ソニーの最高峰モバイルノートPC――「VAIO type Z '09年夏モデル」を駆る高速SSD RAIDで突き抜けろ(2/3 ページ)

» 2009年07月29日 11時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

美しさと使いやすさ、丈夫さを兼ね備えた液晶ディスプレイ

アスペクト比16:9の13.1型ワイド液晶ディスプレイは、1366×768ドットもしくは1600×900ドットの解像度に対応する

 液晶ディスプレイは13.1型ワイドと珍しいサイズで、LEDバックライトを搭載しており、NTSC比で100%の広色域をうたう。反射光を適度に拡散させる半光沢といえる処理を施した「クリアソリッド液晶」を採用しており、コントラストの高い表示でありながら、暗い画面でもはっきりとは映り込まないようになっている。

 ノートPCのディスプレイとしては視野角も広い。ひっかき傷などから液晶表面を守るハードコーティングが施されているのも、外で使うユーザーには心強いところ。明るく鮮やかで、映り込みも少なくて丈夫と、モバイルノートPCのディスプレイとしては実によくできた液晶といえる。なお、液晶ディスプレイは150度程度まで開く。

 画面のアスペクト比は16:9となっており、画面解像度は店頭モデルが1366×768ドットだが、VAIOオーナーメードモデルでは1600×900ドットの高解像度パネルも選択できる。1366×768ドットと比べて作業領域が40%広くなっており、WebやPDFを見ながら複数のアプリケーションで並行して作業を進めたり、ツールボックスなどを横に置くクリエイティブアプリケーションを使う場合などに重宝する。

 なお、GeForce 9300M GSに搭載されるローカルのグラフィックスメモリ容量は液晶ディスプレイの画面解像度によって変わり、1366×768ドットならば128Mバイト、1600×900ドットでは256Mバイトとなる。また、1366×768ドット(128Mバイト)の場合は光学ドライブにBlu-ray Discドライブが選べないという制限がある。

キーピッチ約19ミリ、キーストローク約2.5ミリのアイソレーションキーボードを採用する

 キーボードは、VAIOノートではおなじみとなったアイソレーションキーボードを搭載する。キーピッチ約19ミリ、キーストローク約2.5ミリを確保しており、配列も素直で入力しやすい。キーボードユニットをベゼルと一体化しているのでたわみなどはなく、タッチ感は良好だ。VAIOオーナーメードモデルでは、標準の日本語配列(87キー)のほか、かな表記なしの日本語配列(87キー)、英語配列(82キー)も用意される。

 ポインティングデバイスは2ボタン式のインテリジェントタッチパッドを装備する。アルプス電気製の多機能ドライバを導入しており、パッドの右辺と下辺を利用した上下/左右のスクロール機能のほか、上辺を使ったWebアシスト(進む/戻る)や、左コーナーのタップに簡易ランチャーの起動などを割り当てることができる。キーボードの左奥には2つのワンタッチボタンと、グラフィックス機能(SPEEDモードとSTAMINAモード)を切り替えるためのボタンがある。

 なお、店頭モデルでは左右クリックボタンの間に指紋センサー(TPMセキュリティチップも内蔵)を、右パームレストにFeliCa 1.0ポートを、そして液晶ディスプレイ上部には有効31万画素のWebカメラ「MOTION EYE」を標準装備するが、VAIOオーナーメードモデルではそれぞれ有無を選択できる。

タッチパッドのサイズは約80×40ミリと大きめで、無理なく操作できる(写真=左)。タッチパッドは上下/左右のスクロールが可能で、左コーナーのタップに機能を割り当てられるVAIOノートでおなじみの仕様だが、マルチタップなどトレンドの機能には対応しない(写真=中央/右)

 なお、キーボードの左上には「S1」「S2」と2つのプログラマブルボタンが用意され、それぞれ任意のアプリケーションや動作を設定できる。消音、明るさ最大、放熱制御、省電力設定の表示などの動作を設定可能だ。

