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ITmedia流液晶ディスプレイ講座II 第6回:とがった技術で映像をもっと滑らかに――液晶ディスプレイの「I/P変換」とは? (1/3)

「液晶は動画が苦手」といわれたのはもはや過去の話。ディスプレイデバイスの主役としてすっかり定着した液晶は、各種の画質向上技術を磨き上げることで、動画の再生品質をここ数年で大きく向上させている。その中から今回は、液晶ディスプレイ/テレビで動画を滑らかに表示するための技術「I/P変換」にフォーカスする。特に映画コンテンツを鑑賞する機会が多いならば、見逃せない技術だ。

映像を構成する「走査線」と「走査方式」

 インターレース(Interlace)映像信号をプログレッシブ(Progressive)映像信号に変換することを「I/P変換」と呼ぶ。ひとくちにI/P変換といっても、その手法や技術レベルはさまざまだ。変換技術の完成度は、液晶ディスプレイや液晶テレビの画質に大きな影響を与えることになる。それでは、I/P変換を語るうえで欠かせない基礎知識として、映像の走査線と走査方式から見ていこう。

tm_0906ip_01.jpg 走査線による画面表示の仕組み

 周知の通り、ディスプレイに動画を表示する場合は、パラパラマンガのように少しずつ内容の違う静止画を連続して映している。この際、動画の1コマ(1フレーム)は縦方向に細かく分割され、1本の横糸のようなラインを画面の上から下まで順次なぞることで描画を行う。ディスプレイデバイスでは、映像を構成するこの分割された1本のラインを「走査線」という。さらに細かく見ると、1本のラインは極小サイズの光の点が高速移動することで表現されている。

 従来からのアナログテレビ放送が採用するNTSC方式におけるSD映像は1フレームの走査線が525本(有効走査線数約480本)、デジタル放送のHD映像は走査線が1125本(有効走査線数1080本)だ。いい方を変えると、SD映像は1フレームを縦方向に525分割、HD映像は1125分割して映していることになる。当然、走査線が多いHD映像のほうが、映像をより細かく表現できる。

 実際にディスプレイ機器では、画面上端で1本目の走査線が左から右に描かれ、その後に2本目の走査線が左から右に描かれる。3本目以降の走査線も同じで、このように画面の上端から下端まで細切れにされた映像が1本ずつ描画される仕組みだ。

 走査線を描画する方式には「インターレース方式(飛び越し走査方式)」と「プログレッシブ方式(順次走査方式)」の2つがあり、走査線を描く順序が異なる。ちなみに、少し昔のPC業界を中心に「ノンインターレース」という呼び方もあったが、「ノンインターレース≒プログレッシブ」であり、現在ではプログレッシブの呼称が一般的だ。

・インターレース方式

 インターレース方式では通常、映像1フレームの走査線を2つのフィールドに分けて伝送する。この際、1、3、5……と奇数番号の走査線を伝送するフィールドは「奇数フィールド」、0、2、4……と偶数番号の走査線を伝送するフィールドは「偶数フィールド」と一般に呼ばれる。奇数フィールドと偶数フィールドは交互に伝送され、ディスプレイ機器でも奇数/偶数フィールドが交互に表示される。つまり、奇数/偶数フィールドの1組で動画の1フレームを描き出しているのだ。NTSCにおけるフィールド伝送速度は「1/60秒」となっており、1秒間に60フィールド(30フレーム)の静止画が目にも止まらぬ速さで書き替えられることで、人間の目には映像が動いているように見える。

 そもそもインターレース方式は、データの伝送量を抑えながら、描画回数を増やして、高解像度の映像を作り出す技術だ。電子線を走査して画面表示するブラウン管テレビのために開発された仕組みなので、原理的に1画面を一度に表示できる固定画素方式の液晶ディスプレイ/テレビには適していない。現在のテレビ放送やDVDタイトルなどは、基本的にインターレース方式で映像を伝送している。

tm_0906ip_02.jpgtm_0906ip_03.jpg インターレース方式による映像表示のイメージ。2つのフィールドを組み合わせることで、1フレームの映像を作り出す

・プログレッシブ方式

 対するプログレッシブ方式では、1本目の走査線から最後の走査線まで、上から下まで順番に伝送描画する。インターレース方式と違って、1フレームを2枚のフィールドに分割することなく、一度に表示できるのが特徴だ。ただし、インターレース方式に比べて、伝送により多くの帯域を必要とし、特にテレビ放送を中心とする家電分野では従来のNTSCとの互換性確保などの問題もあり、プログレッシブ方式は長い間採用されてこなかった(現在のBSデジタル放送やCSデジタル放送ではプログレッシブ方式も採用されている)。

 一方、PC向けディスプレイでは1990年代初頭のCRT時代からプログレッシブ方式が主流になっている。なお、固定画素方式というデバイスの特性上、液晶ディスプレイ/テレビにはプログレッシブ方式が向いている。

tm_0906ip_04.jpgtm_0906ip_05.jpg プログレッシブ方式による映像表示のイメージ。インターレース方式と異なり、1フレームを2つのフィールドに分割せず、画像のすべてを描画する


 インターレース方式は不完全な2枚の映像を交互に表示して描画を行うため、ちらつきやにじみが発生しやすく、特に大画面ではこうした弱点が目立つこともある。プログレッシブ方式であれば、1フレームで1枚の完全な映像が描画されるため、ちらつきやにじみを抑えた精細感のある画質を実現できる。このように表示が安定しているという利点もあり、高解像度の画面を凝視することが多いPC向けディスプレイでは、古くからプログレッシブ方式の製品が普及してきたのだ。

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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年9月30日

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