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» 2009年06月03日 22時15分 UPDATE

1ポートで3台まで同時接続:MacBookでお手軽にマルチディスプレイ環境が作れる――IDTのDisplayPortソリューション「VMM1300」

新型Macシリーズに全面採用され、PCでもハイエンド製品から搭載例が増えつつあるDisplayPort。日本IDTが同規格による新しいマルチディスプレイ構築技術のデモを行った。

[前橋豪,ITmedia]

DisplayPortがマルチディスプレイ出力を容易にする

tm_0906idt01.jpg 「PanelPort ViewXpand」によって3台のWUXGA対応ワイド液晶ディスプレイを同時接続し、マルチディスプレイ環境を構築した例

 日本IDTは6月3日、DisplayPort 1.1a準拠の新しいマルチディスプレイソリューション「PanelPort ViewXpand」のデモを報道関係者向けに行った。DisplayPortは米VESAが標準化したデジタルインタフェース規格で、PCと外部ディスプレイの接続に利用されるDVIや、ディスプレイの内部接続に使われるLVDSの置き換えが想定されている。

 米IDTは2008年3月、単体の液晶ディスプレイやノートPCのディスプレイに内蔵するDisplayPort 1.1a準拠レシーバ/タイミングコントローラ(TCON)である「PanelPort VPP1600EMG」の供給を開始、同年9月にはVESAのロゴ認証を取得するなど、同規格を推進している。PanelPortとは、同社のDisplayPort準拠製品のブランドだ。

 今回紹介されたPanelPort ViewXpandは、PCに搭載されたDisplayPort出力端子から2つの方法でマルチディスプレイを構築するソリューション。1つが専用の3系統出力ハブを用いる方法、もう1つがディスプレイをデイジーチェーン接続する方法となっている。これを実現するコントローラ「PanelPort VMM1300」は現在サンプル出荷中で、2009年8月には本格的な生産を開始する予定という。なお、VMM1300自体は近日正式発表される見込み。

 どちらの方法もPCに搭載された1系統のDisplayPort出力から手軽にマルチディスプレイ環境を構築できるのが特徴だ。DisplayPort 1.1aをはじめ、VESA Direct Drive Monitor、HDCP 1.3、EDID 1.4に準拠し、GPUやドライバを変更することなく利用できる。特別なドライバなどを必要としないため、WHQL(Windows Hardware Quality Labs)の認証が不要な点もメリットとしている。

 3系統のハブを用いる方法は、入力1系統/出力3系統(いずれもHDCP対応)のハブを介してPCからのDisplayPort出力を3系統に分離し、3台のDisplayPort入力搭載ディスプレイと接続する仕組み。ハブに入出力のコネクタを接続すると、プラグ&プレイで最大3台の液晶ディスプレイ表示が自動で行える。ハブの3系統映像出力にはあらかじめ番号が振られており、ディスプレイを並べた順番通りにケーブルを各ポートに接続すれば、正しい配置でマルチディスプレイ環境を構築できる。

 マルチディスプレイとして画面解像度を拡大する利用法のほか、クローン表示も可能だ。DisplayPortは1.5ワット未満ながらPCから電力供給が行えるため、ハブは別途ACアダプタや電源ケーブルを接続せずに利用できる(デモに使用したハブには、補助電源用のACアダプタ接続用DC入力端子も設けられていた)。現状で音声のマルチディスプレイ出力は非サポートだが、今後のバージョンで追加する予定としている。

 ディスプレイをデイジーチェーン接続する方法は、あらかじめディスプレイの内部にVMM1300を組み込んでおき、複数のディスプレイを数珠つなぎに接続することでマルチディスプレイ環境の構築を行う。DisplayPort 1.1aの帯域幅(10.8Gbps:2.7Gbps×4レーンの場合)が対応する範囲内で、何台でもディスプレイをデイジーチェーン接続できる。

 このほか、VMM1300はノートPCや、ノートPCのドッキングステーション、PCのマザーボードやグラフィックスカードへの搭載も想定されており、今後は標準で2〜3基のDisplayPort出力に対応したPCや周辺機器の登場も考えられる。

tm_0906idt02.jpgtm_0906idt03.jpgtm_0906idt04.jpg 日本IDTによるPanelPort ViewXpandの優位性を示すプレゼン資料。DVIによるマルチディスプレイ環境は、グラフィックスカードや外部ボックスの増設が必要で、コストも消費電力もかさむことが多く、USBディスプレイ機能もレスポンスや画質の低下、HDCPの非サポート、CPUリソースの消費などが問題となる(写真=左)。PanelPort ViewXpandであれば、GPUやドライバの変更もなく、2つの方法で簡単にマルチディスプレイ環境が構築できる(写真=中央)。VMM1300はノートPCや、ノートPCのドッキングステーション、PCのマザーボードやグラフィックスカードへの搭載も想定されている(写真=右)

MacBookのMini DisplayPortから液晶ディスプレイ3台へ同時出力

tm_0906idt05.jpg ジ・パーク氏

 米IDTバイスプレジデント兼ビデオ&ディスプレイ・オペレーション担当ゼネラル・マネージャであるジ・パーク氏は、3系統出力のハブを用いたデモを実施。DisplayPort出力搭載のWindowsデスクトップ機およびMini DisplayPort出力搭載のMacBookを接続し、プラグ&プレイで3台のワイド液晶ディスプレイに同時表示できる様子をアピールした。

 「DisplayPortを利用したマルチディスプレイ出力ソリューションは世界初の試み。PCのDisplayPort出力が1基しかなくても、少ない投資で、しかも手軽にマルチディスプレイ環境を構築できるようになる。電力消費が大きいグラフィックスカードや外部アダプタを増設せずに済むため、電力の節約ができるのも非常に大きなメリットだ」(パーク氏)

 パーク氏によれば、VMM1300を搭載した3系統出力ハブの実売想定価格は150ドル以下、デイジーチェーン接続対応のディスプレイは現状のDisplayPort搭載機より10%程度コストがかかるとのことだが、IDT自身がVMM1300を組み込んだハブやディスプレイを販売するわけではないため、あくまで目安としている。

tm_0906idt06.jpgtm_0906idt07.jpgtm_0906idt08.jpg デモに使用されたVMM1300搭載のハブ(写真=左)。DisplayPortの帯域幅の制約で3系統の出力になっているという。MacBookのMini DisplayPortから変換アダプタとハブ経由で3台のワイド液晶ディスプレイに同時出力したデモの様子(写真=中央/右)


 DisplayPortは、2008年10月にアップルが発表したMacBookシリーズを皮切りに、デスクトップ型のMacにも採用され、Windows搭載PCや単体の液晶ディスプレイ製品でもハイエンドの機種を中心に、搭載製品が少しずつ増えてきている。

 搭載する機能や使い勝手から家電向けデジタルインタフェースのHDMIと比較されることも多いが、マルチディスプレイ環境を容易に構築するソリューションが提案されるのは、PC中心のデジタルインタフェースならではの新しい方向性だ。VMM1300によるPanelPort ViewXpandはエンドユーザーにとっても利便性が高いので、DisplayPortやマルチディスプレイ環境の普及を後押しするソリューションとなることが期待できそうだ。

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