Windows 7の“互換性を高める5大取り組み”とは?XP Modeだけじゃない(1/2 ページ)

» 2009年05月21日 01時45分 公開
[前橋豪,ITmedia]

 マイクロソフトは5月20日、Windows 7 製品候補版(RC版)の提供開始に伴い、Windows 7の製品概要や主要機能に関して報道関係者向けの説明会を実施した。ここでは、セキュリティ、堅牢性、互換性のトピックを取り上げる。

柔軟になったユーザーアカウント制御

 セキュリティ面での大きな変更点は、「ユーザーアカウント制御」(UAC)の改良だ。Windows Vistaから導入された同機能は、管理者権限が必要となる操作を行う前に警告のダイアログを表示することで、マルウェアなど意図しないソフトがインストールされたり実行されたりするのを防ぐ一方、ダイアログの表示中は画面が暗転してほかの操作を受け付けないことから、使いやすさを損ねる機能として、批判の対象になりがちだった。

 Windows 7では、このユーザーアカウント制御のレベルが4段階から選べるようになっている。β版では英語表記だったが、RC版では日本語表記となった。Windows 7のデフォルト設定は上から2番目のレベルで、プログラム側がWindowsの設定を変更する場合のみ画面が暗転し、ダイアログを表示する。ユーザーがWindowsの設定を変更する操作の場合はダイアログを表示しないので、操作が中断されることは少なくなる。さらにもう1段階レベルを下げると、ダイアログ表示の際に画面が暗転せず、ユーザーはほかの操作を続けられるようになる。

 ちなみに、Vistaのユーザーアカウント制御は4段階のうち最も高いレベルに相当し、プログラムもしくはユーザーがWindowsの設定を変更する場合には必ず画面が暗転してダイアログを表示する設定に固定されている。

Windows 7のセキュリティと堅牢性における特徴(写真=左)。Windows 7ではユーザーアカウント制御のレベルが4段階から選べる。デフォルトは上から2番目のレベルだ(写真=中央)。段階を下げるほど、警告ダイアログが表示される機会が減るが、セキュリティのレベルも下がる(写真=右)

自動修復機能で堅牢性を確保

自己診断機能により、インターネットに接続できない問題の原因を検索・修復している例

 堅牢性については、Windowsの設定などに起因するトラブルを検出して、自動修復する機能を持つ。例えば、ユーザーが外出先などでネットワークの設定を一時的に変更し、元に戻すのを忘れてしまっても、自己診断ツールを使えば、以前の状態に自動的に復帰できる。ユーザー自身でトラブルを解決できる手段が増えることで、管理者のヘルプのコストを抑えられるとしている。

 アプリケーションの堅牢性を高めるため、クラッシュ原因の15%を占めるというヒープ(OSやアプリケーションが自由に確保できるメモリ領域)の破損が発生した際、ほかのプログラムへの影響を抑えつつ、クラッシュを回避する「フォールトトレラントヒープ」と、問題が発生したプロセスのメモリ内容を記録すると同時にクローン機能を用いて失敗したプロセスを復旧する「プロセスリフレクション」といった機能も持つ。

旧PCからスムーズに移行するための事前チェック機能

互換性への5つの取り組み

 マイクロソフトがWindows 7で注力している点にハードウェア/ソフトウェアの互換性がある。同社は互換性についての主な取り組みとして、事前チェック、互換機能、互換ツール、仮想化技術、ロゴプログラムの5つを掲げている。

 事前チェックの機能はVistaのときと同様に、現在使用しているPCのハードウェア/ソフトウェアがWindows 7で動作するかどうかを確認できるツール「Windows 7 Upgrade Advisor」のβ版が配布されている。現状で同ツールは英語版のみの提供だが、日本語版も計画中という。

 また、ユーザーアカウント、ドキュメント、音楽、画像、電子メール、お気に入り、ビデオなどを旧PCから新PCにまとめて移行できる「Windows転送ツール」もWindows 7対応版を用意している。PC間のデータ転送方法は、転送ツールケーブル、ネットワーク、外付けHDD/USBストレージの3種類が選択可能だ。

「Windows 7 Upgrade Advisor」のβ版はボタン1つで互換性を確認できる(写真=左)。テスト結果は、システム、デバイス、プログラムの3つに分けて表示される(写真=中央)。旧PCからWindows 7搭載の新PCへ環境を移行するための「Windows転送ツール」(写真=右)

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