CeBIT 2009で初めて登場した「Air Force」は、Lightningシリーズに最適化されたチューニングユニットで、N260GTX Lightningに標準で付属する。Air Forceは5インチのオープンベイに取り付けられるほか、ユニット後部を取り外してケーブルでPCと接続することでPCケースから離しておくこともできる。
こうしたチューニングに使う5インチベイアクセサリは初めてではないが、そのパネルにLEDで光るインジケータが多数用意され、それらがタッチパネル式というのがAir Forceの特徴といえるだろう。ボタンをなくしたことで外観がすっきりとしたのも、デザイン的にはプラスに働いている。
PCとはUSBで接続する。5インチベイアクセサリとして利用する場合は、Air Forceの裏にある専用端子と付属の専用ケーブルをマザーボードのUSBピンヘッダに接続し、外付けユニットとして利用する場合は、パネル上部にあるmini USBとPCのUSBポートを接続する。
Air Forceを利用するには、GPUドライバのほかにパッケージに付属するドライバCDに収録されたLightning専用のドライバを導入する。Air Forceのタッチパネルはこのドライバを適用してから有効となり、Air Force用の監視アプリケーション「Lightning Window」も起動可能となる。Air Forceでは、GPU、メモリ、シェーダユニットのそれぞれで動作クロック、および、コア、メモリの駆動電圧が制御できるが、パネル部には4〜5個表示のLEDインジケータしかなく、設定内容を数値で確認したいときはLightning Windowを利用することになる。なお、評価機では、GeForce Driver Release 182.06との組み合わせでAir Forceにプリセットされたモードが反映されない現象が確認された。この問題はRelease 185.85に更新することで回避できた。
Air Forceの前面パネル両端には、「Game」「Office」「PowerSaving」「Default/Reset」「Theater」「Lightning」と動作モードを選択するボタンがあり、中央部には「Core/Light +」「Core/Dark −」、「Mem Contrast +/−」、「Core +/−」「Mem +/−」「Shader +/−」と、それぞれの設定用ボタンが用意されている。
「Game」「Office」「PowerSaving」「Default/Reset」は、それぞれに異なる動作クロックや駆動電圧が事前にセットされており、指定したいモードにタッチすることで設定が切り替わる。ちなみに、「Game」モードのプリセット値は、コアクロックが655MHz、メモリクロックが1000MHz(DDRの転送レートで2000Mbps相当)、シェーダユニットクロック1404MHzと、GeForce GTX 260のオーバークロックモデルと比べても比較的高い設定になっている。
プリセットされた設定モードを選び、さらなるオーバークロック設定をチューニングしたいなら、それぞれの設定項目をタッチすることで調節が可能だ。LEDインジケータは、電圧に関する表示が5段階に、動作クロックに関する表示は「4つのLEDで7段階」で把握できる。4個のLEDで7段階というのは、1〜3レベルまではLEDがそのまま点灯し、4レベルではそれまで点灯していた3つのLEDのうち最下段が点滅に変わる。以下、5レベルでは2段目が点滅し、6レベルでは3段目が点灯、7レベルで4つすべてが点灯する。
Air Forceで設定できるN260GTX Lightiningの最高クロックはコアクロックで680MHz、メモリクロックで1050MHz(DDRの転送レートで:2100Mbps相当)、シェーダユニットクロックで1458MHzになる。また、「Office」「PowerSaving」モードではクロックが大幅に下げられる。
各モードにおける動作クロックは以下のようにプリセットされている。
設定モード | default | Game | Office | PowerSaving | 最大 |
---|---|---|---|---|---|
コア | 576 | 655 | 350 | 300 | 680 |
メモリ | 999 | 1000 | 600 | 100 | 1050 |
シェーダ | 1242 | 1404 | 700 | 600 | 1458 |
「Theater」モードは特殊な項目だ。このモードではLight/Dark、あるいはContrast +/−の部分だけが変更可能で、輝度とコントラストのみ調節できる。パフォーマンスや省電力、ひいては映像視聴のための静音モードチューニングというよりは、映像を視聴する前に輝度とコントラストを微調整するのが目的で、動作クロックや駆動電圧に関しては直前に選択していたモードがそのまま引き継がれる。もし、ユーザーが動作クロックや駆動電圧を変更したければ、Theaterモードで輝度やコントラストを調節したあとに別のモードへ切り替えればいい。また、「Default」モードは、N260GTX Lightningのデフォルトではなく、GeForce GTX 260のリファレンスクロックに設定される。
評価機を操作した限りだが、Air Forceのフロントパネルに実装されたタッチセンサは、感応エリアが狭いように思えた。動作クロックや駆動電圧を変更するときの誤操作を防ぐためと考えられるが、思うように操作するにはある程度の慣れを必要とした。評価期間で習得したコツとしては、刻印されたエリアをまんべんなく「なでる」ことと、連続して操作する場合でも時間の間隔を十分空けるといいようだ。なお、動作モードの切り替えには若干のタイムラグが設けてあるが、MSIに確認したところ、GPUに過度の負荷を与えないための仕様とのことだ。以上のことを意識してゆっくり操作すれば、Air Forceは思い通りに反応するだろう。
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