3-way SLI対応の「Eclipse Plus」で、“くりくりっ”とクロックを変更するイマドキのイタモノ(2/3 ページ)

» 2009年05月26日 11時00分 公開
[寺崎基生,ITmedia]

リアルタイムでクロック変更が可能な「OCダイヤル」

 Eclipse Plusには、数多くのボタンやスイッチが基板に搭載されている。最近のハイエンドマザーボードでは、電源、リセット、CMOSクリアで使うボタンがオンボードで搭載されていることが多いが、Eclipse Plusでは、そのほかにも見慣れないスイッチやボタンが並んでいるだけでなく、マザーボードでは珍しい「ダイヤル」まで用意されている。

 Eclipse Plusに実装されたボタンやスイッチの種類は、電源ボタン、リセットボタン、D-LED2表示更新ボタン、グリーンパワーボタン、OCダイヤルボタン(OCダイヤルの有効/無効が切り替わる)、OCダイヤルと6種類にも及ぶ。また、バックパネルには、CMOSクリアスイッチと、POSTコード表示LEDが配置されている。

 これらの中でユニークなのが、「OCダイヤル」だ。隣にあるオン/オフスイッチとの組み合わせで使用するもので、FSBクロックをダイヤルでいつでも変えることができるという、オーバークロッカーにはとても便利な機能だ。OCダイヤルが有効になるのは、OCダイヤルボタンを押して電源スイッチのすぐ近くにあるブルーのLEDが点灯しているときだけだ。ブルーLEDが消えているときは、ダイヤルを回してもFSBクロックは変化しない。

 CPU-Zなど、リアルタイムで動作クロックを表示してくれるアプリケーションを起動し、OCダイヤルボタンを押してダイヤルを有効にしてから、おもむろにOCダイヤルを回すと、FSBクロックが徐々に上がっていくのが確認できる。なお、スイッチのすぐ横にあるD-LED2でもFSBクロックを表示できるが、OCダイヤルを回してFSBクロックが変更されても、D-LED2の表示はリアルタイムで変化しない。これは、D-LED2の表示はD-LED2表示更新ボタンを押すと現状が反映されるためだ。標準でクロックを表示できる機能があるのに、リアルタイムで変化する値を見ながらオーバークロックできないのは、ちょっと“もったいない”。

 とはいっても、OSを起動したまま、ダイヤルでリアルタイムにFSBクロックを変えられるというのは、「遊び」という意味ではとても楽しい機能だ。ダイヤルで上昇させたFSBクロックは、BIOSの設定にすぐ反映されるので、再起動してもクリアされない。ダイヤルを回したときに上昇するクロックステップの幅は、BIOSで設定可能だ。普通は1MHz刻みにしておくのがいいだろう。

Eclipse Plusはオンボードに多彩な機能ボタンを搭載しているのも特徴だ。右からパワーボタン、リセットボタン、D-LED2表示切り替えボタン、グリーンパワー(省電力)ボタン、OCダイヤルボタン、OCダイヤルと並んでいる(写真=左)。OCダイヤルを“1クリック”回すごとに1MHz(この刻みはBIOSで変更可能)ずつベースクロックが変化する(写真=中央)。起動時にはBIOSのPOSTメッセージを表示し動作時には各種HealthStatusを表示するD-LED2。Eclipse Plusは、サウスブリッジのヒートシンクと多数のオンボードボタンがあってコネクタ回りの空間が限られているため、取り付けが難しかった。PCケースに組み込む前にD-LED2を取り付けておきたい(写真=右)

負荷に応じてフェーズ数を自動変化させるAPS対応の省電力機能

 Eclipse Plusは、Eclipse SLIと同じ6フェーズの電源回路持つ。第2世代の「DrMOS」を採用することで、電源回路の発熱が少ないというメリットを実現している。メモリやチップセットの電源回路にもDrMOSが組み込まれており、パフォーマンスが重視されるハイエンドマザーボードながら、高い電力効率を実現した省エネタイプになっている。

 これらの電源回路は、APS(Active Phase Switching)によって、負荷に応じてフェース数が動的にコントロールされ、無駄な電力をカットするほか、PCで多くの時間を占めるアイドル状態で有効な電源フェーズ数を減らすことで、マザーボードの経年劣化軽減にも貢献するとMSIは説明している。APSの機能は、オンボードに用意されたグリーンパワーボタンでオン/オフを切り替えられるため、オーバークロック設定では必要に応じてフルパワーで動作できる。

 動作している電源フェーズ数は、回路の近くにあるLEDの点灯数で把握できる。なかなか、効果が分かりに省電力機能を目で確かめられるのも、ユーザーには「楽しめる」部分だ。チップセットやメモリの電源回路も複数のフェーズで構成されているため、アイドル状態で動作するフェーズが減少しているのが確認できる。

 MSIのマザーボードでは、DrMOSの効果でチップセットや電源回路のFETなどを、ファンレスのヒートシンクだけで冷却できる。ところが、nForce 200の発熱が多いため、その周囲やサウスブリッジ周辺の温度は高くなりがちだった。PCケースに入れない状態でNVIDIA SLIのテストを行っていると、サウスブリッジ周辺の基板温度は90度以上に達するときもあった。Eclipse PlusをPCケースに入れて運用する場合は、内部のエアフローに注意したい。

CPUソケットは、Core i7シリーズに対応するLGA1366だ。電解コンデンサは、すべて日本製の固体タイプをサ採用している(写真=左)。電源回路回りのヒートシンクを外すと、DrMOSの正体であるRENESASテクノロジのドライバーMOSFET「R2J20602」が並んでいる。これが6個並んでいるEclipse Plusでは6フェーズの電源回路を構成する(写真=中央)。電源回路のフェーズコントロールを行うのはIntersilのPWMコントローラー「ISL6336A」だ(写真=右)

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