従来、IPS系の液晶ディスプレイは、広視野角と高い発色性能でクリエイティブワーク向けというイメージがあったが、2209WAは少し違う。OSDメニューにおける設定項目の少なさや画質面のチューニングを考慮すると、むしろ正確な発色を求めるクリエイティブワークにはあまり向かない。
ではどんなシーンが似合うかといえば、日ごろからPCを長時間使う人や、ビジネス用途だろう。2209WAの画面は視野角による色の変化が少ないので、Webブラウズはもちろん、画像や動画、Word文書、PDF文書、Excelワークシートなどを少し斜めから眺めても見やすい。TN系の液晶パネルでは画面に正対しているつもりでも、視線を上下左右に動かすと色やコントラストの変化が目に付くが、2209WAにそのようなことはない。
また、1台の液晶ディスプレイを数人で囲んで見るようなシーンや、マルチディスプレイでの運用では、広視野角のメリットを存分に生かせるはずだ。縦位置表示でも視野角が崩れないので、サブディスプレイとして縦置きで利用する場合にも重宝する。普段使いのディスプレイとして見た場合、TN系パネルの製品より表示の安定性は高く、一部のVA系パネルの製品のようなメリハリのキツさもない。
画面サイズ、画面解像度、価格の面では、依然としてTN系の製品に分があるが、視野角の広さは快適さに直結するので、予算3万円程度でPC向け液晶ディスプレイを探しているならば、2209WAを選ぶ価値は十分にある。IPS系パネル搭載機ということで画質面は少々厳しくチェックしたが、これで3万円を切る価格設定なのだから、コストパフォーマンスは抜群だ。TN系の独占に近かった低価格帯の液晶ディスプレイ市場において、一石を投じる製品となるのは間違いない。これを機会に、今後はこうした低価格なIPS系パネル搭載機が続々と登場してほしいところだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.