770は、Radeon HD 4800シリーズですら上位モデルでしか採用していないGDDR5メモリに対応する。800MHzというのは比較的低クロックと言えるが、メモリ帯域幅は51.2Gバイト/秒となり、これもRadeon HD 4830の帯域幅である57.6Gバイト/秒に近い値になっている。

ディスプレイ出力はDVI-I×2基で、変換アダプタによるHDMI出力にも対応している。リファレンスカードに搭載されたクーラーユニットとは別に、店頭販売される製品の多くは簡素化したケース対流式の2スロット厚ファンを採用する見込みだ(写真=左)。補助電源コネクタは6ピン1基で、CrossFireX用のコネクタを2基備える(写真=右)

GPU-Zで取得したRadeon HD 4770の情報によると、ダイサイズは137平方ミリと表示されている。また、ROPsは8基と表示されているが、AMDの資料では16基とされている(写真=左)。同じくGPU-Zで取得したRadeon HD 4830の情報。当初、ストリームプロセッサが560基と認識されるカードだったため、BIOS更新を行い正規の640基に修正している(写真=中央)。こちらは、GPU-Zで取得したRadeon HD 4850の情報(写真=右)

 機能面では、Radeon HD 4000シリーズと同様に、HD動画の再生支援と高画質化機能を持つ「UVD2」を搭載し、GPGPUを利用する「ATI Stream」に対応する。今後登場する予定のOpen CLアプリケーションを使うことでGPUを演算プロセッサとしても運用できることになる。GPGPU分野に関しては、NVIDIAのCUDAが先行して、その後をATI Streamが追いかけている状況にある。しかし、ATI StreamはOpen CLというオープンスタンダードをトリガーにして巻き返しを図っている。

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