Atom×GeForceの個性派ミニノート――ASUS「N10Jb」を徹底チェックするNetbookを超えたAtomマシン(2/3 ページ)

» 2009年09月04日 17時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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Netbookクラスを超えた充実のインタフェース

 通信機能は、1000BASE-T対応の有線LAN、IEEE802.11b/g/n(nはドラフト2.0)準拠の無線LAN、Bluetooth 2.0+EDRを装備。有線LANは100BASE-TX、無線LANはIEEE802.11b/gという製品が少なくないNetbookとは、通信環境でも一線を画している。ボディの左側面手前にはワイヤレス通信のスイッチがある。

 ボディのインタフェースも同様で、3ポートのUSB 2.0、マルチカードリーダー(SDHC/MMC/メモリースティックPRO/xDピクチャーカード対応)、アナログRGB出力などに加え、Netbookでは省かれることが多いExpressCard/34スロットやHDMI出力(GeForce G105でのみ利用可能)、光デジタル音声対応のヘッドフォン端子を備えており、フルスペックのノートPCに近い内容だ。130万画素Webカメラや指紋センサー、さらにはAltec Lansing製のステレオスピーカーも搭載する。

 アナログRGBやHDMI端子がボディ側面の中央付近にあるのは多少気になるが、利用頻度が高いと思われるUSB 2.0やカードスロットはそれよりも手前側にあるので、特に使いにくいということはなかった。

前面の左側にメモリカードリーダー、左右にAltec Lansing製のステレオスピーカーを配置している(写真=左)。もっとも、スピーカーはさすがにミニノートPCに内蔵できる小型のユニットなので、別段音質がよく、音量が大きく出るわけではない。不満はないが、Altec Lansingということでの過大な期待は禁物だ。背面はバッテリーパックで占有される(写真=右)

左側面には盗難防止ロック用ホール、通風口、グラフィックス機能の切り替えスイッチ、HDMI出力、2基のUSB 2.0ポート、ワイヤレス通信のスイッチが並ぶ(写真=左)。右側面にはExpressCard/34スロット、ヘッドフォン、マイク、USB 2.0ポート、アナログRGB出力、有線LANポート、ACアダプタ接続用のDC入力を搭載する(写真=右)。カードスロットにはダミーカードが装着されている

使い勝手に配慮した入力環境

 液晶ディスプレイのサイズは10.2型ワイドで、画面の解像度は1024×600ドットと、Netbookを含めたミニノートPCとしては標準的なサイズと画面解像度だ。欲をいえば、外部GPUを生かせるように、もうワンランク上の画面解像度が欲しかったところだが、それは今後に期待したい。

 ディスプレイの表面は光沢仕上げで鮮やかな表示だが、その一方で映り込みは気になる。上下の視野角は広くないものの、ディスプレイの角度は145度まで開くので、設置状況に応じて見やすい角度にチルト調整ができる。

 画質面では、ASUSのグラフィックスカード製品でもおなじみの「Splendid Video Enhancement Technology」も搭載している。単体の液晶ディスプレイ製品に見られる用途別の画質モードのように、色合いを鮮やかにしたり、シーンに応じて暗部のダイナミックレンジを拡大するなど、動画コンテンツを見栄えよく表示してくれるため、映像視聴時にはいろいろと設定を変えてみるのもいいだろう。画質のプリセットはいくつかのバリエーションが用意されており、現在の画質設定と効果を見比べながら選択できる。

1024×600ドット表示の10.2型ワイド液晶ディスプレイは光沢仕様で、こちらは一般的なNetbookと変わらない(写真=左)。「Splendid Video Enhancement Technology」のユーティリティでは、2つの画質設定を見比べながら選択できる(写真=右)

 キーボードについては、主要キーのサイズが実測で約17(横)×16.5(縦)ミリ、半角/全角を含む一部の端のキーが約12.5(横)×16.5ミリ(縦)だった。前述のEee PC Seashell 1101HAと同じサイズで、キーレイアウトを見ても共通のキーボードユニットのように見えるが、公称のキーピッチは1101HAの約18.1ミリに対し、約18.5ミリとなっている。いずれにしても無理なく文字が打てる大きさであり、キーボードのサイズに不満はない。タッチ感は軽めなものの、キーボードユニットの固定はしっかりしており、強めにタイプしても大きくたわむようなことはなかった。

 ポインティングデバイスは、2ボタン式のタッチパッドを装備する。最近のEee PCシリーズでは左右のクリックボタンが一体成形になっているものをよく見かけるが、N10Jbのボタンは左右が分離したスタンダードなタイプで扱いやすい。タッチパッドの左右ボタンの間には指紋センサーを装備しており、WindowsやWebサイトのログインやファイルの暗号化などに利用できる。

 タッチパッドにはシナプティックスの多機能ドライバ(V6.2)が導入され、パッドの右辺/下辺をなぞることによる上下/左右のスクロール機能が標準で有効になっている。ユーティリティで設定することで、コーナーのタッピングにアプリケーションの起動などを割り当てることが可能だ。ただし、最近のEee PCシリーズで積極的に採用されているマルチタッチジェスチャー機能には対応しない。そのほか、ボディカラーを本体と共通化したホイール付きのUSBマウスも標準で添付される。

十分なサイズのキーボードと2ボタン式のタッチパッドを採用している(写真=左)。シナプティックスの多機能ドライバ(V6.2)は、パッドのエッジを利用した上下/左右のスクロール機能が標準で有効になっている(写真=中央)ほか、コーナーのタップに機能を割り当てることもできる(写真=右)。2本指の開閉で拡大/縮小を行う「ピンチ」などのマルチタッチジェスチャー機能には対応しないバージョンだ

 キーボードの奥には、電源ボタンのほかに2つのボタンが用意されている。左側にあるのが、画面のズームボタンで、押すごとに「画面一部(マウスカーソル付近)を2倍拡大」「画面一部を3倍拡大」「全体を拡大」「通常表示」と切り替わる。N10Jbの液晶ディスプレイは特にドットピッチが狭いわけではないが、ボタンを押すだけで拡大して見られるのは便利だ。

 その右には、省電力機能の「Power 4 Gear」の動作モードを切り替えるボタンがある。「Game」「Quiet Office」「DVD Movie」など、それぞれ用途別に画面の明るさやスタンバイ、電源オフまでの時間などを指定したプリセットが用意されており、押すごとに切り替わる仕組みだ。

 なお、このボタンはWindows XPを起動していないときに押すと、いわゆるインスタントモードの「Express Gate」機能が8秒程度で立ち上がる。これは米DeviceVMの組み込みLinux環境「Splashtop」をベースとしたもので、Webブラウズ、音楽再生や画像の表示、Skypeなどの機能が利用できる。Windows XPをスタンバイ状態にしておけば、復帰は即座に行えるが、シャットダウンした状態からちょっと調べ物をしたいといったシーンでは、役立つのではないだろうか。終了の処理も高速だ。

キーボードの奥には、電源ボタンのほかに2つのワンタッチボタンが用意されている(写真=左)。電源ボタンは青く光り、高級感を演出している。Power 4 Gearでは「High Performance」「Power Saving」「Game」「Quiet Office」「DVD Movie」など、用途ごとにプリセットが用意されている(写真=中央/右)。ユーティリティはタスクバーに常駐しており、それぞれの設定をカスタマイズして使うことも可能だ

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