Netbookを完全に超えた? 「Aspire Timeline」を徹底チェックついに発売!(1/2 ページ)

» 2009年06月05日 12時28分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]

 6月5日に「Aspire Timeline」の販売が始まった。前回、編集部に届いたばかりの「AS3810T」を駆け足で紹介したが、ここではもう少し突っ込んで見ていこう。

まずは外観をチェック

Aspire Timeline AS3810T

 AS3810Tは、Core 2 Duoと13.3型ワイド液晶を採用し、標準で8時間駆動をうたうモバイルPCとしては、破格のコストパフォーマンスを実現した。そこで気になるのがモノ自体の作り込みだ。例えば、ほぼ同じ基本システムを採用するAdamoや、アルミ削り出しのボディが光るMacBook Airはいずれも高価ではあるが、その価格に見合うだけの風格を備えている。AS3810Tはどうだろうか。

 AS3810Tは、天板とパームレストをガンメタリック、液晶ベゼルとキーボードをブラックで塗り分けた非常にシンプルなデザインだ。ただし“安っぽさ”はかけらもなく、アルミニウム合金製の天板は剛性感もある。また、ブラッシュド・アルミニウムのパームレストや、キートップに光沢コーティングを施したキーボードも全体のデザインにうまく調和しており、実売8万9800円のノートPCには見えない。Aspire oneで採用されていたNissha IMD(In-mold Decoration)の天板も美しいが、金属的な質感を残したAS3810Tのデザインも好印象だ。初期のAtom搭載低価格ミニPCは、樹脂そのままのチープな外装が普通だったが、わずか1年足らずでここまで来たかと思うと感慨深い。

アルミニウム合金の天板(写真=左)。写真では分かりづらいが、Acerロゴをよく見ると細かい凹凸加工が施され、光の具合でグラデーションを描く(写真=中央)。キーボードには同社が「ファインタッチ」と呼ぶ光沢コーティングがなされており、キートップに指をのせると摩擦の少ないつるつるとしたさわり心地だ。ただし指紋がつきやすい。ボディ両端はゆるやかにカーブしている(写真=右)

 インタフェースは、左側面手前から音声入出力端子とUSB 2.0、排気口を挟んでアナログRGB出力と電源が並び、右側面にはSDメモリーカード(SDHC)/メモリースティック(PRO)/xDピクチャーカード対応のメモリカードスロット、2基のUSB 2.0、HDMI出力、ギガビットLANを配置している。着脱頻度の高い端子は手前側に置き、USB 2.0を左右側面に振り分け、有線LANやビデオ出力などは後方に並べたよく練られたレイアウトだ。

本体前面/背面

本体左側面/右側面

 本体サイズは322(幅)×228(奥行き)×23.4(高さ/最薄部)ミリ、重量はバッテリー込みで約1.6キロと、モバイルノートPCとしてはやや重い印象だが、薄型でフラットなボディはかばんに収納しやすく、十分持ち運びが可能な範囲だ。ただ、ACアダプタは42ミリ(幅)×106(奥行き)×30ミリ(高さ)と標準的なサイズだが、重量は電源ケーブル込みだと442グラムもある。実は電源ケーブルだけで169グラムもあり、しかもかなり長くて太いので、これは改善してほしいところだ。

底面のフタを外せばメモリスロットとHDDにアクセスできる。メモリは2GバイトのDDR3モジュールが1枚装着され、出荷状態で1つ空いている。HDDは2.5インチSerial ATAで換装は容易だ(評価機にはシーゲイトの「Momentus 5400.6 ST9250315AS」が搭載されていた)。バッテリーは11.1ボルト/5600ミリアンペアの6セルタイプ。ACアダプターは標準的なサイズ

液晶ディスプレイの品質とキーボードの使用感は?

1366×768ドット表示に対応した光沢液晶を搭載

 13.3型ワイドの液晶ディスプレイは、アスペクト比16:9の1366×768ドット表示に対応する。このクラスのノートPCとしては特に高解像度と言うわけではないものの、Atom N200番台を搭載したNetbookを使っているユーザーならかなり広いと感じるはずだ。また、「HP Mini 2140 Notebook PC」のように10インチクラスで同じ解像度に対応した製品もあるが、13.3型ワイドなのでドットピッチが狭すぎて文字が見えづらいと言ったこともない。

 パネル表面には光沢処理が施されており、画面の明るさも十分で写真などを表示した際の見栄えはいい。その半面、外光の映り込みは避けられず、蛍光灯の多いオフィス内や晴天の屋外などではかなり視認性が落ちる。色味については、出荷状態の設定では色温度がやや高いようで、表示が全体的に青っぽい印象を受けた。視野角は上下/左右とも標準的で、正対して使うのが前提の13.3型クラスであれば特に困ることはないだろう。ただし、液晶ディスプレイの可動範囲が狭く(実測値で約122度)、ヒザに置いて使用した場合はやや上方から画面を眺めることになるため、上下の視野角はもう少し広いほうがよかった。

ほぼ正方形(約1.6ミリ)の主要キーが並ぶ日本語91キーボード

 一方、キーボードは主要キーのピッチを約19ミリでそろえており、余裕を持ってタイプできる。同社が「Acer FineTip」と呼ぶ独自のフローティング構造によって、キーストロークも深い。また、キーボードユニットの剛性も高く、かなり強めにタイプしてもたわまなかった。ただし、タッチ感が柔らかめな点や、キートップがぐらつきやすい点、PgUp/PgDnキーがEnterキーの右側に回り込んでいる点などは、好みの分かれるところだろう。また、VAIOノートのアイソレーションキーボードやMacBookのキーボードなどとは異なり、キートップとキーボードユニットのあいだに格子状のパネルがはめこまれているわけではなく、かなりすき間がある。長く使っていると中にゴミがたまったり、ツメを伸ばしている女性はキートップにツメを引っかけないよう注意する必要があるかもしれない。

 タッチパッドのサイズは67.5(幅)×41(奥行き)ミリで、シナプティクス製ドライバ(V7.2)が導入されており、パッド右端を使ったスクロールや2本指での拡大/縮小操作も行える。ただ、パッドの奥行きが狭いため、片手(親指と人差し指)で2本指操作を行うのは慣れが必要だ(それでもNetbookよりは広いが)。クリックボタンは手前に向かってくぼんでいるが、これは液晶上部に飛び出しているWebカメラと干渉しないためと、液晶ディスプレイを開くときの指をかける部分を兼ねている。クリックボタンはデザイン上1ボタンに見えるが標準的な2ボタン式で、クリック感は固めだ。なお、タッチパッド右にワンプッシュでパッドを無効化する専用ボタンが用意されている。

タッチパッドの有効/無効ボタンとクリックボタン手前側は発光する。タッチパッドの位置はFキーとJキーの間ではなく、ボディ全体から見た中央に配置されている(写真=左)。液晶上部に100万画素のWebカメラ「Crystal Eye」を内蔵。液晶フレームから少し飛び出ているのが分かる。付属のソフトウェア(Acer Crystal Eye WebCam)で静止画撮影や720pまでのビデオ撮影が可能だ(写真=中央)。LEDバックライトを採用した薄型液晶ディスプレイは、ヒンジ部分の機構上、可動範囲が実測値で122度とかなり狭い。これはMacBook Airとほぼ同じ角度だ(写真=右)

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