薄型アルミボディが魅力の“ちょい上”CULVノート――「UX30」を攻略するその質感がたまらない(2/2 ページ)

» 2009年10月19日 16時45分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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視認性の高い液晶ディスプレイとデザインに凝ったキーボード

1366×768ドット表示の13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載

 液晶ディスプレイのサイズは13.3型ワイド、画面解像度は1366×768ドットとなっている。解像度に対して画面サイズが広いので、アイコンや文字が大きめに表示され、視認性はよい。輝度、コントラストも十分だ。

 視野角については特に上下方向が狭いが、液晶ディスプレイは140度程度まで開くので、ヒザの上で使う場合なども見やすい角度に調整できる。表面が光沢処理されているためクッキリとした表示だが、そのぶん外光は映り込みやすい。

 液晶ディスプレイのフレーム上部には130万画素のWebカメラを内蔵しているほか、前面にはAltec Lansing Technologies製のステレオスピーカーを内蔵する。サラウンドサウンド技術の「SRS Premium Sound」にも対応しており、これを有効にするとより立体感のあるサウンドを楽しめる。

アイソレーションタイプのキーボードを採用

 キーボードは、キーボードユニットとキーボードベゼルを一体化し、ベゼル表面にキートップのみを露出させるという、いわゆる「アイソレーション」デザインを採用している。最近のASUS製ノートPCが積極的に採用しているデザインだが、UX30ではベゼル部分に中央に向かって緩やかなカーブを設けるなど、より凝ったデザインとしている。

 キーピッチは主要キーで約18ミリだ。主要キーのサイズは実測で約15×14ミリと大きくないものの、キー同士の間隔が縦横ともに3ミリ程度離れているので、タイプミスの心配は少ない。キーストロークは十分確保されており、配列も素直で打ちやすいほうだ。キータッチも適度な反発があり悪くないが、キーボードユニットの固定は少々甘く、強くタイプすると中央付近に多少のたわみが生じるのは気になった。

 タッチパッドは、Elan Microelectronicsの多機能ドライバが導入されており、2本指でなぞることでの縦横スクロールや、3本指でのページスワイプ(進む/戻る)に対応している。パッド部分はパームレストと一体化したデザインになっており、ドット状の突起でパッドの領域が表現されている。

 タッチパッドのサイズは98(横)×54(縦)ミリと広く確保されており、スクロールの操作などはやりやすいが、ドット状の突起を指でなぞることになるため、滑りのよさという点ではいまひとつだ。左右のボタンは一体化されているが、長さがあるため、特に操作しにくいとは感じなかった。

タッチパッドにはElanの多機能ドライバが導入済みだ。2本指でなぞることでの縦/横スクロール、3本指でのページスワイプ(進む/戻る)に対応している。ズーム機能には対応していない

モバイルノートPCとして不満のないパフォーマンス

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア。グラフィックス関連のスコアは低めだが、それ以外は4.6〜5.5と不満のない値だ

 UX30はASUS独自の電力管理機能「Power4Gear Hybrid」を導入している。用途に特化した4種類のプリセットが用意され、OS標準の電源プランもそれに基づきカスタマイズされている。今回のパフォーマンステストは、デフォルトで設定されていた「High Performance」モードの標準設定と、「Battery Saving」モードの最大CPU速度を100%に変更した設定の2種類の電源プランで実行している。

 PCシステムの一般用途でどれくらいのパフォーマンスが得られるかの目安となるPCMark05の結果は、High Performanceモードではスペックなりといえるスコアだ。CULVノートPCとしては高いパフォーマンスが得られており、モバイルノートPC全体として見ても及第点といえる。GS45チップセット内蔵グラフィックスだけにGraphicsのスコアが少し弱いが、Windows VistaでもWindows 7でも特にストレスなく使えるレベルにはある。

 一方、Battery SavingモードではCPUスコアを中心にかなり落ち込んだ。最大CPU速度は100%でも、なかなか100%近くにはならないような制御となっているのだろう。それでも総合スコアでは標準的なAtom N搭載Netbookに比べれば、1.4〜1.5倍程度のスコアとなっており、実用性は十分といえる。

 DirectX 9.0世代の3D描画性能をチェックする3DMark06に関しては、High Performance/Battery Savingモードともに低調なスコアだ。やはり、GS45チップセット内蔵グラフィックスで本格的なゲームのプレイは難しい。DirectX 8.1世代のゲームタイトルであるFINAL FANTASY XIをベースにした「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の結果もやはり低調だ。「High Performance」なら一応遊べるレベルにはあるが、Battery Savingモードではちょっと苦しいだろう。

左からPCMark05、3DMark06、FF XIベンチ3のテスト結果

ASUS独自の電力管理機能「Power4Gear Hybrid」を導入している。今回のパフォーマンステストでは、「High Performance」の標準設定(写真=左)と、「Battery Saving」の最大CPU速度を100%に変更した設定(写真=右)の2種類の電源プランで実行した

 バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「10秒間隔でのキーストローク」で行なっている。電源プランはBattery Savingモードの最大CPU速度を100%に変更した設定としており、液晶ディスプレイの輝度はBattery Savingモードの標準値となる40%のままだ。結果は331分(5時間31分)と、公称のバッテリー駆動時間(約4.77時間)を上回る結果を残した。High Performanceモードでは駆動時間が半分程度になるが、このサイズの薄型モバイルノートPCとしては不満のないバッテリーライフといえる。

 騒音レベルは暗騒音33デシベル、室温27度の環境で本体前面から5センチと近い距離で測定した。電源プランはデフォルトのHigh Performanceモードだ。結果は、アイドル時で36〜37デシベル、負荷時は負荷の大きさによって変化するが、3D描画以外の処理では40デシベル以下に収まっていた。ファンの回転速度の変化も緩やかで、頻繁に変化して煩わしいということはない。

 同じ環境で一連のベンチマークテストを実施した後、ボディの表面温度も計測した。結果は、底面左の排気口付近がピンポイントで熱く、HighPerformanceモードでは最大45度まで上昇したが、それ以外の部分は底面も38.5度以下とそう熱くない。キーボードやパームレストも最大36度と表面にはあまり熱が伝わってこなかった。騒音や発熱の処理も優秀な部類に入る。

左が騒音テストの結果、右が発熱テストの結果

CULVノートの王道を行く薄型ノートPC

 UX30の価格は9万9800円となっており、超低電圧版Core 2 Duoと13.3型ワイド液晶ディスプレイをはじめとするスペック面とコストをかけた外装まで考慮すると、コストパフォーマンスは高い位置にある。

 ASUSのCULVノートPCとしては同じUシリーズの「U20A」と「UX50V」もあるが、いずれも光学ドライブを内蔵するモデルとなっており、実用性が高い一方、CULVノートPCに携帯性を求めるユーザーにとってはジャストフィットしなかったのではないだろうか。

 これに対し、UX30はスタイルといい、機能といい、価格といい、CULVノートPCの王道を行くものといえる。ユーザーがバッテリーを交換できない設計は少し残念ではあるが、静音性、熱処理などを含めた仕上がりも上々だ。現在進行形で増加し続けているCULVノートPCの中にあっても、有力な選択肢としての資格は十分にある。

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