では、VW770/TGに適した利用シーンは何かを考察しよう。まず「レコーダー機能付きのデジタルテレビ」としてリビングルームで使う場合だ。こうしたケースでは、たとえば家族の1人がビデオ編集で何時間も占有してしまうのは厳しいと思われるので、PCとしての利用時は時間配分するなどの工夫が必要になりそうだ。
一方、お父さん専用マシンとしてプライベートルームに導入する場合はどうか。この場合、深夜に動画のエンコードなど高負荷の作業を行っても、処理がスムーズなだけでなく動作音で家族に迷惑をかけることがない。22型ワイドという適度なディスプレイサイズと相まって、ストレスなく使えるはずだ。同様に、1人暮らしの学生や年ごろの子ども向けとしてAV関連機能とPCを1台で済ましたいニーズにも適するといえるだろう。
ただ、VW770/TGの液晶ディスプレイは美しくメリハリある表示である半面、解像度が1680×1050ドット(アスペクト比16:10)にとどまるうえ、HDMIなどの映像出力端子も備えない。このため、フルHD(1920×1080ドット)の動画コンテンツをドットバイドットで再生できないという弱点も抱える。デジタル放送の視聴・録画や市販Blu-ray Discタイトルの鑑賞といった作業を静かなマシンでこそ楽しむ用途はもちろんあるのだが、クアッドコアCPUの高いパフォーマンスを生かすためにも、どちらかといえばハイビジョン映像の作成や編集を重視するユーザーに勧められると考える。テレビなどのコンテンツ視聴をメインに考えているのであれば、もう1つの液晶一体型PC「VALUESTAR N」シリーズの中から、フルHDパネルを搭載する上位モデルを選ぶという手段もあるからだ。
というわけでテレビ関連機能の詳細は、ほぼ同様の機能を実現するVALUESTAR N VN790/TG6で後日改めて検証することにし、ここでは動画コンテンツの編集機能について詳しく見ていこう。
VW770/TGは、コーレルのOEMを受けたオーサリングソフト「Corel DVD MovieWriter for NEC」をバンドルし、SDからフルHDまで、さまざまな映像ソースの編集に加えてBD-J、BDMV、BDAV、DVD-Video、DVD-VR、AVCHDの各形式でのディスク作成に対応する。中でも、6種類のテンプレートから選ぶだけで、ポップアップメニュー付きのBlu-ray Disc(BD-J形式)を作成できるのが見どころだ。
なお、三洋電機「Xacti」シリーズで撮影したMP4ファイルをこのバンドル版では読み込めない点には注意が必要だが(市販のフルバージョンは読み込みに対応する)、すでにビデオカメラのデファクトスタンダードになりつつあり、デジカメでも採用例が増えているAVCHD形式であれば、編集専用の中間ファイル(プロキシ)を用いる仕組みと合わせて、フルHDの動画ファイルを扱っているとは思えないほどスムーズに作業できる。ちなみに、BDAVやDVD-VRといった追記可能な形式で保存した場合は、本機でデジタル放送を録画したディスクも含めて付属の「Corel Direct DiscRecorder」を使うことで、ディスクの直接編集にも対応する。
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