ワンタッチボタンの設定変更などはユーティリティソフトの「VAIOの設定」で行える。省電力設定、放熱制御の設定、HDMI出力時の解像度設定なども用意されている

 プリインストールOSは、店頭モデルでは64ビット版のWindows Vista Home Premium(SP1)を採用する。最大8Gバイトのメモリ構成が用意されていることを考えれば、当然VAIOオーナーメードモデルも64ビット版のWindows Vistaが前提で、エディションはHome Premium(SP1)、Business(SP1)、Ultimate(SP1)から選べる。ちなみに法人向けカスタマイズモデルでは、Vista Business(SP1)のダウングレード権によるWindows XP Professional(SP3)プリインストールの構成も選択可能だ。

モバイルノートPCとしては優秀なパフォーマンスを誇る

 今回試用したVGN-Z92JSのスペックは、Core 2 Duo P9700(2.8GHz)、メモリ2Gバイト、SSD RAID(64Gバイト×2で128Gバイト)、1366×768ドット液晶、GeForce 9300M GS(128Mバイト)、DVDスーパーマルチドライブ、Windows Vista Home Premium(SP1)という内容だ。この構成でベンチマークテストを実施した。テストはSPEEDモード(GeForce 9300M GS)とSTAMINAモード(GMA 4500MHD)の両方で行っている。

 Windowsエクスペリエンスインデックスの結果を見ると、STAMINAモードではグラフィックス関連のスコアが3.9以下と少々弱いことが分かる。SPEEDモードではグラフィックスのスコアが4.4と5.1まで跳ね上がっているのが目を引く。それ以外のスコアは同じで、5.6〜5.9と高い水準にある。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア。左がSPEEDモード(GeForce 9300M GS)、右がSTAMINAモード(GMA 4500MHD)

 PCMark05でもやはりGraphicsのスコアが足を引っ張っており、総合スコア(PCMarks)にも影響しているようだ。SPEEDモードではSTAMINAモードの1.9倍のGraphicsスコアをマークしており、総合スコアも22%よくなっている。どちらもSSD RAID 0の効果により、HDDスコアでは30000を超える飛び抜けてよいスコアをマークしている。通常の2.5インチHDDの相場(4000〜5000辺り)と比べると6倍前後にも上る。

 3DMark06のスコアも、SPEEDモードはSTAMINAモードの約1.8倍のスコアをマークしている。ただし、1598というスコアでは、ヘビーなゲームタイトルのプレイは難しい。グラフィックスの負荷がそれほど高くないオンラインゲームなどなら、十分利用できるだろう。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアは、HIGHがSPEEDモードで4964、STAMINAモードで2341と、SPEEDモードでは2.1倍よいスコアが出ている。SPEEDモードならかなり快適に遊べるといえる。

左からPCMark05 1.2.0、3DMark06 1.1.0、FF XI Bench 3の結果。※記事初出時、FF XI Bench 3のグラフに誤りがありました。おわびして訂正させていただきます

CrystalDiskMark 2.2の結果

 データストレージに関しては、ディスク性能テストのCrystalDiskMark 2.2(ひよひよ氏作)も実施した。SSDのRAID 0構成を採用しているだけあって、リード/ライトとも非の打ちどころがないスコアだ。シーケンシャルリードでは315.6Mバイト/秒と、Serial ATA(1ポート)の限界を超えているし、ランダムリードの512KバイトはHDDの数倍、ランダムリードの4KバイトはHDDの10倍以上のスコアを獲得している。モバイルノートPCとしては出色のパフォーマンスといえる。

 VAIO type Zは2008年8月に発売された初代モデルからSSD RAID 0構成を採用し続けているが、初代モデルのテスト結果を記した記事(VAIOの旗艦モデルを徹底検証:ソニー入魂の最高峰モバイルノート「VAIO type Z」に迫る 後編/2ページ目)と見比べると、データストレージの性能が大幅にアップしているのが分かる。これは、現行のVAIO type Zがより高速なSSDを採用するようになったからだ。

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