テレビと視聴者とインターネットの関係──3者を近付けるアイデアIntel Developer Forum 2009(2/3 ページ)

» 2009年10月05日 19時30分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

技術的アプローチで視聴者を引きつける

米Intel CTOのジャスティン・ラトナー氏

 CBSのシュワイザー氏のアイデアは、視聴者とどのように接点を持つかがポイントであったが、一方で、コンテンツの品質をより充実させて、競合するコンテンツ製作者と差別化を図るのも、アプローチの1つだろう。こうした、高品質のメディアの実現を技術面から考察したのが米Intel CTOのジャスティン・ラトナー氏による講演だ。

 最も分かりやすい技術的アプローチは、従来のホームシアターにはなかった映画館などでお馴染みの最新技術を、家庭用テレビに持ち込むことだ。映画館に行くとTHXやドルビーのロゴとともに重厚なサウンドシステムを紹介する短いサンプル映像が本編上映前に紹介されるが、こうした本格サウンドシステムを家庭で経験できたらどうだろう。さらに、最近はアニメーション作品を中心に3D映画が増えているが、パナソニックをはじめとするテレビメーカー大手各社は、3Dテレビの投入を表明している。Blu-ray Discの3D対応と合わせ、2010年で最も注目される技術になるといわれている。

 このほかにも、映像の画質をさらに向上させるアプローチも進んでいて、例えば、HDIが開発している「LCOS」(Liquid Crystal on Silicon)と3原色レーザー光線を組み合わせたリアプロジェクションシステムでは、より自然な色合いで映像が楽しめる。

サウンドシステムで実現する臨場感や、ここ最近発表が相次いでいる3Dテレビによる立体視などが、これからの差別化ポイントとなる

リアルタイムで3D映像のビデオチャットが可能になる。画面が乱れているのは3Dグラスを通さずに撮影しているためだ(写真=左)。3D映像で利用する3D撮影用カメラ。実際にこのカメラを利用して3D映画の撮影も行われている(写真=右)

HDIのレーザー光によるリアプロジェクションテレビ。LCOS(Liquid Crystal on Silicon)と3原色のレーザー光線を組み合わせて、より自然に近い色合いが実現する(写真=左)。「Informative TV」と呼ばれる情報端末機能を持たせたテレビの概念図。ユーザーの興味を引くためにさまざまな付加情報を重ね合わせたり、ハイライトのみを楽しむパーソナライズ機能を用意したりと、従来の単純な片方向のブロードキャストとは一線を画した機能を提供する(写真=右)

 もし、テレビとインターネットの融合をアピールするのであれば、テレビを一種の情報端末にするのも手だろう。とはいっても、単純にテレビをPCとして扱ったり、テレビ上でWebブラウザを走らせるだけではない。シュワイザー氏が紹介したCBSウィジェットのように、必要な情報を引き出したり、ナビゲーションの手助けになる仕組みを提供することが必要だ。

 例えば、スポーツ中継でフィールド上の選手にリアルタイムでタグを付けて、そこから、選手情報を参照できたり、あるいは、その選手の好プレー場面をハイライトとして抜き出して繰り返し再生させたりできれば、単純で一方的な従来の番組とは一線を画した楽しみになるはずだ。「Informative TV」では、こうした情報レイヤを組み合わせ、ユーザーが希望する方法で番組を楽しむ仕組みを模索している。PCとは異なり、テレビとしての楽しみ方やナビゲーションの方法を実現する点が重要だ。

CBSがインタラクティブテレビ向けに提供する新型ウィジェット。番組表を確認しながら多用な機能が利用できる(写真=左)。これまでの視聴スタイルは、放送時間が来たらテレビの前に座って番組を見る時代から、1つ1つの番組を視聴者が能動的にコントロールする時代に移行する。シュワイザー氏が主張するのは、そうしたナビゲーションをテレビ局といったコンテンツ製作側が意識しなければいけないという点だ

インタラクティブテレビやSTBでの利用を想定したIntelの「CE3100」は「CE4100」にアップデートされた。3D表示や特殊効果を駆使したナビゲーション画面に加え、各種ハードウェアによる映像処理支援や入出力に対応する

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