NetWalkerのOSはシャープカスタマイズ版のubuntu 9.04、つまり現在最も人気のある最新ディストリビューションの1つが採用されている。
WebブラウザにはFirefox、メールソフトにThunderBirdといったインターネット関連アプリを搭載しているほか、PDFなどのドキュメントビューアとしてEvince、OpenOffice.orgのWriter、Calc、Impressが搭載されており、「出先でメールを受信したものの、添付ファイルが開けない」ということはない。そのほか、メニューには登録されていないがマルチプロトコルメッセンジャーのPidgin、リモートデスクトップサーバのvinoなどもインストール済みだ。
もちろん、ubuntuのパッケージマネージャー「Synaptic」も利用できる。x86とは互換性がないためARM系のパッケージにはなるが、それでもかなりの数のパッケージが用意されている。
そのほか、CPUに統合されたマルチメディア機能が生きてくるのは動画再生だが、対応動画フォーマットはMPEG4、VC-1、H.264、FLV、音声がMP3、HE-AAC、WMAとなっており、試した限りではMPEG2やWMV、DivXなどは再生できなかった。また、評価機に搭載されていたFLASHプレーヤーは「Flash Player Lite 3.1」と思われ、YouTubeは再生できるがニコニコ動画はバージョンチェックで拒否されてしまった。
ただし、アプリケーションが対応すれば再生できるようになる可能性はある。幅広いフォーマットに対応するVLCプレーヤーをARM系ubuntuで動作させるための情報サイトも存在するようなので、自己責任のうえでチャレンジするのもいいだろう。
NetWalkerの話を聞いた当初、フルキーボードを備えた409グラムの超小型ボディということで、ポメラの対抗馬となり得るのではないかと思ったのだが、NetWalkerのキーボードが文書入力向きではないことは明らかだ。むしろ、ポメラが切り捨てたものに特化したマシンという印象を受ける。それでは、VAIO Type Pと比べるとどうか、と考えると、「用途次第では十分」と評価するに十分なポテンシャルを持っていると感じた。
NetWalkerは、出荷時こそWebブラウザ、メール、ワードプロセッサ、表計算など、実用性の高いアプリケーションだけに絞り込まれているが、そのうえでいくらでもユーザーの好みに応じたカスタマイズを施すことができる。生粋のubuntuであるだけに、メーカーであるシャープだけでなく、ubuntuコミュニティやFreescaleなど、多方面のサポートが期待できるのも大きいだろう。見た目のエレガントさとは裏腹に、ガジェット好きに「いじりがいがありそうだ」と思わせる、ゼロスピンドルの超小型Linuxマシンだ。
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