「Eee PC 1008HA」の貝殻ボディに秘められた実力を探るS101/S101Hとガッツリ比較(2/3 ページ)

» 2009年07月14日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

新デザインのキーボードとタッチパッドに、使いやすいボタンも付加

ボディの横幅いっぱいまで使った新デザインのキーボード

 S101やS101Hと比べると、キーボードのデザインも大きく変化している。主要キーのピッチが約17.5ミリという点は変わらないが、キーはフラットなデザインとなり、タッチが少し軽くなった。全体的なキーのレイアウトは比較的素直だが、カーソルの上下キーのサイズが14×9ミリと非常に小さく、打ちにくい。利用頻度が高いと思われるだけに惜しいところだ。

 タッチパッドはパッド部分をパームレストと一体化したデザインになっている。パッドのクリックボタンが一体成形なのは従来通りだ。ディンプル加工されたパッド表面は独特の手触りで操作性も悪くない。シナプティックスの多機能ドライバ(V7.2)が導入されており、パッド上で2本指を開閉させることで画像やWebページの拡大/縮小を行う「ピンチ」、パッドをはじくような操作によって慣性でカーソル移動させる「モーメンタム」などのマルチタッチジェスチャー機能が利用でき、標準で有効になっている。

 ちなみに、S101やS101Hが搭載するElantechのドライバは3本指でのページスワイプ(ブラウザの戻る/進むに相当)など、さらに豊富なジェスチャーに対応するが、これと比べると機能面では少し見劣りする。

 また、スクロールホイール付きのレーザーマウスが標準で付属する。従来のマウスとデザインが少し異なるが、ボタンの感触などはよくなっていると感じられた。

左から、1008HA、S101、S101Hのキーボードとタッチパッド。1008HAのキーボードはフラットなキー形状の新デザインとなっており、タッチパッドもパームレストと一体化している

シナプティックスの多機能ドライバ(V7.2)が導入されている。2本指の開閉で拡大/縮小を行う「ピンチ」、パッドをはじくようにすることでカーソルを移動させる「モーメンタム」などのマルチタッチジェスチャー機能が標準で有効になっている

 キーボードの左奥には、無線LANとBluetoothのオン/オフを切り替えるボタンと、タッチパッドの有効/無効を切り替えるボタンを備える。外出先などでバッテリー駆動時間を少しでも稼ぐため無線LANやBluetoothをオフにするというユーザーも少なくないだけに、こういうアクセスしやすい場所にボタンがあるのは便利だ。切り替えた直後に、画面上に設定の状態が表示されるのも分かりやすい。

 従来同様、「Fn」キーとファンクションキーの組み合わせによる設定切り替えにも対応している。また、パッドの有効/無効を簡単に切り替えられるようになったのも歓迎したい。タイプ時やマウス利用時にタッチパッドを無効にすることで誤操作を防げるのは便利だ。一方でS101やS101Hが装備していた省電力機能の「Super Hybrid Engine」のモードを切り替えるボタンは省かれている。

10.1型ワイド光沢液晶ディスプレイは十分な視認性

1024×600ドット表示の10.1型ワイド光沢液晶ディスプレイを装備する

 液晶ディスプレイの画面解像度はNetbook標準の1024×600ドットだ。画面サイズは、S101やS101Hの10.2型よりもわずかに小さい10.1型となっている。対角の画面サイズを実測してみると約5ミリほど小さくなっており、並べてみればサイズの違いははっきり分かるが、ドットピッチはほとんど変わらないので、アイコンや文字の視認性に問題はない。

 1008HAのみディスプレイの表面が光沢処理されていることもあり、表示は明るく鮮やかだ。ただし、光沢パネルということで外光の映り込みは目立つため、この辺りは好みが分かれるところだろう。

 液晶ディスプレイの角度は約140度まで開き、特に実用上支障はない。ちなみに、S101は約145度、S101Hは約140度まで開く。なお、液晶ディスプレイのフレーム上部にあるWebカメラは有効画素数130万画素と、S101、S101Hが搭載するWebカメラの30万画素よりも高画質となっている。

パフォーマンスは微増

 さて、パフォーマンスを見ていこう。1008HAは、比較対象のS101、S101Hが搭載するAtom N270よりも66MHzだけ動作クロックの高いAtom N280を搭載している。データストレージは1008HAとS101Hが2.5インチHDD、S101がSSDという違いがある。1008HAとS101Hの評価機に搭載されていたHDDは、どちらもシーゲイトの「Momentus 5400.5 ST9160310AS」だった。省電力機能の「Super Hybrid Engine」は標準の「Auto(ACアダプタ利用時はHigh Performance)モード」で測定している。

1008HAのデバイスマネージャ画面

 PCMark05、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3といった定番ベンチマークテストのスコアは下のグラフに掲載した。PCMark05では、1008HAとS101Hがほぼ同じようなスコアだ。CPUが少し高速なぶんだけ1008HAのほうがよいスコアが出ている。SSDを搭載するS101も、HDDスコア以外はS101Hとほぼ同じだが、HDDスコアで大きなアドバンテージがあり、総合スコアではCPU性能で上回る1008HAよりも高い結果となった。

 いずれのモデルもグラフィックス機能はIntel 945GSE Expressチップセット内蔵のIntel GMA 950なので、3DMark06は低レベルなスコアだ。CPUスコアの差のぶんだけ1008HAがよい結果となっている。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も同様にCPU性能で少しだけ差が付いている。いずれにしても、このFINAL FANTASY XIクラス(DirectX 8.1世代)のゲームでも快適なプレイは望めない。

左から、PCMark05、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のテスト結果

 ストレージ性能に関しては、CrystalDiskMark 2.2のテストも実施した。HDD搭載モデルの2機は同じHDDを搭載しているためスコアもほぼ同じだ。SSDモデルのS101は、ライト性能はHDDよりも少し遅いが、ランダムリード512Kバイトで3倍以上、ランダムリード4Kバイトでは25倍以上も高速と、SSDならではのランダムアクセスの速さを見せている。とはいえ、Windows XPの日常操作では特に大きな差は感じず、いずれのモデルも軽快でストレスなく扱える印象だ。

左から、1008HA、S101H、S101におけるCrystalDiskMark 2.2のスコア

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