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» 2009年08月26日 16時45分 UPDATE

元麻布春男のWatchTower:水冷システムの採用で性能も静音性もアップした「HP Z400 Workstation」を試す (1/2)

日本HPのワークステーションに、水冷システムを採用したモデルが追加された。早速、エントリーモデルの実力に迫った。

[元麻布春男(撮影:矢野渉),ITmedia]

ハイエンドモデルとエントリーモデルで水冷システムを導入

ht_0908hz01.jpg 水冷システムを採用した「HP Z400 Workstation」

 日本ヒューレット・パッカード(HP)が2009年4月に発表した「Z Workstation」シリーズは、インテルの新しいNehalemアーキテクチャのCPUを採用するワークステーションだ。デュアルソケットのZ800とZ600、シングルソケットのZ400の計3シリーズで構成される。上位2シリーズが新しいデザインのボディを採用したフルモデルチェンジであったのに対し、Z400シリーズはマイナーチェンジにとどまる。しかし、新CPUの採用でも明らかなように中身は一新され、Zシリーズのエントリーを固めるに相応しい内容となっている。

 そして8月、以前から予告されていた通り、そのZシリーズに水冷モデルが追加された。水冷オプションが追加されるのは、ハイエンドのZ800シリーズとエントリーのZ400シリーズ。いずれもTDP 130ワットのハイエンドCPUを搭載したモデルが対象で、その設定がないZ600シリーズは、今回の水冷オプションの対象から外れている。これまでHP製品では、AMD製CPU搭載のワークステーションや、インテル製CPU搭載のゲーミングPC(Blackbird)に水冷システムの採用例があるが、インテル製CPUを搭載したワークステーションへの提供は今回が初めてとなる。


3500番台のXeonを搭載するZ400シリーズ

ht_0908hz02.jpg Z400は3500番台のXeonとレジスタードのECC付きメモリを搭載する

 水冷オプションが選択可能となる具体的なCPUは、Z400シリーズがXeon W3520(定格動作クロック2.66GHz)、Xeon W3540(同2.93GHz)、Xeon W3570(同3.2GHz)、Xeon W3580(同3.33GHz)の4種、Z800シリーズがXeon W5580(同3.2GHz)とXeon W5590(同3.33GHz)の2種のデュアルプロセッサ構成となる。Z400シリーズは、採用するすべてのCPUが該当するが、Z800シリーズはハイエンドのデュアルCPUモデルのみが水冷オプションの対象となるため価格が跳ね上がる。Z400シリーズでは同社直販のHP Directplusにおける標準価格が17万円台のモデル(最小構成)から水冷オプションが選択可能であるのに対し、Z800シリーズで水冷オプションが選択可能になる構成は、60万円を軽く越えてしまう。水冷により、性能と静音性の両立が図られるということが分かっていても、Z800の価格には相応の覚悟が必要になりそうだ。

 このような入手性も踏まえて、ここではZ400の水冷モデルを評価機として取り上げることにした。搭載するCPUはXeon W3540で、グラフィックスカードなどを含まない最小構成で22万円前後、評価機に搭載されていたグラフィックスカードのQuadro FX 1800込みで27万円前後の構成だ。標準搭載の空冷式冷却ファンに対し、水冷システムの変更は5250円の追加費用だけで済む。

 さて箱から取り出したZ400だが、大きさはいわゆるミドルタワーサイズで168(幅)×456(奥行き)×450(高さ)ミリと特別大きいわけではないが、その重量は約15キロもある。20キロを超えるZ800に比べれば軽いとはいえ、一般的なPCとは比べものにならない。Z800やZ600と異なり、持ち運び用のハンドルがないから、余計に重さがこたえる。

 内部は、HDDなどのストレージデバイスの交換や拡張カードの着脱といった、基本的なメンテナンスにネジ回しなどの工具を必要としないという点でZシリーズの長所を受け継ぎつつ、標準的なATXフォームファクタのマザーボードや電源ユニットを採用するなど、標準的なPCに近いシンプルな構成となっている。最大出力475ワットの電源ユニットは、変換効率85%の高効率タイプ(80 PLUS BRONZE)だ。

ht_0908hz03.jpg 背面に6基のUSB端子が並ぶ。電源ユニットと水冷ユニット用に92ミリ角の冷却ファンを備える
ht_0908hz04.jpg サイドカバーはワンタッチで取り外せる。ケース内部は広々としており、メンテナンス作業はやりやすい
ht_0908hz05.jpg 5インチベイは3基あり、その下に3.5インチ用オープンベイがあるのだがケースカバーがじゃまで利用できない

ゲーミングPCで採用実績を持った水冷ユニットを内蔵

 注目の水冷ユニットは、ゲーミングPCのBlackbirdに使われた実績を持ち、信頼性が確認されているという。5年間のメインテナンスフリーを実現すると同時に、動作保証温度も5度〜35度と、空冷システムとほとんど変わらない。静音性に留意すると同時に、コンパクトにまとめられ、水冷システムの採用による価格上昇を最小限に抑えている。

 基本的に水冷ユニットは、ラジエーター/ファンを一体化したパーツと、CPUクーリングステーションおよびポンプ/タンクを一体化したパーツの2つで構成されており、この2つのパーツ間がチューブで接続される。空冷システムではサイドフローのCPUファンによりレギュレーター(VR)ユニットも冷却されていたが、水冷システムではCPUファンがなくなったため、VRユニット冷却用のファン(80ミリ角)が追加されている。

ht_0908hz06.jpg 水冷ユニットはラジエーター+冷却ファンとポンプ+タンクの2ピースで構成される
ht_0908hz07.jpg 水冷ユニットの取り付けは空冷ファンとほぼ同じ要領で行える
ht_0908hz08.jpg ラジエーターのサイズは冷却ファンと同じ約92ミリ角だ

ht_0908hz09.jpg チップセットにIntel X58 Expressを採用したマザーボード

 CPUの前方には4本のメモリスロットがあり、試用機には3枚の2GバイトアンバッファドECC付きDDR3-1333 DIMMが搭載されていた。4GバイトのDIMMを4枚インストールした16Gバイトが、本機の最大メモリ搭載量となる。スロット数が少ないせいか、上位モデルのようにメモリ冷却用のファンは用意されていない。

 ストレージベイは、前面アクセス可能な5インチベイが3基と、3.5インチHDDベイが2基だ。上から4番目に従来機の名残で3.5インチオープンベイがあるのだが、Z400ではケースカバーが変更され、利用できなくなっている。HDDベイは、上位モデルのように樹脂製のマウントを用いたものではないが、絶縁ゴムをかぶせたネジをガイドにしてレールに挿入することで、HDDの振動対策を行っている。

 拡張スロットは、グラフィックス用にPCI Express Gen2 x16スロットが2基と、PCI Express Gen2 x4スロット(物理スロットサイズはx8サイズ)が2基、さらにPCIスロットが2基の計6スロットだ。評価機ではPCI Express Gen2 x16スロットの1つにQuadro FX 1800が装備されていた。

ht_0908hz10.jpg ドライブ類は工具を使わずに着脱が可能だ
ht_0908hz11.jpg 拡張カードもレバー操作だけで取り外しできる
ht_0908hz12.jpg 最大出力475ワットの電源ユニットには、80 PLUS BRONZEのロゴシールが張られている

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