MOVIE COWBOYウォッチャーであればこれまでの型番ルールはご存じだろう。同シリーズの型番は、DIGITAL COWBOYとMOVIE COWBOYを意味する「DC-MC」、そして内蔵HDDのタイプ、インタフェース、番号と続く。ところが今回は予想された“DC-MC25ULx”ではなく、「DC-MCNP1」となった。同社によるとこのNPは「Network Player」を表すという――つまりDC-MCNP1がネットワーク強化型に進化したことを示している。
その1つがNAS機能だ。これまではNDASを採用していたが、DC-MCNP1では自身がファイル共有サーバとして利用できるようになった。つまり、クライアントでありかつサーバであるという形態だ。NAS機能は公称56〜64Mbpsと、優れたパフォーマンスをたたき出している。
2つめはWebブラウザベースのファイルマネージャの提供。ファイルのアップロード/ダウンロードに対応しているほか、ストリーム再生もサポートしている。ハンファ・ジャパンでは無償でDDNSサービスも行っており、DC-MCNP1上のコンテンツをインターネットを経由して外部から楽しむことも簡単にできる。
3つめはテスト機能として未サポートではあるが、YouTubeやPicasa、Flickrに対応したことだ。ただしその一方で、インターネットラジオ機能は削除された。
2.5インチドライブ対応モデルということでやや意外に感じたものの、もともとディスクレスでの利用が便利だと考えている筆者にとっては、小型で静音化も可能な今回のモデルチェンジは大歓迎だ。ただ、中身に目を向けると一新されたメニュー体系には首をかしげるような部分も散見される。個人的には見通しが悪くなったこと、現在選択されているものとは異なるデバイスにアクセスする際のボタン操作回数が増加したことなどから、やや不便な印象を受けた。
そういった不満を解決する1つの方法がショートカットや再生リストだと考えられるが、今回は一部に不具合が確認されていた試作機での評価となったため、そちらの使い勝手を判断できるほどの材料をそろえることはできなかった。なにより致命的だったのは、試用環境として用意したQNAP製「TS-409Pro」「TS-639Pro」のいずれでもwmv、ts、MPEGの再生ができなかったことだ(iso、DivXは可能)。ハンファ・ジャパンでも一部のNAS上のファイルが正常再生できないという問題を認識しており、修正作業を行っているところだという。ただ、修正は随時行っているとのことで、一部の機種の対応は発売後のファームウェアアップデートでの対応になる可能性が高そうだ。購入の際には事前にメーカサイトで、自分の環境で利用できるかどうか確認したほうがいいだろう。
実際のところ、DC-MCNP1は「何ができるか」「どういった機器か」という観点で見れば、MOVIE COWBOYファミリーの1つではあるが、中身は別物と言ってもいい(ちなみに、2009年5月に発売されたDC-MC35ULIこそ類似UIではあるが、トランスコード対応が中心で単体ではwmvも再生できないため、同列で語ることははばかられる)。ユーザーインタフェースが一新されたために、代を重ねたメニューの洗練度は期待できなくなった半面、デコーダの変更による対応フォーマットの充実はそれを補ってあまりある魅力だ。ハンファ・ジャパンでは限定200台の乗り換えキャンペーンも実施しており、旧モデルユーザーには悩ましい選択となりそうだ。
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