Lynnfieldで使えるR.O.G.マザー!──「Maximus III Formula」の新機能で遊ぶイマドキのイタモノ(3/3 ページ)

» 2009年09月28日 19時23分 公開
[寺崎基生,ITmedia]
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奇抜な新機能「ROGコネクト」で遊ぶ

 ROGコネクトという機能は、別のPCをMaximus III Formulaに接続し、動作クロックや駆動電圧などをリアルタイムで監視したり、ダイレクトに設定を行える機能だ。Maximus III Formulaの標準付属品に、両側がUSBオスコネクタになったROGコネクト専用ケーブルがあり、Maximus III Formulaの専用ポートと別のPCにあるUSBを接続する。このとき、接続する別のPCに「RC TweaIt」というユーティリティソフト(ドライバCDに収録されている)をインストールして起動しておくと、Maximus III Formulaの動作情報が、リアルタイムでグラフに表示される。ハードウェア監視機能は「ASUS PC Probe」に近いが、ROGコネクトでは、ゲームやベンチマークテストなど、フルスクリーンを占有している状態でもモニタリングが可能であったり、設定を変更したりすることが可能だ。

 Maximus III FormulaでCPU-Zを動作させてクロック表示を行いながら、ROGコネクトで接続した別のPCからベースクロックを変更したところ、約2秒ほどで設定変更が反映された。ROGコネクトで行った設定内容は、再起動してもBIOS設定に反映されたままになるので、無理なチューニングを試したあとは設定値を戻しておくのを忘れないようにしたい。なお、ROGコネクト機能によって、これまでASUSのハイエンドマザーボードに付属していた外付けの「LCD Poster」はなくなった。

 オーバークロックの機能としては、自動でCPUの限界を探してくれる「ASUS Auto Tuning」にも対応する。ASUS Auto Tuningを実行すると、自動的に動作クロックとCPUの駆動電圧を上げ、実際に負荷をかけて安定性を確認する“試行錯誤”のサイクルを繰り返しながら、数MHz単位で動作クロックが上昇していく。R.O.G.マザーボートを使いこなすのはちょっと難しい、と考えがちなオーバークロックの設定に慣れていないユーザーでも、手軽に簡単に設定が行える。R.O.G.ユーザーのすそ野を広げてくれる機能といえるだろう。

付属するユーティリティの「ASUS AutoTuning」では、自動でCPUの限界を探ってくれる(写真=左)。Maximus III FormulaのBIOSには、オーバークロック関連の機能が豊富に用意される(写真=右)

「CPU Level Up」の設定を変更すると、数ランク上のCPUに相当するパフォーマンスが発揮できるようにオーバークロック設定を自動で行ってくれる(写真=左)。「Go_Button」で呼び出すオーバークロック設定は、BIOSで事前に設定しておく(写真=右)

P55+Lynnfieldは、X58+Bloomfieldより速いか

 今回、Maximus III Formulaのパフォーマンス検証では、CPUに、Core i7-860(動作クロック 2.80GHz)を用いた。LynnfieldコアでHyperThreadingに対応する“8xx”シリーズの下位モデルだ。メモリは、DDR3-10600 2Gバイト×2の4Gバイトを載せている。比較用には、Intel X58 Express+Core i7-920(動作クロック 2.66GHz)で以前測定したデータを用意したが、グラフィックスカードが同一でないため、正しい比較は難しい。ベンチマークテストは、PCMark05を用いたが、先に述べた理由から、PCMark05のGraphics以外のスコアを見ていくことにしよう。

 なお、 Core i7-860を取り付けて起動すると、アイドル状態で1.2GHzだったのが、負荷をかけると一気に2.94GHzまで上がってしまう。ちょっとした負荷でもフルブーストの2.94GHzになってしまうのに驚いた。わき道にそれてしまうが、PCMark05のCPUのスコアは、Core i7-860がCore i7-920を大きく上回っている。定格クロックもCore i7-860が上なので当たり前ではあるが、8690と9260の差は両者のクロック差以上に大きい。Turbo Boostのクロックも、Core i7-860が2.94GHz、Core i7-920が2.80GHzとなっており、それほどクロック差が大きいわけではない。おそらく、TurboBoostの効き方に差があるのではないかと予想される。

 次にMemoryのスコアを見てみよう。Intel X58 Expressは3Gバイトのトリプルチャネル、Intel P55 Expressは4Gバイトのデュアルチャネルだ。ただし、OSが32ビット版のWindows Vista Ultimateなので、両者が使えるメモリの容量に違いはない。本来なら、トリプルチャネルに対応するInte X58 Expressが逆転してもいいテストだが、実際にはIntel P55 Expressが9250、Intel X58 Expressが8690と、Intel P55 Expressが上回る結果となった。HDDのスコアはほかの項目に比べて差が小さく、Intel P55 ExpressとIntel X58 Expressで大きな性能差はないとみられる。

 Core i7-920とCore i7-860が同じ動作クロックではないことや、グラフィックスカードが異なることを差し引いても、Lynnfield+P55のシステムは、高いパフォーマンスを示している。PC関連の予算を調達するのが何かと困難なこの時代に、低価格なメインストリームCPUとチップセットの性能が優れているのは喜ばしいことだ。それが、R.O.G.シリーズのマザーボードでも利用でき、Maximus III Formulaのチューニング機能で、さらに性能を向上できるのは、コストパフォーマンスだけでなく、絶対性能としてもユーザーに大きなメリットをもたらしてくれるだろう。

 コストパフォーマンスに優れたLynnfiledを、Intel P55 ExpressとASUSの独自機能で、さらに性能を向上させ、かつ、手軽にそのメリットを享受できるMaximus III Formulaは、まさに、時代が求めるマザーボードといえるだろう。

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